私を利用するための婚約だと気付いたので、別れるまでチクチク攻撃することにしました

柚木ゆず

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第8話 二つの仕込みが、花となる エリック視点 (3)

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「エリック。ちゃんと、説明してもらいますわよ」

 こちらへと振り向いたリウは、仁王立ちになってネックレスを握り締める。
 くそぉ……っ。あれだけ祈ったのに、どいつもこいつも何もしてくれなかった……っ。見つかってしまった……っっ。

「エリック。聞かせてくださいな。否定した噂と同じドラム型のネックレスが、なぜここにありますの?」

 いつもは愛らしいリウのツリ目は更に吊り上がり、ネックレスを握る手にも更に力がこもる。
 特に、その視線は鋭くて……。射抜かれそうな錯覚を引き起こすほどだ……。

「そ、それはね! ごめんっ! 俺は君に初めて、嘘を吐いていたんだっ!」
「……………………」
「あの日の出来事は、一部を意図的に隠していたっ! 俺は違う店を提案したのに、アイツがあの店に興味を示しやがって……っ。あまつさえ、ペアで欲しいと言いだしやがって……っ。真っ先に君の姿が過ったものの、周囲の目もあって……。作戦の一環として、仕方なく――」
「だったら。どうして、内緒にしてましたの?」

 遮った声は、普段はもう別物。いつもは高めの綺麗な声が、低くなっている。

「作戦の一環なら、誤解を招かないように伝えますわよね? どうして、秘密にしていましたの?」
「…………………前回君は俺の浮気を疑っていて、悪い方向に解釈されてしまう可能性があった。だから申し訳ないと思ったけれど、嘘をついて黙っていたんだよ」
「……………ふーん。その気はない、という事ですのね?」
「当たり前だよ! あんな女に興味は微塵もなく、この瞳には君しか映っていない!」
「……………そうですのね。でもその割に貴方は、とても良い物・・・・・・を贈っていますわね」

 リウは一部を強く発音し、「2つで300万、1つは150万」と続けた。

「150万もする物を、興味もない女に出せるとは思えませんわ。もしかしなくてもやっぱり、アイツに好意があるんじゃないんですの?」
「違う! それはアイツが我が儘を言って――」
「あの女は貴方にそこまでの我が儘を言うようには思えませんし、そもそも言いふらすような性格でもなかったはず。鑑みるに言い回ったのは、予期せぬプレゼントをもらったせい。よく考えてみると、パーティーでの騒動も不自然――このタイミングで急に本性を出すのは、不自然だった。…………嘘というのが嘘、なんじゃないんですの?」

 リウは何度も首を振ったあと、忌々しげに俺の足元へとネックレスを投げつける。
 そして――。彼女の顔にはもう俺を疑う色しかなく、取り付く島もないと明白だった……。

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