VTuberデビュー! ~自分の声が苦手だったわたしが、VTuberになることになりました~ 

柚木ゆず

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第24話 アーカイブ

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『こんばんみゃあ~っ! 応援でみんなを元気にしちゃう、葉月ミアだよ~っ!』

 葉月ミアの配信。それは、このご挨拶から始まったんだよね。
 この時はまだ声を心配をしていて、でも――

《こんばんは~》
《こんばんは!》
《初見です。こんばんは》
《いい挨拶。こんばんみゃあ~っ!》

 ――視聴者さんがくれたコメントで、心配する気持ちはドンドン少なくなっていたんだよね。

『っっ! 今日はミアの初めての配信を見に来てくれて、ありがとうございます~っ。まさかこんなに見てくれる人がいるとは思ってなくって、ビックリしてます!』

《パチパチパチパチ》
《パチパチパチパチ》

 拍手してもらえたり、わたしの質問に答えてもらえたり。
 あの時は本当にビックリした時間が続いて、このあと、もっとビックリすることがあるんだよね。

《声可愛い》

 言ってもらえると全然思っていなかったことを言ってもらえて、ここだけでもすごくすごく嬉しいのに。幸せな時間は、まだまだ続いてくれます。

《問題。ピッチャー、キャッチャーとか、全てのポジションに割り振られてる番号を言ってみて》

『はい。1がピッチャー、2がキャッチャー、3ファースト、4セカンド、5サード、6ショート、7レフト、8センター、9ライト。です!』

《正解。試してごめんなさい。本物の野球好きでした》

『いえいえっ。いーですよーっ! 分かってもらえて嬉しいですっ!』

《相撲で注目している力士は誰?》

『幕内だと大関の『高の風』関と、前頭5枚目の『朝野藤』関。十両だと3枚目の『雅海』関、です。他にも幕下にふたり、序二段にひとり、注目してる人がいます!』

《詳しすぎて笑う。俺も相撲が好きで、高の風は応援してます。土俵際の粘りがいいよね》

『分かります! 土俵際の体捌き、上手ですよねっ! 追い詰められても最後まで諦めない心と技術が素敵で、それだけじゃなくてがっぷり四つもいいですよね! あの形になると必ず白星をあげられるのは、さすがベテラン! 相撲を知り尽くしていますよね!』

《そうそう! まさかVの配信見てこんな話ができると思わなかった。感動してる》
《へぇ~、なんか面白そう。相撲見たことなかったけど、見てみようかな》
《相撲って、いつもやってるの?》

『お相撲は、年間6場所――6回あって、1月、3月、5月、7月、9月、11月にあります! ついこのあいだ終わっちゃって、次は7月の名古屋場所。名古屋でありますよっ』

《情報ありがとう。次見てみる》

『はいっ、ぜひぜひ見てみてくださいっ! 夢中になりますよ~!』

 ずっとしてみたかった、趣味のお話。
 野球やお相撲のお話をして、とっても楽しかった。
 野球とお相撲のお喋りをしてくれた視聴者さん。そのお喋りを見てくれていた視聴者さんも。みなさんも喜んでくれて、とっても嬉しかった。

『わっ、気が付いたら8時になっちゃってました! とっても楽しくて、あっという間でした』

《こっちもあっという間だった》
《時計見てビックリした》

 だからわたしも視聴者さんも知らない間に時間が過ぎていて、あっという間に初配信は終わったんだよね。


((…………わたしの、一生の思い出))

 たくさんのことが『分かった』『教えてもらった』、どれも大事で大切だけど、その中でも特に大事で大切な配信。
 改めてあの時の出来事と、あの時に思って感じたことを思い出して――

((ぁ))

 ――全部を、振り返り終わった時でした。


 じんわりと


 胸の奥が温かくなっていることに、気が付いたのでした。
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