14 / 27
第8話 ガエルがほくそ笑んでいた頃 俯瞰視点
しおりを挟む
「ふふふ。計画は、順調に進んでいますわね」
ガエルが明日の予定を決め、にやりと口角を吊り上げている頃――。同国内にあるレステラ侯爵家邸では、ファスティーヌが同様の笑みを浮かべていました。
ファスティーヌの計画。それはガエルやエメリーの予想通り、商会の掌握。
オーレン家が所有するレトクル商会は、この国でも有名な組織。であると当時に、新事業の成功により非常に勢いのある組織でした。
そのため、
『お父様。丁度いい獲物を見つけましたの。ご支援をお願い致しますわ』
『ああ、分かった。全面的にバックアップをしようじゃないか』
より良い生活を望んでいた娘は父に乗っ取り計画を明かし、同様の野望を持つ父は二つ返事で承諾。娘が策を練り、父は作戦に必要なものを用意していたのです。
『ファスティーヌ、やったな。婚約おめでとう』
『うふふ、当然ですわ。嫡男はおバカで、その婚約者は下級なブスなんですもの。完璧な血、智、容姿を持つわたくしが本気を出せば、簡単に心変わりをさせられますわ』
『彼も当主夫妻も、わたくしが本当に愛していると思っていますわ。第2段階も完成で、お父様。頼んでいたものは見つかりましたの?』
『ああ。お前の読み通りだった。隣国の闇の商人に接触してみたら、どうにか譲ってくれたよ』
洗脳の物語が存在していて、そんなものがポッと閃くとは思えない――。そんな理由でファスティーヌは洗脳を行う方法があると感じ、父に捜索を依頼していました。
そうして父は数か月かけて世界各地を調べ、昨日ようやく、小瓶に入った液体を――洗脳状態にする香りを放つ希少な液体を、入手していたのでした。
「あの人は、知性派気取りのおバカですもの。今頃、『掌で踊らされているのは、貴様の方』『明日は、罠を仕掛けた側が罠に嵌まる日だ!』とか考えているのでしょうね」
でも――。と。
ファスティーヌは呟いた後、たっぷりと嘲笑を浮かべ、テーブルにある小瓶を見やったのでした。
「それは、全てが間違いですのよ。……ガエル。明日が楽しみですわね」
ガエルが明日の予定を決め、にやりと口角を吊り上げている頃――。同国内にあるレステラ侯爵家邸では、ファスティーヌが同様の笑みを浮かべていました。
ファスティーヌの計画。それはガエルやエメリーの予想通り、商会の掌握。
オーレン家が所有するレトクル商会は、この国でも有名な組織。であると当時に、新事業の成功により非常に勢いのある組織でした。
そのため、
『お父様。丁度いい獲物を見つけましたの。ご支援をお願い致しますわ』
『ああ、分かった。全面的にバックアップをしようじゃないか』
より良い生活を望んでいた娘は父に乗っ取り計画を明かし、同様の野望を持つ父は二つ返事で承諾。娘が策を練り、父は作戦に必要なものを用意していたのです。
『ファスティーヌ、やったな。婚約おめでとう』
『うふふ、当然ですわ。嫡男はおバカで、その婚約者は下級なブスなんですもの。完璧な血、智、容姿を持つわたくしが本気を出せば、簡単に心変わりをさせられますわ』
『彼も当主夫妻も、わたくしが本当に愛していると思っていますわ。第2段階も完成で、お父様。頼んでいたものは見つかりましたの?』
『ああ。お前の読み通りだった。隣国の闇の商人に接触してみたら、どうにか譲ってくれたよ』
洗脳の物語が存在していて、そんなものがポッと閃くとは思えない――。そんな理由でファスティーヌは洗脳を行う方法があると感じ、父に捜索を依頼していました。
そうして父は数か月かけて世界各地を調べ、昨日ようやく、小瓶に入った液体を――洗脳状態にする香りを放つ希少な液体を、入手していたのでした。
「あの人は、知性派気取りのおバカですもの。今頃、『掌で踊らされているのは、貴様の方』『明日は、罠を仕掛けた側が罠に嵌まる日だ!』とか考えているのでしょうね」
でも――。と。
ファスティーヌは呟いた後、たっぷりと嘲笑を浮かべ、テーブルにある小瓶を見やったのでした。
「それは、全てが間違いですのよ。……ガエル。明日が楽しみですわね」
85
あなたにおすすめの小説
突然倒れた婚約者から、私が毒を盛ったと濡衣を着せられました
景
恋愛
パーティーの場でロイドが突如倒れ、メリッサに毒を盛られたと告げた。
メリッサにとっては冤罪でしかないが、周囲は倒れたロイドの言い分を認めてしまった。
永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~
畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。
【完結】真面目だけが取り柄の地味で従順な女はもうやめますね
祈璃
恋愛
「結婚相手としては、ああいうのがいいんだよ。真面目だけが取り柄の、地味で従順な女が」
婚約者のエイデンが自分の陰口を言っているのを偶然聞いてしまったサンドラ。
ショックを受けたサンドラが中庭で泣いていると、そこに公爵令嬢であるマチルダが偶然やってくる。
その後、マチルダの助けと従兄弟のユーリスの後押しを受けたサンドラは、新しい自分へと生まれ変わることを決意した。
「あなたの結婚相手に相応しくなくなってごめんなさいね。申し訳ないから、あなたの望み通り婚約は解消してあげるわ」
*****
全18話。
過剰なざまぁはありません。
本当に妹のことを愛しているなら、落ちぶれた彼女に寄り添うべきなのではありませんか?
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアレシアは、婿を迎える立場であった。
しかしある日突然、彼女は婚約者から婚約破棄を告げられる。彼はアレシアの妹と関係を持っており、そちらと婚約しようとしていたのだ。
そのことについて妹を問い詰めると、彼女は伝えてきた。アレシアのことをずっと疎んでおり、婚約者も伯爵家も手に入れようとしていることを。
このまま自分が伯爵家を手に入れる。彼女はそう言いながら、アレシアのことを嘲笑っていた。
しかしながら、彼女達の父親はそれを許さなかった。
妹には伯爵家を背負う資質がないとして、断固として認めなかったのである。
それに反発した妹は、伯爵家から追放されることにになった。
それから間もなくして、元婚約者がアレシアを訪ねてきた。
彼は追放されて落ちぶれた妹のことを心配しており、支援して欲しいと申し出てきたのだ。
だが、アレシアは知っていた。彼も家で立場がなくなり、追い詰められているということを。
そもそも彼は妹にコンタクトすら取っていない。そのことに呆れながら、アレシアは彼を追い返すのであった。
これまでは悉く妹に幸せを邪魔されていました。今後は違いますよ?
satomi
恋愛
ディラーノ侯爵家の義姉妹の姉・サマンサとユアノ。二人は同じ侯爵家のアーロン=ジェンキンスとの縁談に臨む。もともとはサマンサに来た縁談話だったのだが、姉のモノを悉く奪う義妹ユアノがお父様に「見合いの席に同席したい」と懇願し、何故かディラーノ家からは二人の娘が見合いの席に。
結果、ユアノがアーロンと婚約することになるのだが…
復縁は絶対に受け入れません ~婚約破棄された有能令嬢は、幸せな日々を満喫しています~
水空 葵
恋愛
伯爵令嬢のクラリスは、婚約者のネイサンを支えるため、幼い頃から血の滲むような努力を重ねてきた。社交はもちろん、本来ならしなくても良い執務の補佐まで。
ネイサンは跡継ぎとして期待されているが、そこには必ずと言っていいほどクラリスの尽力があった。
しかし、クラリスはネイサンから婚約破棄を告げられてしまう。
彼の隣には妹エリノアが寄り添っていて、潔く離縁した方が良いと思える状況だった。
「俺は真実の愛を見つけた。だから邪魔しないで欲しい」
「分かりました。二度と貴方には関わりません」
何もかもを諦めて自由になったクラリスは、その時間を満喫することにする。
そんな中、彼女を見つめる者が居て――
◇5/2 HOTランキング1位になりました。お読みいただきありがとうございます。
※他サイトでも連載しています
王子に買われた妹と隣国に売られた私
京月
恋愛
スペード王国の公爵家の娘であるリリア・ジョーカーは三歳下の妹ユリ・ジョーカーと私の婚約者であり幼馴染でもあるサリウス・スペードといつも一緒に遊んでいた。
サリウスはリリアに好意があり大きくなったらリリアと結婚すると言っており、ユリもいつも姉さま大好きとリリアを慕っていた。
リリアが十八歳になったある日スペード王国で反乱がおきその首謀者として父と母が処刑されてしまう。姉妹は王様のいる玉座の間で手を後ろに縛られたまま床に頭をつけ王様からそして処刑を言い渡された。
それに異議を唱えながら玉座の間に入って来たのはサリウスだった。
サリウスは王様に向かい上奏する。
「父上、どうか"ユリ・ジョーカー"の処刑を取りやめにし俺に身柄をくださいませんか」
リリアはユリが不敵に笑っているのが見えた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる