見える私と聞こえる転校生

柚木ゆず

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第10話 北山さんの家 真鈴視点(3)

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「………………」
「………………」
 私達は、おもわず顔を見合わせてしまう。

『あなた達も仲間だったのね!? いい加減にしてっっ!! 今すぐここから消えなさいっ!! 消えろ!!』


 奈々子さんの様子が急に変わって、ものすごい勢いで叫んだ。
 その衝撃がすごすぎて、揃って言葉を失ってしまったのです。

「………………な、なんか勘違いされちゃってるみたいだね。誤解を解かないと――」

『これ以上わたし達の家の前にいると警察を呼ぶわよ!! 呼ばれたくなかったら10秒以内に消えなさいっ!! 二度と来るな!!』

「――この場で解くのは、無理だね」
「僕達の話を、聞いてもらえそうにないですね。一旦離れましょう」

 警察を呼ばれたら、面倒なことになっちゃいそう。仕方ないから急いで北山さんの家が見えなくなるまで離れて、私達は同じタイミングで天を仰いだ。

「こんなことになるなんて、予想外だよ」
「門前払いされるとは、思っていませんでした。困りましたね」
「……奈々子さんはさっき、仲間、って叫んでた。前に似たようなことがあって、その時に酷い目にあったみたいだね」

 辛い目にあった時に同じことが起きちゃったら、私だって絶対にあんな態度になる。自分を守るために、必死になるよね。

「だったら、私達は違うって理解してもらえないと話はできない。原因を見つけないと」
「近所の方なら、何か知っているかもしれません。尋ねてみましょう」

 何かが起きたのは裕介さんが亡くなったあとで、あの場所に戻って裕介さんに聞いても知らない。私達で解決するしかない。

「奈々子さんに見つからないように注意しながら、北山さん家の隣の家に行ってみよう。まずは左側ね」

 そっちの方が近いし、右側の前を血まみれの化け物が歩いていた。色んな意味でそっちがよくって、コソコソ進んでお隣さんのチャイムを鳴ら――そうとしたらお家から、運よく五十代後半見える女性が出て来た。

「あら? お嬢ちゃんたち、うちに何か?」
「私達は以前北山裕介さんにお世話になった者でして、お焼香をあげさせていただきたいと思い伺ったんです。ですが裕介さんの話題を出した途端、強く断られてしまいまして……。どうしても上げていただきたくって、怒鳴られた理由を調べようって思ったんです」
「何があったのか、教えていただけないでしょうか?」

 少しでも信用してもらえるように、生徒手帳を――身分証を見せて、お願いしてみる。
 そうしたら――

「……ごめんなさいね。教えてあげたいけどほら、北山さんの問題だから。北山さんの許可なしで話すわけにはいかないのよ」

 ――そう、だよね。
 他人が勝手に話していい内容じゃないからと断られて、ダメ元で他のお家も当たってみたけれど、結果はおんなじだった。

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