行き倒れていた人達を助けたら、8年前にわたしを追い出した元家族でした

柚木ゆず

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第14話 裏側 レアナ視点

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「ただいまレアナちゃん。こちらで間違いないかな?」
「お帰りなさい、ヴァランタンくん。………………はい。間違いありません」

 お家(うち)に戻ってきたヴァランタンくんから大事に手渡された、ダイヤモンドのネックレス。しっかりと見つめ、しっかりと触れたあと、わたしは大粒の涙を零しながら胸に抱きしめました。
 だってこのネックレスは、お母様の形見なのですから。

『……レアナ……。これを、受け取って、ちょうだい……』
『おかあ、さま……。こちらは、おかあさまの、だいじな……』
『わたくしはもうすぐ、貴方の傍には、いられなくなっちゃう、けど……。このネックレスを通して…………お空の上から、見守っているわ……』
『おかあさま……』
『姿は見えない、けど……ずっと、一緒に、いるわ……。だから、あんしん、して、ね……』

『お父様っ、お願い致します! せめてそのネックレスだけは返してください!!』
『それはできんよ。なにせこいつは、質のいい大粒のダイヤモンドを使っている。高く売れるのでな』
『そちらがないとっ、お母様と一緒にいられないんです! お願いしますっ!』
『馬鹿馬鹿しい。ネックレスを通して見守ることなんてできるわけがないだろう。持っていてもミントとは一緒に居られないのだから、おんなじだ』

 罪を着せられ追放される時に、私物はすべて取り上げられてしまいました。
 あの時のわたしは涙が涸れるまで泣き続け……。もう二度と再会できないと覚悟し、ずっと諦めてしまっていたのです。

「また会えるなんて、夢にも思っていませんでした……。奇跡、です」
「再会までの経緯を振り返ると、奇跡としか言いようがないよね。お義母さんもずっとレアナちゃんにまた会いたいと強く思っていて、きっとその想いが二人を再び引き寄せたんだろうね」
「はい……! はい……っ! はい……っ!!」
「レアナちゃんは、大切な人との再会をゆっくり楽しんでいて。僕は、仕上げをしてくるから」
「待ってください。わたしも一緒に行きます」

 今回の件と形見との再会。これらによって、あの人達との縁は完全に切れることとなります。

 ――最後の別れを告げよう――。

 そんな思いでわたしは同行を決め、三人がいる部屋へと向かったのでした。





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