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第15話 久しぶり、さようなら レアナ視点(2)
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「どうにか、見逃してくれないか……? 家族のよしみで……」
思った通りでした。お父様達は――……いえ、違いますね。
お父様の、その様子は……。思った通りではありましたが、100パーセント思った通りではない。声は揃っていますが、思惑は揃っていないようです。
「私は、お前の父親。お前にはミントと私の血が流れている」
「……そうですね」
「この中で私だけが、唯一完全な家族なのだ。身体に流れる血に免じて……。どうか、どうか私だけでも助けて欲しい」
「あなた!? そんなの――」「お父様!? そんなの――」
「五月蠅い黙れ!! 元はといえばお前達に原因があるのだぞ!!」
フィエナを疎ましく思わなければ自分は何もしなかった――。こうなったのはお前達のせいだ――。元凶は口を噤んでいろ――。
お父様はふたりを鋭く睨みつけ、わたしへと向き直りました。
「発端であるこやつらとは違って、私にはまだ酌量の余地があるはずだ……! それに、なにより……」
「なにより? なんですか?」
「…………私にこれ以上何かあったら……。ミントは悲しむと思うのだよ」
悲しむ。
お母様が。
「我々は政略結婚だったが、共に過ごすうちに愛が芽生えていた。ひとりの人間として愛し、愛されていたのだ。確かにあんな真似をしてしまったが、それでもミントなら一度の過ちで見捨てはしない。夫である私には分かるのだ」
「………………」
「このまま話を進めてしまったら、ミントも辛い思いをする。この罪っ、これまでの罪はちゃんと清算すると約束する! 一生をかけて償う!! だから、だから私だけでも助けて欲しい!!」
「………………ヴァランタンくん、お願いします」
よろしくお願いします。
「あっ、ありがとう! ありがとう!! 恩に着る!! やはり私の家族はミントとフィエナだ――」
「なにを喜んでいるんだ? レアナちゃんは、『助けてあげて』と言っているんじゃない。『連れて行って』と言っているんだぞ」
「なっ! ち、違うだろう!? な、なあフィエナ!?」
「………………」
「無言が答えだ。……おめでたい生き物だな」
家族という単語を出せば、お母様を出せば、自分だけはどうにかなると思うだなんて。本当に愚かです。
「フィエナ! フィエナ!! フィエナあっ!!」
「その名前の人間は、8年前に消えた。ここにいる彼女は、レアナだ」
「フィエナ! 私の娘! 私とミントの娘よ!! どうか――」
「随分とお待たせしました。この者達をお願いします」
ヴァランタンくんの合図で三人の男性が入って来て、お父様達が何を言っても意味はありません。全員が黙々と縛り付けられている椅子ごと持ち上げ、荷物のように運ばれていったのでした。
思った通りでした。お父様達は――……いえ、違いますね。
お父様の、その様子は……。思った通りではありましたが、100パーセント思った通りではない。声は揃っていますが、思惑は揃っていないようです。
「私は、お前の父親。お前にはミントと私の血が流れている」
「……そうですね」
「この中で私だけが、唯一完全な家族なのだ。身体に流れる血に免じて……。どうか、どうか私だけでも助けて欲しい」
「あなた!? そんなの――」「お父様!? そんなの――」
「五月蠅い黙れ!! 元はといえばお前達に原因があるのだぞ!!」
フィエナを疎ましく思わなければ自分は何もしなかった――。こうなったのはお前達のせいだ――。元凶は口を噤んでいろ――。
お父様はふたりを鋭く睨みつけ、わたしへと向き直りました。
「発端であるこやつらとは違って、私にはまだ酌量の余地があるはずだ……! それに、なにより……」
「なにより? なんですか?」
「…………私にこれ以上何かあったら……。ミントは悲しむと思うのだよ」
悲しむ。
お母様が。
「我々は政略結婚だったが、共に過ごすうちに愛が芽生えていた。ひとりの人間として愛し、愛されていたのだ。確かにあんな真似をしてしまったが、それでもミントなら一度の過ちで見捨てはしない。夫である私には分かるのだ」
「………………」
「このまま話を進めてしまったら、ミントも辛い思いをする。この罪っ、これまでの罪はちゃんと清算すると約束する! 一生をかけて償う!! だから、だから私だけでも助けて欲しい!!」
「………………ヴァランタンくん、お願いします」
よろしくお願いします。
「あっ、ありがとう! ありがとう!! 恩に着る!! やはり私の家族はミントとフィエナだ――」
「なにを喜んでいるんだ? レアナちゃんは、『助けてあげて』と言っているんじゃない。『連れて行って』と言っているんだぞ」
「なっ! ち、違うだろう!? な、なあフィエナ!?」
「………………」
「無言が答えだ。……おめでたい生き物だな」
家族という単語を出せば、お母様を出せば、自分だけはどうにかなると思うだなんて。本当に愚かです。
「フィエナ! フィエナ!! フィエナあっ!!」
「その名前の人間は、8年前に消えた。ここにいる彼女は、レアナだ」
「フィエナ! 私の娘! 私とミントの娘よ!! どうか――」
「随分とお待たせしました。この者達をお願いします」
ヴァランタンくんの合図で三人の男性が入って来て、お父様達が何を言っても意味はありません。全員が黙々と縛り付けられている椅子ごと持ち上げ、荷物のように運ばれていったのでした。
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