お前なんかに会いにくることは二度とない。そう言って去った元婚約者が、1年後に泣き付いてきました

柚木ゆず

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第9話 決着がつく日 ガエル視点(1)

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「ようこそ、わたくしのお部屋へ。来てくださって嬉しいですわ、ガエル様」

 翌日の、午後2時。俺は約束に従ってレステラ邸を訪れ、ファスティーヌの案内によってこの女の自室に来た。
 さぁて。ファスティーヌ。終わりの始まりだ……!

「昨日(さくじつ)はお義父様とお義母様とのお話しが終わった途端、飛び出されてしまって……。なにやら誤解をされていらしたので、そちらを少しでも早く解きたかったんですの」
「……ファスティーヌ。俺が、そんな言い分で騙されるとでも思っているのか? 今日の企みも、見当が付いているぞ」

 敢えて、全てを明らかにしておく。なぜならこうしておいた方が、『計画』を実行しやすいからだ。

「企み? 一体、なんのことですの……? ご説明と、お茶とお喋り。そちらが、本日のわたくしの目的ですわ」
「ああそうかい。じゃあ、まずはご説明をしていただきましょうかね。父上と母上の、突然の『譲る』発言。当然、納得できるものがあるんだよな?」
「ええ、勿論ですわ。あの時どんな内容をお話ししたのかを、ちゃんとお伝えさせていただき――あらまあっ。わたくしってば、うっかりしていましたわ」

 大きく頷いていたファスティーヌは、胸の前でポンと手を合わせる。そして「肝心のお茶とお菓子の準備を忘れていましたわ」と続けた。

「来ていただけるのか、お話しをしてくれるのか不安でして……。すっかり忘れてしまっていましたの。すぐに用意をさせていただきますわ」

 そうして彼女はペコリと頭を下げ、俺を椅子へと促したあと、いそいそと部屋を出て行った。
 なるほどな。そういうことか。

((ファスティーヌは紅茶かお菓子に、混入させるつもりだな))

 ヤツは疑われていると理解してはいるものの、その手段については目星がついていないと思っている。そこで『これはあり得ない』と俺が思っているであろうやり方で、操ろうとしているんだ。

((ふふっ。折角計画を練ってきたが、これなら実行に移すまでもないな))

 出された紅茶とお菓子を持って屋敷を飛び出し、治安所に駆け込む。そうして調べさせれば異様な成分が検出されて、アウト。俺の言い分は正しかったと証明され、ファスティーヌは――あるいはレステラ家は裁かれることとなる。

「甘く見過ぎなんだよ、ファスティーヌ。俺は優れた頭脳と思考回路の持ち主なんだ。裏の裏をかくなんて、造作もな――…………。え……?」

 な、んだ……?
 急に……。視界が、揺れ始めた……?

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