お前なんかに会いにくることは二度とない。そう言って去った元婚約者が、1年後に泣き付いてきました

柚木ゆず

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第11話 正反対の2人 エメリー視点

「ベルナール様。いつ見ても、全てが綺麗ですよね」
「ええ。どんな時でも、見た者訪れた者の心を洗ってくれます」

 7月28日。オーレン様が突如いらっしゃった日から約3か月半後の、午後。私達は、この国の西部にあるサンゼール湖を訪れていました。

 ここはベルナール様と出会えた、大切な場所。そして、


『事情は、無理に話してくださらなくても結構ですよ。……テルエス様、ボートに乗ってみませんか? サンゼール湖の水面(みなも)は、近くで見るともっと綺麗なのですよ』

『テルエス様。ボートの上で寝そべり、仰向けになってみてください。何が見えますか?』
『…………青空。広いお空が、見えています』
『そうですね。この空は、世界は、とても広いです。……ですので辛く悲しいことだけではなく、楽しく幸せになれることもちゃんと存在しているのですよ』

『先ほど、突然世界が変わってしまったよう、と仰られましたよね? 突如闇が訪れてしまったのなら、突如光が訪れてくれることもありますよ。絶対に』


 こんな言葉を頂けた場所であり、ベルナール様は『運命が動き出した場所』と思ってくださっている場所なのです。
 そのため明日結婚式を控えた私達は原点・・を訪れていて、ボートで水面(みなも)や青空を眺めています。

「大切な場所で大好きな方と過ごせる。こんなにも幸せなことは、ありません」
「ええ、そうですね。こんな贅沢はありません」

 湖を覗き込んだり、並んで仰向けになったり。私達はあの日のように大切な場所を全身で感じ、今日は更に笑顔でお喋りをして、ぽかぽかとした時間が流れてゆきます。

 ――楽しい時間は、あっという間――。

 ですので体感ですと1時間もしないうちに滞在時間は終わりとなり、揃って馬車へと戻ります。そうしてベルナール様のお手をお借りして、乗り込もうとしていたら――? 不思議な光景が目に入りました。

「あちらの道を、白い馬車……治安機関の馬車が、4台も走っていますね。何かあったのでしょうか……?」
「ええ、そのようですね。先日蒔いた種が、花を咲かせたようです」

 ベルナール様はあのあと、独自に動かれていました。恐らくは、その関係なのでしょう。

「ガエルについて調べていたら、大きなことが見つかりましてね。彼だけではなく、もう一人――いえ。もう二人の元凶も、これから潰れることになるでしょう」

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