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第16話 その後の三人は 俯瞰視点(1)
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「あはははは! あーはははははははっ!」
「あーはっはっはっ! あははははははははっ!」
連行用の馬車の車内には、ミサとポーリーヌの狂気じみた笑い声が響き渡っていました。
王家と大公家が関わっているところに目をつけられていた、そう気付いた恐怖でそうなった――のではなく、二人がこうなっている原因は向かいにいる父ピエールにありました。
『この中で私だけが、唯一完全な家族なのだ。身体に流れる血に免じて……。どうか、どうか私だけでも助けて欲しい』
絶体絶命の状況で自分達を裏切り、自分だけ助かろうとした。その瞬間2人の怒りは頂点に達していて、そんな中で大失敗に終わった。
ピエールの有様が面白くて仕方がなかったのです。
「家族のよしみで……ですって! どう思うポーリーヌっ?」
「滑稽ですわ! よくもまああんな言い分が通ると思いましたわねぇ? ああそうですわっ。ド級のバカだから気が付かないんですのねぇ!」
「普通は気付くものね! やるってことはバカなのよ! あ~やだやだ。恥ずかしい」
「しかもプライドを捨てて懇願しての、大失敗ですもの。余計に恥ずかしい。私なら恥ずかしすぎて自ら命を絶ってますわ!」
「そうよねぇ、わたくしも同じよ。……あ~あ、鬱陶しい。この場で舌を噛んで死んでくれないかしら」
貴族界でも有名になるほどにピエールとミサの仲は良く、親子の仲も非常に良好でした。
しかしながらそんな関係は、あの瞬間崩壊。二人はすっかり激しく憎むようになっていて――
「黙れ黙れ黙れ!! お前達のせいなんだぞ!!」
――ソレは、ピエールも同じ。
彼もまた『元凶』である二人を激しく憎んでいました。
「お前達が追い出せと言い出さなければフィエナはずっとウチにいて他貴族のもとに嫁入りしていたんだぞ!? そのパイプがあれば対応できたかもしれないっいいや確実に対応できていたんだ!! なにもかもお前達のせいだ!!」
「なによ今更!! あなただって嬉々としてやっていたじゃないのよ!!」
「擦り付けないで!! そっちには『私達を叱って止める』っていう選択肢があったじゃないのっ! やった以上そっちも同罪!! むしろ実行したそっちが一番悪いわ!!」
「ふざけるな!! お前なんかと再婚しなければ……! お前なんか生まれてこなければ……!!」
「なんですって!? こっちだってねえっ、あなたみたいな冴えない男と結婚するのは嫌だったわよ!! 女神さまがゴミと結婚してあげたのよ!? ありがたく思いなさい!!」
「こんなバカなと同じ血が流れているだなんて苦痛っ、地獄ですわ!! お父様じゃない男性が父親ならもっともっと美しくなれたのに!! お前のせいでスタートから損してますわよ!! 詫びろ!! お前みたいなブサイクこそ生まれてくるべきじゃなかったんですわ!!」
「なんだと……!!」
「なんなのよ!?」
「なんなのよ!?」
三人は身勝手に激昂して怒鳴り、激しく睨み合って、また激昂。その後も三人の勢いが収まることはなく、なんと1時間も罵り合いました。
「ふん、もういい!! 二度と話しかけてくるなよ! 顔も見たくない!!」
「こっちの台詞よ!!」
「ええお母様!! こんな顔、一生涯見たくはありませんわ!!」
あれだけ仲が良かった3人は仲間割れをして、2人と1人に分かれてしまいます。2人は1人を、1人は2人を親の仇のように憎むようになってしまいました。
今やすっかり互いが視界に入ることさえも苦痛に感じるようになり絶縁を強く希望しますが、残念ながら3人の縁は切れることはありませんでした。なぜならば――
「あーはっはっはっ! あははははははははっ!」
連行用の馬車の車内には、ミサとポーリーヌの狂気じみた笑い声が響き渡っていました。
王家と大公家が関わっているところに目をつけられていた、そう気付いた恐怖でそうなった――のではなく、二人がこうなっている原因は向かいにいる父ピエールにありました。
『この中で私だけが、唯一完全な家族なのだ。身体に流れる血に免じて……。どうか、どうか私だけでも助けて欲しい』
絶体絶命の状況で自分達を裏切り、自分だけ助かろうとした。その瞬間2人の怒りは頂点に達していて、そんな中で大失敗に終わった。
ピエールの有様が面白くて仕方がなかったのです。
「家族のよしみで……ですって! どう思うポーリーヌっ?」
「滑稽ですわ! よくもまああんな言い分が通ると思いましたわねぇ? ああそうですわっ。ド級のバカだから気が付かないんですのねぇ!」
「普通は気付くものね! やるってことはバカなのよ! あ~やだやだ。恥ずかしい」
「しかもプライドを捨てて懇願しての、大失敗ですもの。余計に恥ずかしい。私なら恥ずかしすぎて自ら命を絶ってますわ!」
「そうよねぇ、わたくしも同じよ。……あ~あ、鬱陶しい。この場で舌を噛んで死んでくれないかしら」
貴族界でも有名になるほどにピエールとミサの仲は良く、親子の仲も非常に良好でした。
しかしながらそんな関係は、あの瞬間崩壊。二人はすっかり激しく憎むようになっていて――
「黙れ黙れ黙れ!! お前達のせいなんだぞ!!」
――ソレは、ピエールも同じ。
彼もまた『元凶』である二人を激しく憎んでいました。
「お前達が追い出せと言い出さなければフィエナはずっとウチにいて他貴族のもとに嫁入りしていたんだぞ!? そのパイプがあれば対応できたかもしれないっいいや確実に対応できていたんだ!! なにもかもお前達のせいだ!!」
「なによ今更!! あなただって嬉々としてやっていたじゃないのよ!!」
「擦り付けないで!! そっちには『私達を叱って止める』っていう選択肢があったじゃないのっ! やった以上そっちも同罪!! むしろ実行したそっちが一番悪いわ!!」
「ふざけるな!! お前なんかと再婚しなければ……! お前なんか生まれてこなければ……!!」
「なんですって!? こっちだってねえっ、あなたみたいな冴えない男と結婚するのは嫌だったわよ!! 女神さまがゴミと結婚してあげたのよ!? ありがたく思いなさい!!」
「こんなバカなと同じ血が流れているだなんて苦痛っ、地獄ですわ!! お父様じゃない男性が父親ならもっともっと美しくなれたのに!! お前のせいでスタートから損してますわよ!! 詫びろ!! お前みたいなブサイクこそ生まれてくるべきじゃなかったんですわ!!」
「なんだと……!!」
「なんなのよ!?」
「なんなのよ!?」
三人は身勝手に激昂して怒鳴り、激しく睨み合って、また激昂。その後も三人の勢いが収まることはなく、なんと1時間も罵り合いました。
「ふん、もういい!! 二度と話しかけてくるなよ! 顔も見たくない!!」
「こっちの台詞よ!!」
「ええお母様!! こんな顔、一生涯見たくはありませんわ!!」
あれだけ仲が良かった3人は仲間割れをして、2人と1人に分かれてしまいます。2人は1人を、1人は2人を親の仇のように憎むようになってしまいました。
今やすっかり互いが視界に入ることさえも苦痛に感じるようになり絶縁を強く希望しますが、残念ながら3人の縁は切れることはありませんでした。なぜならば――
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