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第1話 行き倒れていたのは レアナ視点(2)
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「我々をこちらで雇ってください!!」「わたくし達をこちらで雇ってください!!」「私達(わたくしたち)をこちらで雇ってください!!」
目を覚まし、ノンストップで大人5人分の食事を召し上がったあとのことでした。お三方は揃って両膝をつき、胸の前で手を組まれました。
「助けていただき、食事までこんなにもいただいている。散々御恩をいただいた上での発言、あまりにも厚かましいものだと重々承知しております」
「ご無礼と理解した上で、わたくし共はお願いをさせていただいております」
「私達には頼れる人も行く当てもなく、路頭に迷っておりまして……。貴方がたを頼らなければ、死んでしまうのです……」
藁にも縋る思い。胸の前で組まれている手も声も、震えていました。
「どうかっ、どうか! お願い致します!!」
「お願い致します!!」
「お願い致します!!」
「ホライザでは現在、ちょうど従業員を募集しております。皆様をお迎えすることはできますよ」
求人を出してはいませんが、ウチでは年中受け入れ態勢を整えています。ヴァランタンくんは雇用担当でもあるため、穏やかな笑みを浮かべながら床に膝をつきました。
「「「!! 本当ですか!?」」」
「はい、本当ですよ。ただ――お客様相手のお仕事故に、素性を知らないまま受け入れることはできません。皆様について教えていただけますか?」
「もちろんでございます!! 我々の全てをお教えします!!」
この方々に関しては、まだ名前すら知りません。
御三方は、どういった人達なのでしょうか……?
「まず我々は、この国の人間ではございません。恐らく、そちらの女性――貴方様の奥様と同じ、隣国エレトーファンの者です」
「はい、わたしはエレトーファンの出身です」
一目見た時から、同郷の方だと気付いていました。面白い偶然ですよね。
「なるほど、エレトーファン。皆さんはそちらで何をされていたのでしょうか?」
「………………」
「………………」
「………………」
「「??」」
御三方は、神妙な面持ちで頷き合いました。何か、言いにくいことがおあり……?
「………………ご内密にお願い致します」
「ご安心を。皆様が問題などを起こさない限り、この場で得た情報は口外しませんよ」
「痛み入ります。……実はですね……。我々は、貴族なんです」
!? きぞ……。
「エレトーファンに属するロドハイエ子爵家。我々はそこの当主ピエール、当主夫人ミサ、次女ポーリーヌなのでございます」
「……そんな……。バカな……!?」
「信じられないのも、無理はございません。ですが――こちらをご覧ください。こちらのペンダントを調べていただけると瞭然なのですが、この紋章はロドハイエ家のソレ。そしてこの装身具は、当主のみが身に着けることを許されたものなのですよ」
違う……。違います……。
わたしは疑いの意味で、おもわず独り言ちたのではありません。わたしが唖然となっている理由は――
((お父様……。お継母様(おかあさま)……。妹……))
目の前にいるのは、かつてわたしの家族だった人達だったから……。
今から8年前に、不祥事を捏造してわたしをお屋敷から追放した人達だったからなんです……。
目を覚まし、ノンストップで大人5人分の食事を召し上がったあとのことでした。お三方は揃って両膝をつき、胸の前で手を組まれました。
「助けていただき、食事までこんなにもいただいている。散々御恩をいただいた上での発言、あまりにも厚かましいものだと重々承知しております」
「ご無礼と理解した上で、わたくし共はお願いをさせていただいております」
「私達には頼れる人も行く当てもなく、路頭に迷っておりまして……。貴方がたを頼らなければ、死んでしまうのです……」
藁にも縋る思い。胸の前で組まれている手も声も、震えていました。
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「お願い致します!!」
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求人を出してはいませんが、ウチでは年中受け入れ態勢を整えています。ヴァランタンくんは雇用担当でもあるため、穏やかな笑みを浮かべながら床に膝をつきました。
「「「!! 本当ですか!?」」」
「はい、本当ですよ。ただ――お客様相手のお仕事故に、素性を知らないまま受け入れることはできません。皆様について教えていただけますか?」
「もちろんでございます!! 我々の全てをお教えします!!」
この方々に関しては、まだ名前すら知りません。
御三方は、どういった人達なのでしょうか……?
「まず我々は、この国の人間ではございません。恐らく、そちらの女性――貴方様の奥様と同じ、隣国エレトーファンの者です」
「はい、わたしはエレトーファンの出身です」
一目見た時から、同郷の方だと気付いていました。面白い偶然ですよね。
「なるほど、エレトーファン。皆さんはそちらで何をされていたのでしょうか?」
「………………」
「………………」
「………………」
「「??」」
御三方は、神妙な面持ちで頷き合いました。何か、言いにくいことがおあり……?
「………………ご内密にお願い致します」
「ご安心を。皆様が問題などを起こさない限り、この場で得た情報は口外しませんよ」
「痛み入ります。……実はですね……。我々は、貴族なんです」
!? きぞ……。
「エレトーファンに属するロドハイエ子爵家。我々はそこの当主ピエール、当主夫人ミサ、次女ポーリーヌなのでございます」
「……そんな……。バカな……!?」
「信じられないのも、無理はございません。ですが――こちらをご覧ください。こちらのペンダントを調べていただけると瞭然なのですが、この紋章はロドハイエ家のソレ。そしてこの装身具は、当主のみが身に着けることを許されたものなのですよ」
違う……。違います……。
わたしは疑いの意味で、おもわず独り言ちたのではありません。わたしが唖然となっている理由は――
((お父様……。お継母様(おかあさま)……。妹……))
目の前にいるのは、かつてわたしの家族だった人達だったから……。
今から8年前に、不祥事を捏造してわたしをお屋敷から追放した人達だったからなんです……。
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