お姉様、今度は貴方の恋人をもらいますわ。何でも奪っていく妹はそう言っていますが、その方は私の恋人ではありませんよ?

柚木ゆず

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第4話 接触開始 ニネット視点(1)

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((ふふふっ。作戦その1は成功。早速、お姉様が役立ちましたわね))

 イライラしながら会場に戻られた、エドモン様。わたくしはそんな様子を密かに確認しながら、心の中で大きく口元を緩めていました。

 わたくしは内外ともに完璧な人間で、姉であるアンジェリーヌの上位互換。実力勝負をすれば、あっさりと勝ててしまう美少女ですわ。

 けれどエドモン様はお姉様と交際をしていて、そんなところに割り込んでしまうと、印象が悪くなってしまいますものね。そこでまずは、邪魔者を排除する。
 声をかけても悪印象を抱かれないように、しておきましたの。

 自らの手で奪い取ることは、実際に簡単。

 それは情けない強がりではなくて、紛れもない事実。なのだけれど、エドモン様は生涯仲良くしたい方ですもの。今後、将来を考えて、こうしておきましたの。

(ニネット。お父様やお母様、ニネットに言われた通りに動いたよ。私は会場の隅で――)
(関係を絶った女と仲良く話していたら、わたくしまで印象が悪くなってしまいますわ。報告なんていらないから、さっさと離れてくださいまし)

 しっしっし。
 近寄ってきたお姉様を目で追い払い、パーティーを楽しむフリをしながら、エドモン様のチェックを行う。

((激しくイライラしている時に接触するのは、賢くない方法ですものね))

 そこで、エドモン様が落ち着かれるのを待つ。

「………………」
((怒りが抜けてきつつありますけど――。もう少し、ですわね))

 まだまだパーティーの時間は、ありますもの。焦らず、じっくり。その時を待つ。

「………………」
((エドモン様が、動き出されましたわ。そろそろ、ですわね))

 お顔はスッキリされていて、お姉様のことはすっかり頭から追い出されたみたい。
 チャンス。行動開始の時ですわ。

((さあニネット、参りましょう。素敵な方との関係を深めに))

 堀が非常に深いお顔。がっしりとしたお体。野性味溢れる雰囲気。今まで全然気が付かなかったけれど・・・・・・・・・・・・・・・・、たくさんの長所を持つ長所の塊のような御方。
 私はそんな方のもとへと歩を進め、

「エドモン・ダーファルズ様。わたくしに、お時間をいただけないでしょうか?」

 うふふふふふふ。作戦その2を、始めたのでしたっ。

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