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第1話 誰のことを言っているの……? アンジェリーヌ視点(2)
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「お姉様の行動は穴だらけで、とってもおバカ。けれどわたくしに関する思考だけは、大正解ですわ。……よくよく見てみると、エドモン様は雄々しく素敵な御方。お顔も財力も最上級な方で、興味を持ちましたの。好きに、なってしまいましたの」
まるで、酷くサディスティックな悪魔のよう。ニネットは禍々しい笑みを浮かべ、嬉々として息を吐きました。
この子は昔から、私が好きと言ったものを好きになる子。なので彼女の中では今、ダーファルズ様が最愛の方となってしまっているのです。
「わたくしは顔もスタイルも頭脳も心も、お姉様の遥かに上を行く美少女ですもの。上位互換なんですもの。お姉様に興味を持った方なら猶更、わたくしが本気を出せばコロリと心変わりをさせられますのよ」
「アンジェリーヌ、お前はお姉ちゃんだろう。可愛い妹に譲ってあげなさい」
「妹の応援をするのが姉の役目よ。どこまで仲が進んでいるのかは知らないけれど、貴方は手を引きなさい。いいわね?」
ニネットが喋っているとガレオお父様とナディアお母様が現れ、ニネットの頭を優しく撫でながら、私に厳しい視線を注いできました。
私もニネットも、お父様とお母様の実の子どもです。けれど長女はまるで他人の子のように似ておらず、逆に次女は自分達の面影が強く出ていました。
そのためお二人は自分達そっくりなニネットをずっと溺愛してきて、対極にある私は反対に、冷遇されてきたのです。
「何度も言っているように、わたくしは上位互換。その気になりさえすれば、交際中であっても自分のものにできるのだけれど――。割り込んできたら、どうしても印象が悪くなってしまうでしょう? そこで、手を引け、なんですの。一度真っ白にしておいて、わたくしが近づくんですの」
「次にお会いした際に関係の解消を申し出て、しっかりと距離を取るんだ。……もし断るのであれば、お前の居場所はこの屋敷からなくなる。それでもいいんだな?」
「よいのなら、交際を続けなさい。それが嫌なのなら、大人しく従ってニネットに協力すると誓いなさい。さあどうするの、アンジェリーヌ」
「分かりました。私は身を引き、ニネットに協力します」
今はまだ準備をしてくださっている途中でして、このタイミングで追い出されてしまっては計画が台無しになってしまいます。それになにより――。ダーファルズ様はああいった方ですので好意は全くなく、ニネットが動き出すことにデメリットはなにもありません。
なので即座に、私は顎を引きました。
「では早速、役に立ってもらいましょうか。お姉様、次エドモン様とお会いできるのはいつですの?」
「……次は……。一週間後のパーティー。私達が参加するものに、参加される予定になっているみたいだよ」
『来週こそ、いい返事を聞かせろ』
ご本人がそう仰っていたので、間違いありません。それまではお忙しいらしく、そちらが最短になるそうです。
「だったらそこで、仕掛けましょう。お姉様。その時に関係の解消を口にして――ウロウロされたら、目障りですわね。そのあとは適当に、壁の花にでもなっていてくださいな」
「そうだ、アンジェリーヌ。拒否によるお怒りが、我が家に向かないようにしておけよ」
「もし少しでも我が家とニネットに悪影響があれば、一か月間夕食を抜きにするわよ。肝に銘じておきなさい」
「畏まりました、お父様お母様。そういったことも、しっかりと行わせていただきます」
先述した理由で、私にダメージはありませんので。即座に改めて頷きを返すと、『ニヤリ』が3つ返ってきます。
今日もニネットは私を服従させたことを悦び、お父様とお母様はそれを見て悦んで。3人は上機嫌で、部屋を去ったのでした。
全員が、大きな勘違いをしてしまっているとも知らずに――。
まるで、酷くサディスティックな悪魔のよう。ニネットは禍々しい笑みを浮かべ、嬉々として息を吐きました。
この子は昔から、私が好きと言ったものを好きになる子。なので彼女の中では今、ダーファルズ様が最愛の方となってしまっているのです。
「わたくしは顔もスタイルも頭脳も心も、お姉様の遥かに上を行く美少女ですもの。上位互換なんですもの。お姉様に興味を持った方なら猶更、わたくしが本気を出せばコロリと心変わりをさせられますのよ」
「アンジェリーヌ、お前はお姉ちゃんだろう。可愛い妹に譲ってあげなさい」
「妹の応援をするのが姉の役目よ。どこまで仲が進んでいるのかは知らないけれど、貴方は手を引きなさい。いいわね?」
ニネットが喋っているとガレオお父様とナディアお母様が現れ、ニネットの頭を優しく撫でながら、私に厳しい視線を注いできました。
私もニネットも、お父様とお母様の実の子どもです。けれど長女はまるで他人の子のように似ておらず、逆に次女は自分達の面影が強く出ていました。
そのためお二人は自分達そっくりなニネットをずっと溺愛してきて、対極にある私は反対に、冷遇されてきたのです。
「何度も言っているように、わたくしは上位互換。その気になりさえすれば、交際中であっても自分のものにできるのだけれど――。割り込んできたら、どうしても印象が悪くなってしまうでしょう? そこで、手を引け、なんですの。一度真っ白にしておいて、わたくしが近づくんですの」
「次にお会いした際に関係の解消を申し出て、しっかりと距離を取るんだ。……もし断るのであれば、お前の居場所はこの屋敷からなくなる。それでもいいんだな?」
「よいのなら、交際を続けなさい。それが嫌なのなら、大人しく従ってニネットに協力すると誓いなさい。さあどうするの、アンジェリーヌ」
「分かりました。私は身を引き、ニネットに協力します」
今はまだ準備をしてくださっている途中でして、このタイミングで追い出されてしまっては計画が台無しになってしまいます。それになにより――。ダーファルズ様はああいった方ですので好意は全くなく、ニネットが動き出すことにデメリットはなにもありません。
なので即座に、私は顎を引きました。
「では早速、役に立ってもらいましょうか。お姉様、次エドモン様とお会いできるのはいつですの?」
「……次は……。一週間後のパーティー。私達が参加するものに、参加される予定になっているみたいだよ」
『来週こそ、いい返事を聞かせろ』
ご本人がそう仰っていたので、間違いありません。それまではお忙しいらしく、そちらが最短になるそうです。
「だったらそこで、仕掛けましょう。お姉様。その時に関係の解消を口にして――ウロウロされたら、目障りですわね。そのあとは適当に、壁の花にでもなっていてくださいな」
「そうだ、アンジェリーヌ。拒否によるお怒りが、我が家に向かないようにしておけよ」
「もし少しでも我が家とニネットに悪影響があれば、一か月間夕食を抜きにするわよ。肝に銘じておきなさい」
「畏まりました、お父様お母様。そういったことも、しっかりと行わせていただきます」
先述した理由で、私にダメージはありませんので。即座に改めて頷きを返すと、『ニヤリ』が3つ返ってきます。
今日もニネットは私を服従させたことを悦び、お父様とお母様はそれを見て悦んで。3人は上機嫌で、部屋を去ったのでした。
全員が、大きな勘違いをしてしまっているとも知らずに――。
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