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第1話 誰のことを言っているの……? アンジェリーヌ視点(1)
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「まだしらを切るんですのね。いいですわ、はっきり言ってあげましょう。お姉様の恋人は、ダーファルズ伯爵家のエドモン様ですわ!」
誰のことを言っているの……? そう思っていたら、予想だにしない方のお名前が出てきました。
ダーファルズ様と私が、交際……? どうしてそのような結論に……?
「お姉様は前回、前々回、前々々回、その前、更にその前も、途中でパーティーを抜けていましたでしょう? わたくしに隠れて、いつの間にかコッソリ会場からいなくなっていたでしょう?」
「私は、内緒にしていないよ? ニネットがお相手探しに夢中で、聞こうとしなかっただけで――」
「つまらない嘘を挟まないでくださいまし。続けますわよ」
この子も同じ場所にいて、一応は家族ですので、『席を外す』と伝えようとしていました。ですがそうすると『邪魔をしないで』と鋭い視線が返ってきたため、説明をせずに移動しただけなのです。
「そのせいで今まで全く気が付かなかったのですけれど、昨夜は違う。わたくしは何も言わずに会場から出てゆくお姉様を発見し、密かにあとをつけましたのよ」
……昨夜も私は、伝えようとしました。ですが同様の理由で、伝えられなかっただけなのです。
「そうしたらなんと、中庭でエドモン様と2人きりだった。しかも会場に戻って知人に聞いてみたら、過去に5回もエドモン様とコッソリ抜け出していたそうじゃありませんの。……聡明なわたくしは、それを知りピンときましたの。真実を突き止めましたの。エドモン様と隠れて交際をしていたと……!!」
「………………」
「ふふふふ、アンジェリーヌお姉様ぁ。わたくしはお姉様より遥かに美人な美少女で、エドモン様は長背の美男。『もしもニネットが興味を持ったら、簡単に奪われてしまう……!』、『こんな素敵な方を奪われたくない……っ』。そう思って関係を隠そうとしていたのでしょう? でも残念でしたわねぇ。何もかにも、気付いているんですのよ」
「………………」
「あらあら、まあまあ、壊れたブリキのお人形みたいになっちゃって。見破られたことが、そんなにもショックだったんですのねぇ」
それは、違います。
確かに私は何度も、ダーファルズ様と2人きりになっています。ですがその理由は――
「ネズレント子爵家のアンジェリーヌだよな? お前が気に入った。俺のものになれ」
「ウチは伯爵家の中では断トツで、侯爵家以上もの資産があるんだ。俺のものになれば、欲しいものはなんでも買ってやるぞ」
「アンジェリーヌ、なぜ理解できないんだ。お前の家は子爵家の中でも下で、こっちは伯爵家の枠を超える力があるんだぞ。俺のものになれば、幸せな生活が待っているんだぞ?」
「金があり、顔も整っている、22歳のお兄様。これの何が不満なんだ? アンジェリーヌ、断言しよう。こんな男に好意を抱かれているんだ。それは名誉なことなんだぞ? 俺の気持ちをありがたく受け取るべきだ」
ダーファルズ様が私に興味を持たれ、ですが私にはすでに恋人がいますし、こんな性格の方ですので……。ムードのある場所に呼び出される、お断りするを、繰り返していただけなのです。
ですので、私は――。
ニネットがあまりに的外れな推理をしてしまっていたため、そちらに驚いてしまっていただけなのです。
誰のことを言っているの……? そう思っていたら、予想だにしない方のお名前が出てきました。
ダーファルズ様と私が、交際……? どうしてそのような結論に……?
「お姉様は前回、前々回、前々々回、その前、更にその前も、途中でパーティーを抜けていましたでしょう? わたくしに隠れて、いつの間にかコッソリ会場からいなくなっていたでしょう?」
「私は、内緒にしていないよ? ニネットがお相手探しに夢中で、聞こうとしなかっただけで――」
「つまらない嘘を挟まないでくださいまし。続けますわよ」
この子も同じ場所にいて、一応は家族ですので、『席を外す』と伝えようとしていました。ですがそうすると『邪魔をしないで』と鋭い視線が返ってきたため、説明をせずに移動しただけなのです。
「そのせいで今まで全く気が付かなかったのですけれど、昨夜は違う。わたくしは何も言わずに会場から出てゆくお姉様を発見し、密かにあとをつけましたのよ」
……昨夜も私は、伝えようとしました。ですが同様の理由で、伝えられなかっただけなのです。
「そうしたらなんと、中庭でエドモン様と2人きりだった。しかも会場に戻って知人に聞いてみたら、過去に5回もエドモン様とコッソリ抜け出していたそうじゃありませんの。……聡明なわたくしは、それを知りピンときましたの。真実を突き止めましたの。エドモン様と隠れて交際をしていたと……!!」
「………………」
「ふふふふ、アンジェリーヌお姉様ぁ。わたくしはお姉様より遥かに美人な美少女で、エドモン様は長背の美男。『もしもニネットが興味を持ったら、簡単に奪われてしまう……!』、『こんな素敵な方を奪われたくない……っ』。そう思って関係を隠そうとしていたのでしょう? でも残念でしたわねぇ。何もかにも、気付いているんですのよ」
「………………」
「あらあら、まあまあ、壊れたブリキのお人形みたいになっちゃって。見破られたことが、そんなにもショックだったんですのねぇ」
それは、違います。
確かに私は何度も、ダーファルズ様と2人きりになっています。ですがその理由は――
「ネズレント子爵家のアンジェリーヌだよな? お前が気に入った。俺のものになれ」
「ウチは伯爵家の中では断トツで、侯爵家以上もの資産があるんだ。俺のものになれば、欲しいものはなんでも買ってやるぞ」
「アンジェリーヌ、なぜ理解できないんだ。お前の家は子爵家の中でも下で、こっちは伯爵家の枠を超える力があるんだぞ。俺のものになれば、幸せな生活が待っているんだぞ?」
「金があり、顔も整っている、22歳のお兄様。これの何が不満なんだ? アンジェリーヌ、断言しよう。こんな男に好意を抱かれているんだ。それは名誉なことなんだぞ? 俺の気持ちをありがたく受け取るべきだ」
ダーファルズ様が私に興味を持たれ、ですが私にはすでに恋人がいますし、こんな性格の方ですので……。ムードのある場所に呼び出される、お断りするを、繰り返していただけなのです。
ですので、私は――。
ニネットがあまりに的外れな推理をしてしまっていたため、そちらに驚いてしまっていただけなのです。
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