お前なんかに会いにくることは二度とない。そう言って去った元婚約者が、1年後に泣き付いてきました

柚木ゆず

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第10話 そのあとのガエルと、ファスティーヌ 俯瞰視点

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「リック。帰るぞ」
「は、はい。ガエル様」

 1時間半ほど、ファスティーヌの私室に滞在した後のことでした。ガエルは従者が待つ馬車へと戻り、車が走り出すと満足げに笑みを浮かべました。

「ファスティーヌ様に、納得のいく説明をしていただけた。やはり、父上やお前の言う通りだった。洗脳云々は、考えすぎだったらしい」
「そうでございますか……っ。これでやっと、旦那様達との仲が戻りますね。……ただ……。次期会頭の件は……。納得は、されていませんよね……?」
「いや、そちらも納得したよ。経営に関する話などを聞いていたら、俺も一任するべきだと感じ始めた。今度改めてしっかりとそういった話を確認して、問題がなければ、父上と母上の方針に従うつもりだ」

 はっはっは! 今日は訪ねてよかった! 有意義だった――。ガエルは満面の笑みを浮かべ、幸せそうに帰路を進んだのでした。
 そして――


 〇〇


「お疲れ様、ファスティーヌ。ようやく、邪魔者が片付いたな」
「ええ、お父様。これで、邪魔をする者はいなくなりましたわ」

 レステラ邸内にある、広々とした食堂。そこでは軽快に、グラスがぶつかる音が聞こえていました。
 念のために今回は、従者に不審がられないように対策を施してあります。そのため2人は成功を確信し、ワインで祝杯を挙げていたのです。

「結婚して商会のトップに立ち、じわじわとオーレン家の関係者を減らしてゆく」
「そうして自然な形で、中身ががらりと入れ替わる。我々レステラ家の支配の完成だっ!」

 そうなれば、金の移動も思うがまま。バレないよう懐に入れることも、容易です。

「ふふふふふっ。わたくし達は金の生る木を手に入れましたわ……!」
「ああっ! 日常は一変するぞっ!」

 そのため親子は大喜びで、確かにその通りでした――。
 父ロレンスの言う通り、やがて2人の日常は一変することになります。

 ただし、悪い方向に――。

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