行き倒れていた人達を助けたら、8年前にわたしを追い出した元家族でした

柚木ゆず

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第2話 過去 レアナ視点(1)

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「お父様! ミサお継母様! ポーリーヌっ! どうなっているのですか!?」

 それはわたしがまだ隣国エレトーファンにいて、ロドハイエ子爵令嬢フィエナだった頃の出来事。招待されていたお茶会から帰ってくると、わたしは『金庫のお金を盗んだ』など計4つの罪で追放されることになっていたんです。

「どうして、こんな……」
「すまんな、フィエナ。ミサとポーリーヌに頼まれたのだよ」

 わたしの実の母親であるミントお母様はわたしが4歳の時に亡くなり、その後ミサお継母様と再婚してポーリーヌが生まれました。
 お継母様にとっては『フィエナ』は唯一血が繋がっていない存在で、前妻の影が残る存在を鬱陶しく感じていた――ポーリーヌも成長するにつれて、同じような感情を抱くようになっていました。

 ――邪魔者を消したい――。

 より快適な環境で過ごせるようお父様にお願いをして、お継母様を愛してやまないお父様は快諾。率先して捏造をしていたのです。

「お父様っ! ミントお母様との約束を忘れたのですか!?」
「『わたくしの分までフィエナを守ってください』、だろう? 忘れてはおらんよ」
「でしたらなぜっ!!」
「簡単な話だ。より願いを叶えてあげたい存在がいるからだ」

 ミントもお前も大切な存在だが、それ以上にミサは――ポーリーヌも、大切な存在なのだよ――。
 お父様は目尻を下げ、ミサお継母様とポーリーヌを抱き寄せました。

「……そんな……。酷い……」
「悪いのは、私に心変わりをする切っ掛けを作ったミントだ。怨むならアレを怨むのだな」

 更にお父様は平然と暴言を吐き、もう、何を言っても意味はありませんでした。わたしは身柄を拘束されて馬車に押し込まれ、国境を越えて隣国『ゼルソア』に入ったところで捨てられてしまったのでした。

「旦那様からだ。ありがたく受け取るといい」

 その際にお金を渡されましたが、あまりにも少なくなんの足しにもなりませんでした。そこでわたしはそのお金を使って、ジョンおじ様を――昔から可愛がってくださっていたお父様の旧友のもとを訪ねるのですが、そこでもショックな出来事がわたしを襲います。

「フィエナ? そんな名前の人間、知らんよ。早く消えてくれ」

 ジョンおじ様が優しくしてくれていたのは、わたしが貴族だったから。親切にするメリットがないと知るや追い出されてしまい、渡されたお金はここに来る費用に回してしまったため、路頭に迷う羽目になりました。

((どう、しましょう……。………………? 『ラッカーゾス祭(さい)』? そういえば今日から、『ラッカーゾス』でお祭りが――! ラッカーゾスに行ってみましょう!))

 1か月間人の流れが急激に増えて、特にお宿や飲食店は大忙しになる――。隣国にいてもそのお話は有名で、今ならこんなわたしでももしかしたら雇ってもらえるかもしれない。
 働いてお金をいただき、第二の人生を送るための土台を作れるかもしれない。
 お母様がこれ以上悲しまないよう『絶対に生きる』『生きて幸せになる』と決めているわたしは徒歩でラッカーゾスを目指し――


 その街で、大切で大好きになる人と出逢うのでした。


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