お前なんかに会いにくることは二度とない。そう言って去った元婚約者が、1年後に泣き付いてきました

柚木ゆず

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第6話 見つけるぞ! ガエル視点(2)

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「父上母上っ! 目を覚ましてください!! 貴方達は操られてしまっているのですよっっ!!」

 執務室を飛び出した俺は、廊下にいる――執務室に押し入ろうとしていた2人の肩に手を置き、思い切り揺すり始めた。
 何かしらの衝撃によって、洗脳が解ける。これも、物語ではよくあるものだ! そこで今度は『洗脳を解く』を、実践することにした!

「父上と母上が目を覚ませば、ファスティーヌの行動を把握できるんですっ! 証拠を掴めるのですよ!! 目を覚ましてください!!」
「おっ、お前はずっと何を言っているんだ!? わたし達は操られてなどおらん!!」
「そうよっ。貴方、どうしてしまったのっ!? お昼からおかしいわよ……!?」
「おかしいのは父上と母上だ!! 冷静になって考えてみてください!! 祖父が設立し自らが必死になって大きくした商会を、簡単に渡そうとしているのですよ!? おかしいとは思わないのですかっっ!?」

 今まで努力をして、ようやく金の生る木になったんだぞ!! そんなものを手放す!?
 部下たちに指示を出すだけで大量の金が入ってくる、一生の安泰を保証してくれる存在なんだぞ!? 放棄なんてあり得ないだろう!!

「ガエルよ。この判断は、何らおかしくはない。至極適切な判断だ」
「広い目で見て、自分達より優秀な家族にお任せする。それの何がおかしいというの?」
「一切の権利を渡せばウチが商会をコントロールできなくなるんですよ!? その気になれば経営からオーレン家を排除することだって可能で――」
「「ファスティーヌ様が排除? あるはずがないだろう(ないでしょ)」

 2人は同じタイミングで否定し、同じように笑い飛ばした。
 だ、駄目だ……。父上と母上に何を言っても意味はないし、揺さぶりも何の意味もないらしい……。

((衝撃で目覚める。間違いだったのか……?))

 いや違う! まだそうとは言い切れないっ。
 昔読んだ本では、あの方法・・・・で目を覚まさせていた。

「方向性は、合っているはず。きっと、衝撃が足りていなかったんだ」
「ガエル? 今度は何を言っているんだ?」
「方向性? 衝撃? ……貴方は、なにをしようとしているの……?」
「なにを? 俺はこれから、こうしようとしているのですよ!!」

 渾身の力を注いで、左右の手を振って――

「ぁぶっ!?」「きゃぁ!?」
 父上と母上の頬を、全力ではたく。

 平手打ち。
 こいつで解決したパターンがあった。だからっ!
 これによって心身に衝撃を受け、2人は――

「なにをする!!」「何をするのよ!!」
「おぶぅ!?」

 ――なっ!? 2人は同時に、俺の頬をビンタした!?

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