4 / 26
第2話 理由~婚約当日の、奇妙な出来事~ フルール視点(1)
しおりを挟む
「フルール、おはよう。ゆうべは…………ふふっ。あまり眠れなかったようだな」
「はいお父様。早く朝になって欲しいと思っていたから、なのだと思います。何度も目が覚めてしまいました」
それは今から、およそ半年前のことでした。お屋敷の一階にある食堂へと下りた私は、フランシスお父様と笑い合っていました。
今日は1年間交際を行ってきた、大好きな方――クリストフ様と婚約を結ぶ日、ついに婚約者となれる日。日程が決まった時から今日という日を楽しみにしていて、そのためこうなっていたのです。
「よかったな、フルール。さあ、一緒にベーグルを食べようか」
「はいっ」
この国では婚約を交わす日の朝は、家族でイチゴのベーグルを食べる風習があります。ですので私達は定番メニューを食し、その後出発の支度を始めます。
「お嬢様! 今日はいつも以上に輝かせてみせますよっ!!」
メイクなどを特技としているクララによって綺麗にしてもらって、やがて準備が終わりました。なので私は最後の確認を行い、馬車へと向かうべく部屋を出ようとしていた――その時でした。
《待って!》
急に頭の中に、不思議な声が響いてきたのです。
「……私以外誰もいないのに、声が聞こえている……。しかも、頭の中になんて……。どうなっているのでしょうか……?」
そちらはとても気になりましたが、今日はとにかく早く動きたいことがありました。ですので私はそのまま馬車へと乗り込み、6時間ほどでしょうか。たくさんのドキドキとワクワクを抱きながら進み、目的地であるラトーレルア侯爵邸に到着しました。
そのため、降りようとした――その瞬間、でした。
《待って! 駄目よ! そのまま進めては駄目っ! 悲劇を繰り返してしまう羽目になりかねないからっ! 思い出して私っ!!》
今度は切実な大きな声が頭の中を駆け抜け、
「ぁ。ぁ……!!」
それによって私は、思い出したのでした。
私はかつてアレーテ・ルクサラスという名の、伯爵令嬢だったこと。かつて最愛の婚約者に根も葉もない汚名を着せられ、無実の罪で婚約破棄をされた上に投獄されてしまったことを――。
「はいお父様。早く朝になって欲しいと思っていたから、なのだと思います。何度も目が覚めてしまいました」
それは今から、およそ半年前のことでした。お屋敷の一階にある食堂へと下りた私は、フランシスお父様と笑い合っていました。
今日は1年間交際を行ってきた、大好きな方――クリストフ様と婚約を結ぶ日、ついに婚約者となれる日。日程が決まった時から今日という日を楽しみにしていて、そのためこうなっていたのです。
「よかったな、フルール。さあ、一緒にベーグルを食べようか」
「はいっ」
この国では婚約を交わす日の朝は、家族でイチゴのベーグルを食べる風習があります。ですので私達は定番メニューを食し、その後出発の支度を始めます。
「お嬢様! 今日はいつも以上に輝かせてみせますよっ!!」
メイクなどを特技としているクララによって綺麗にしてもらって、やがて準備が終わりました。なので私は最後の確認を行い、馬車へと向かうべく部屋を出ようとしていた――その時でした。
《待って!》
急に頭の中に、不思議な声が響いてきたのです。
「……私以外誰もいないのに、声が聞こえている……。しかも、頭の中になんて……。どうなっているのでしょうか……?」
そちらはとても気になりましたが、今日はとにかく早く動きたいことがありました。ですので私はそのまま馬車へと乗り込み、6時間ほどでしょうか。たくさんのドキドキとワクワクを抱きながら進み、目的地であるラトーレルア侯爵邸に到着しました。
そのため、降りようとした――その瞬間、でした。
《待って! 駄目よ! そのまま進めては駄目っ! 悲劇を繰り返してしまう羽目になりかねないからっ! 思い出して私っ!!》
今度は切実な大きな声が頭の中を駆け抜け、
「ぁ。ぁ……!!」
それによって私は、思い出したのでした。
私はかつてアレーテ・ルクサラスという名の、伯爵令嬢だったこと。かつて最愛の婚約者に根も葉もない汚名を着せられ、無実の罪で婚約破棄をされた上に投獄されてしまったことを――。
124
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された公爵令嬢ですが、王太子を破滅させたあと静かに幸せになります
ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エレナは、
誕生日の舞踏会で突然、婚約破棄を宣言される。
「地味で役に立たない」と嘲笑され、
平民の少女を新たな婚約者に選ぶ王太子。
家族にも見放され、エレナは王都を追われることに――。
しかし彼女は、ただの“癒しの令嬢”ではなかった。
静かに力を蓄え、事実と証拠だけで王太子の虚飾を暴き、
自らの手で破滅へと導いていく。
復讐の果てに選んだのは、
誰かに与えられる地位でも、名誉でもない。
自分で選び取る、穏やかな幸せ。
これは、
婚約破棄された公爵令嬢が
王太子を終わらせたあと、
本当の人生を歩き出す物語。
-
これまでは悉く妹に幸せを邪魔されていました。今後は違いますよ?
satomi
恋愛
ディラーノ侯爵家の義姉妹の姉・サマンサとユアノ。二人は同じ侯爵家のアーロン=ジェンキンスとの縁談に臨む。もともとはサマンサに来た縁談話だったのだが、姉のモノを悉く奪う義妹ユアノがお父様に「見合いの席に同席したい」と懇願し、何故かディラーノ家からは二人の娘が見合いの席に。
結果、ユアノがアーロンと婚約することになるのだが…
《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃
ぜらちん黒糖
恋愛
「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」
甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。
旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。
「それは本当に私の子供なのか?」
四の五の言わず離婚届にサインをしてくれません?
白雲八鈴
恋愛
アルディーラ公爵夫人であるミレーネは、他の人からみれば羨ましいと思える立場にいた。
王妹の母譲りの美人の顔立ち、公爵夫人として注目を集める立場、そして領地の運営は革命と言えるほど領地に潤いを与えていた。
だが、そんなミレーネの心の中にあるのは『早く離婚したい』だった。
順風満帆と言えるミレーネは何が不満なのか。その原因は何か。何故離婚できないのか。
そこから始まる物語である。
妹の方が大事だとおっしゃる旦那様。なら妹と婚約すればいいのでは??
睡蓮
恋愛
ロンベル伯爵とセレシアは婚約関係にあったものの、ロンベルには3人の妹がおり、彼はそちらの方にばかり気をかけていた。そんなある日の事、ロンベルは一方的な理由をつけてセレシアの事を婚約破棄してしまう。そこには妹に対するゆがんだ思いがあったのであろうが、彼は後にその感情によって自らを滅ぼすことになるのだった…。
「可愛げがない」と婚約破棄された公爵令嬢ですが、領地経営をしていたのは私です
希羽
恋愛
「お前のような可愛げのない女との婚約は破棄する!」
卒業パーティの会場で、婚約者である第二王子デリックはそう宣言し、私の義妹ミナを抱き寄せました。 誰もが私が泣き崩れると思いましたが――正直、せいせいしました。 だって、王子の領地経営、借金返済、結界維持、それら全ての激務を一人でこなしていたのは「可愛げのない」私だったのですから。
「承知しました。では、あとはミナと二人で頑張ってください」
私は手切れ金代わりに面倒な仕事を全て置いて国を出ました。 すると、国境で待っていたのは、隣国ガルガディア帝国の冷徹皇太子ことクライド様。なぜか彼は私を溺愛し、帝国で最高の地位と環境を与えてくれて……。
婚約破棄?はい、どうぞお好きに!悪役令嬢は忙しいんです
ほーみ
恋愛
王国アスティリア最大の劇場──もとい、王立学園の大講堂にて。
本日上演されるのは、わたくしリリアーナ・ヴァレンティアを断罪する、王太子殿下主催の茶番劇である。
壇上には、舞台の主役を気取った王太子アレクシス。その隣には、純白のドレスをひらつかせた侯爵令嬢エリーナ。
そして観客席には、好奇心で目を輝かせる学生たち。ざわめき、ひそひそ声、侮蔑の視線。
ふふ……完璧な舞台準備ね。
「リリアーナ・ヴァレンティア! そなたの悪行はすでに暴かれた!」
王太子の声が響く。
断罪するのは天才悪女である私です〜継母に全てを奪われたので、二度目の人生は悪逆令嬢として自由に生きます
紅城えりす☆VTuber
恋愛
*完結済み、ハッピーエンド
「今まで役に立ってくれてありがとう。もう貴方は要らないわ」
人生をかけて尽くしてきた優しい継母。
彼女の正体は『邪魔者は全て排除。常に自分が一番好かれていないと気が済まない』帝国史上、最も邪悪な女であった。
継母によって『魔女』に仕立てあげられ、処刑台へ連れて行かれることになったメアリー。
メアリーが居なくなれば、帝国の行く末はどうなってしまうのか……誰も知らずに。
牢の中で処刑の日を待つ彼女の前に、怪しげな男が現れる。
「俺が力を貸してやろうか?」
男は魔法を使って時間を巻き戻した。
「もう誰にも屈しないわ。私は悪逆令嬢になって、失った幸せを取り戻すの!」
家族を洗脳して手駒にする貴族。
罪なき人々を殺める魔道士。
そして、私を散々利用した挙句捨てたお義母様。
人々を苦しめる悪党は全て、どんな手を使ってでも悪逆令嬢である私が、断罪、断罪、断罪、断罪、断罪するのよ!
って、あれ?
友人からは頼りにされるし、お兄様は急に過保護。公爵様からも求婚されて……。
悪女ムーブしているのに、どうして回帰前より皆様に好かれているのかしら???
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
〇約十一万文字になる予定です。
もし「続きが読みたい!」「スカッとした」「面白い!」と思って頂けたエピソードがありましたら、♥コメントで反応していただけると嬉しいです。
読者様から頂いた反応は、今後の執筆活動にて参考にさせていただきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる