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第15話 久しぶり、さようなら レアナ視点(1)
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「「「? ??」」」
言い分が全て嘘だと断言できる理由が現れたと思ったら、その人は副支配人の妻だった。ますます混乱してしまったみたいなので、わたしの正体を告げましょう。
「お父様、お継母様、ポーリーヌ。この名前で会うのは8年ぶりですね。貴方たちが追い出した、フィエナです」
「フィエナ!? 馬鹿な……!」
「そんな……」
「ありえ、ない……」
「いいえ、わたしは本物ですよ。その証拠に、フィエナしか知らない情報を公開しましょう」
お屋敷にいた頃のお父様は毎日日記をつけていて、デスクの上から2番目の引き出しに赤色の日記帳を入れていた。お継母様は入浴時に決まって口ずさむ歌があり、そのタイトルは『湖の女神』。ポーリーヌは5歳の頃にオデコに止まってから蝶が苦手になり、蝶を見るだけで鳥肌が立ってしまう。などなど。
合わせて6個のプライベートな情報を伝えました。
「…………本当に……フィエナ、だというのか……」
「ええ、わたしはかつて貴方がたの家族だった者ですよ。この国で路頭に迷っていたところを、ヴァランタンくんに助けられたんです」
家族に裏切られて。慕っていた人にも見捨てられて。絶望の中にいたわたしを、すくい上げてくれました。
「その後わたしはレアナと名前を変えてホライザで働くようになり、今に至ります。……まさかあんな形でまた会うだなんて、驚きましたよ」
「……そう、か……。お前は我々に気付いた時から、我々を追い出そうとしていたんだ……」
「違う、レアナちゃんはそんなことは微塵も考えていない。忘れたのか? 自分達がこうなった理由を」
「助けたのが元家族だったと知った時、思うところはありました。ですがわたしは、静観すると決めたのですよ。貴方がたがそうなっているのは、貴方がたの行いのせいです」
真面目に働いていたらずっとスタッフでいられましたし、フィエナとして現れることもありませんでした。
全部、自分達の言動が招いたものです。
「……紹介が終わりましたので、お話を戻しましょう。わたしがいるため、貴方がたの発言には嘘があると分かった。約束を違えたため、『見逃し』はなしとなりました」
「卑怯だぞ!! この結末に誘導しているではないか!! そこにあるものを奪い取りたかっただけではないか!!」
「そうよ!」
「そうですわ!」
「奪い取る? 違います。奪い取ったのはお父様達ですよ?」
ネックレスはお母様からあの時いただいたもので、その他はおじい様とおばあ様からの誕生日プレゼント。お父様もお継母様もポーリーヌも一切関係のない、わたしの所有物だったんです。
ヴァランタンくんはその件についてもよく知っていて、だからこそわたしのために乗ったフリをしてくれていました。
「真実は、ご自身がよく分かっていますよね?」
「「「………………」」」
「以上が先ほどの続きで、以上で解説はお仕舞となります。これ以上貴方がたとお話しすることはありませんし、するつもりもありません。ですので、最後に――」
「まっ、待ってくれ!」「待って頂戴!」「待ってください!」
――三人の大声が重なり、懇願の目線がわたしへと注がれるようになりました。
この言葉と眼差し。もしかしなくても――
言い分が全て嘘だと断言できる理由が現れたと思ったら、その人は副支配人の妻だった。ますます混乱してしまったみたいなので、わたしの正体を告げましょう。
「お父様、お継母様、ポーリーヌ。この名前で会うのは8年ぶりですね。貴方たちが追い出した、フィエナです」
「フィエナ!? 馬鹿な……!」
「そんな……」
「ありえ、ない……」
「いいえ、わたしは本物ですよ。その証拠に、フィエナしか知らない情報を公開しましょう」
お屋敷にいた頃のお父様は毎日日記をつけていて、デスクの上から2番目の引き出しに赤色の日記帳を入れていた。お継母様は入浴時に決まって口ずさむ歌があり、そのタイトルは『湖の女神』。ポーリーヌは5歳の頃にオデコに止まってから蝶が苦手になり、蝶を見るだけで鳥肌が立ってしまう。などなど。
合わせて6個のプライベートな情報を伝えました。
「…………本当に……フィエナ、だというのか……」
「ええ、わたしはかつて貴方がたの家族だった者ですよ。この国で路頭に迷っていたところを、ヴァランタンくんに助けられたんです」
家族に裏切られて。慕っていた人にも見捨てられて。絶望の中にいたわたしを、すくい上げてくれました。
「その後わたしはレアナと名前を変えてホライザで働くようになり、今に至ります。……まさかあんな形でまた会うだなんて、驚きましたよ」
「……そう、か……。お前は我々に気付いた時から、我々を追い出そうとしていたんだ……」
「違う、レアナちゃんはそんなことは微塵も考えていない。忘れたのか? 自分達がこうなった理由を」
「助けたのが元家族だったと知った時、思うところはありました。ですがわたしは、静観すると決めたのですよ。貴方がたがそうなっているのは、貴方がたの行いのせいです」
真面目に働いていたらずっとスタッフでいられましたし、フィエナとして現れることもありませんでした。
全部、自分達の言動が招いたものです。
「……紹介が終わりましたので、お話を戻しましょう。わたしがいるため、貴方がたの発言には嘘があると分かった。約束を違えたため、『見逃し』はなしとなりました」
「卑怯だぞ!! この結末に誘導しているではないか!! そこにあるものを奪い取りたかっただけではないか!!」
「そうよ!」
「そうですわ!」
「奪い取る? 違います。奪い取ったのはお父様達ですよ?」
ネックレスはお母様からあの時いただいたもので、その他はおじい様とおばあ様からの誕生日プレゼント。お父様もお継母様もポーリーヌも一切関係のない、わたしの所有物だったんです。
ヴァランタンくんはその件についてもよく知っていて、だからこそわたしのために乗ったフリをしてくれていました。
「真実は、ご自身がよく分かっていますよね?」
「「「………………」」」
「以上が先ほどの続きで、以上で解説はお仕舞となります。これ以上貴方がたとお話しすることはありませんし、するつもりもありません。ですので、最後に――」
「まっ、待ってくれ!」「待って頂戴!」「待ってください!」
――三人の大声が重なり、懇願の目線がわたしへと注がれるようになりました。
この言葉と眼差し。もしかしなくても――
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