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第3話 夜会での出来事 俯瞰視点
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((ちぃっ……っ。くそが……‼ アンジェリーヌ・ネズレント……っ。なんて見る目のない女なんだ……っ‼))
内外ともに絢爛なドーリニット侯爵家邸内にある、賑々しく煌びやかなパーティー会場。そこへと戻ってきたエドモン・ダーファルズは、人知れず何度も舌を打ち鳴らしていました。
「ダーファルズ様、申し訳ございません。貴方様は、非常に魅力的な御方であられるのですが……。お気持ちにお応えすることはできません」
「何度そういったお言葉を頂いても、この気持ちであり考えが変わることはございません。……失礼致します」
その原因は、アンジェリーヌ。彼女はニネットと両親の指示に従い関係を絶ち、そうしてエドモンはようやく、何を言っても無駄なのだと理解しました。
そのため自分に絶対的な自信を持つ彼は、こうして激しく苛立っていたのです。
((こんなにも魅力あふれる男に惹かれないとは……っ。あそこまでバカなヤツだとは思わなかった……っ! 何が『申し訳ございません』だ! あんなバカ女はこっちからごめんだっ!!))
エドモンにとって、自分に魅力を感じない異性は全員がバカ。見る目がないダメな女。
よってその後もたっぷりとアンジェリーヌへと悪態をつき、手にしたドリンクを一気に飲み干します。
((…………まあ、いいだろう。俺はすべてにおいてパーフェクトな、相手を選べる立場にある男。そして――アンジェリーヌ・ネズレント程度の女は、この世にごまんといる))
むしろ、これでよかったんだ――。俺は一時の気の迷いで、最上位ではないどころか、最下位といえる女を妻にしようとしていたのだから――。あの出来事はいったん綺麗に忘れて、新たな出会いを探すとしよう――。真に、俺に相応しい人間を探すとしようじゃないか――。
そうしてようやく怒りが収まったエドモンは、パーティー会場を見回します。
((あんな女に夢中になってしまっていて、随分と周囲の景色が見えていなかった。この会場内に、いい女はいないか……?))
エドモンは、自分が操りたい、主導権を常時握りたいという性質を持つ男。そのため対象は同格かそれ以下の、スタイルと顔が良い令嬢。
彼は場内をウロウロしながら該当する人間を探し、そうしていると――
「エドモン・ダーファルズ様。わたくしに、お時間をいただけないでしょうか?」
目の前には露出度が高めのドレスを纏った、顔もスタイルも基準を満たす令嬢が――ニネット・ネズレントが、現れたのでした。
内外ともに絢爛なドーリニット侯爵家邸内にある、賑々しく煌びやかなパーティー会場。そこへと戻ってきたエドモン・ダーファルズは、人知れず何度も舌を打ち鳴らしていました。
「ダーファルズ様、申し訳ございません。貴方様は、非常に魅力的な御方であられるのですが……。お気持ちにお応えすることはできません」
「何度そういったお言葉を頂いても、この気持ちであり考えが変わることはございません。……失礼致します」
その原因は、アンジェリーヌ。彼女はニネットと両親の指示に従い関係を絶ち、そうしてエドモンはようやく、何を言っても無駄なのだと理解しました。
そのため自分に絶対的な自信を持つ彼は、こうして激しく苛立っていたのです。
((こんなにも魅力あふれる男に惹かれないとは……っ。あそこまでバカなヤツだとは思わなかった……っ! 何が『申し訳ございません』だ! あんなバカ女はこっちからごめんだっ!!))
エドモンにとって、自分に魅力を感じない異性は全員がバカ。見る目がないダメな女。
よってその後もたっぷりとアンジェリーヌへと悪態をつき、手にしたドリンクを一気に飲み干します。
((…………まあ、いいだろう。俺はすべてにおいてパーフェクトな、相手を選べる立場にある男。そして――アンジェリーヌ・ネズレント程度の女は、この世にごまんといる))
むしろ、これでよかったんだ――。俺は一時の気の迷いで、最上位ではないどころか、最下位といえる女を妻にしようとしていたのだから――。あの出来事はいったん綺麗に忘れて、新たな出会いを探すとしよう――。真に、俺に相応しい人間を探すとしようじゃないか――。
そうしてようやく怒りが収まったエドモンは、パーティー会場を見回します。
((あんな女に夢中になってしまっていて、随分と周囲の景色が見えていなかった。この会場内に、いい女はいないか……?))
エドモンは、自分が操りたい、主導権を常時握りたいという性質を持つ男。そのため対象は同格かそれ以下の、スタイルと顔が良い令嬢。
彼は場内をウロウロしながら該当する人間を探し、そうしていると――
「エドモン・ダーファルズ様。わたくしに、お時間をいただけないでしょうか?」
目の前には露出度が高めのドレスを纏った、顔もスタイルも基準を満たす令嬢が――ニネット・ネズレントが、現れたのでした。
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