お前なんかに会いにくることは二度とない。そう言って去った元婚約者が、1年後に泣き付いてきました

柚木ゆず

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第6話 見つけるぞ! ガエル視点(3)

「力づくで話を通そうとするなど言語道断だ!! 厳しく再教育を施してやる!!」
「特例よ! 暴力で分からせようとする子には、暴力で分からせてあげるわ……! 覚悟なさい!!」
「ちっ、父上母上っ! おまちくだっ、待ってくれ!! 俺は力づくで話を通そうとしているんじゃない!! 2人を正気にするためにおぶ!?」

 慌てて勘違いを解こうとしていると、もう一発左右からビンタをされた。
 だ、駄目だ……! 父上と母上は、そう思い込んでしまっている!

「お前は次期会頭になりたいだけなのだろう!? ファスティーヌ様にその席を奪われそうになるのが嫌なだけなのだろう!!」
「にもかかわず洗脳などと繰り返し、あげく親に手を挙げる……! きちんと謝るまで許さないわよ……!!」
「違う……っ! そうではあるが、違うんだ……!!」

 確かに俺は、次期会頭になりたい! ファスティーヌの就任は許せない! なぜなら多くの人間を指先一つで操れる上に、少しの労働で何倍もの対価を得られるからだ!!
 だが今は会頭の座どころか、オーレン家自体が危うい状況なんだっ! だからここまで必死になっているんだ!!

「やはりっ、ファスティーヌ様への不満があったのだな! 嫉妬は見苦しいぞ!!」
「そうよっ! 実力を素直に認めなさい!!」

 くっ。父上も母上も、本来は俺に甘い。どんな我が儘だって聞いてくれる。
 これも……っ。洗脳の影響か……!!

「だったら……っ。こうなってしまった以上は、この作戦を押し通すしかない……! 父上母上っ! 我慢してくれよ!!」

 まだ衝撃が足りない――。更なる衝撃を与えれば目を覚ますはず――。
 そこで俺はさっき以上に力を籠め、2人の頬を再度思い切り引っ叩いた! そうすれば、

「またやったな!!」
「ガエルっ! いい加減にしなさいぃぃっ!!」

 父上と母上は更に怒り出し、3度目の衝撃が両頬を襲った。

「ぐぅっ! てっ、抵抗するなっ!! 騙されたと思って受けてくれ!! すぐに俺が正しいと分かぶべ!?」

 人が喋っているのに! またビンタをしやがった!!

「…………人が助けてやろうとしているのに……! この恩知らずがぁ!! いい加減にし――」
「いい加減にするのはお前だ!!」
「貴方こそっ、早く目を覚ましなさい!!」

 反撃しようとしたら先にビンタをされ、ぐあっ! こっちは1人で、あっちは2人。こちらの手数(てかず)は2分の1で、押されてゆく。
 ビンタしようとしたらビンタをされて――。どうにかビンタできたら、その怒りで更に強いビンタが返ってきて――

「く、そ、がぁぁ…………。俺は、正しいこと、を……。している、ん、だ、ぞぉぉぉ………………」

 やがて、体力の限界がやって来る。
 まだやり合って、目を覚まさせたいのに……! 強烈な一発が入ってしまい、俺は廊下で崩れ落ちてしまったのだった…………。


 こ、こうなったら……。3つめ、最後の作戦だ……!
 今度こそ、成功させる……!!

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