幸せじゃないのは聖女が祈りを怠けたせい? でしたら、本当に怠けてみますね

柚木ゆず

文字の大きさ
38 / 50

第17話 逆監視最終日 監視スタート (4)

しおりを挟む



「確かに、疑ったのは悪かった。だが、誰にでも疑う時はある。にもかかわらず貴様はそんな我々に対して、聖女にあるまじき手段を取った」
「聖女は文字通り、聖なる心を持った女だ。そんな者に『聖』があるはずがない」
「エリーナ・ミウヴァ、アナタは聖女の器ではないわ。その程度でそんな真似をするお前・・は、ただの女よ」
「こんな者に強大な力を持たせておけば、今後どんな過ちをもたらすか分からない。この場で処分して、真っ当な者に宿らせましょう」
「やっぱり、農家の子どもはダメだったんだよ! 歴代みたいに聖職者関係に宿るまで、やらないとだよね。どんなに時間がかかっても」

 皆さんは殊更理不尽をまき散らし、更には平然と非人道的な言葉を吐き出しました。
 ……そうですか……。
 少しでも後悔や反省があれば、全てを許すつもりでしたが――。その必要はないようですね。

「お前達っ、あの女はもう聖女ではない! 咎人だっ! この場で殺してしまえ!!」
「「「「「で、ですが……。いくら殿下の御命令であっても――」」」」」
「これは、国王の命令でもある。やるのだ」
「「「「「…………へ、陛下……。しかしながら、聖女様は――」」」」」
「国賊を擁護する者もまた、国賊だ。同じく咎人となりたいのか?」
「「「「「…………………………」」」」」

 合計15人の男性は俯き、顔を上げます。そして彼らは揃って剣を引き抜き、ソレを――床に突き刺して折りました。

「「「「「!? なにを……っ!?」」」」」
「我々の目には、聖女様は国賊とは映っておりません。故に此度の御命令に関しましては、誓った忠誠を守ることは出来かねます」
「今我々が付き従うべきは、理不尽を重ねる貴方がたではない。聖女様であります」
「皆様には多大なるご恩がありますが…………その発言は見過ごせません。一同、あちら側につかせていただきます」

 衛兵さん達は私の前で私を護るように立ってくださり、一斉に5人を睨みつけました。
 陛下に従うことが、賢い生き方なのに。皆様、ありがとうございます。

「お、お前らまで……っ! 俺達王族を、コケにするというのか……!!」
「上が愚かで下は真っ当、ってのがよくあるお話なんスよね。衛兵さんのおかげで、四面楚歌が誕生っスねえ」
「「「「「っっっっ!!」」」」」
「そんでもってもうすぐ、5人の大罪人も誕生するっスよ。こちらをご覧あれっス」

 ラズフ様は15人全員に丁寧なお辞儀をして、空中に映鏡を――透明にしていた、10枚の鏡を出現させました。

「実を言うと一部始終はバッチリ捉えていて、この中の6枚は大公などのお歴々――王族を罰する資格を持つ方々の前にあるんスよ。つまり証拠は完璧で、言い訳や揉み消しは不可能っス」

 出発時にラズフ様は、アイツらがどう動いても心配はご無用っス、と仰っていました。それは、こういう事だったのですね。

「逆恨みによる処罰は王族でも問答無用で罪ですし、相手が聖女様なら尚更っス。大公閣下によると、『地位剥奪後、強制労働付きの終身刑』になるそうっスよ」
「「「「「しゅうしん……。おっ、重すぎる……!!」」」」」
「アンタらは自分の都合で、人を殺そうとしたんスよ? どこが重いんスか。適切っスよ」

 今の私にはちゃんと思うところがありますが、それはさて置きです。このままでは、その次や次の次の聖女も手に掛けていた可能性がありました。至極当然、ですよね。

「強制労働をさせるには『人』が必須で、今までの状態で生きていられるだけ御の字っスよ。ぼちぼち大公閣下が到着されるはずっスから、大人しく捕縛されて――くれは、しないっスよねぇ」
「「「「「終身刑は、死んだようなもの……っ。どうせ死ぬなら、お前達も道ずれにしてやるっっ!!」

 5人は五指の爪を手の平にめり込ませ、お腹の底から絶叫。半ばで折れてしまった剣を力任せに引き抜き、ラズフ様と私目掛けて走り出しました。


しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

【完結】公爵令嬢の育て方~平民の私が殿下から溺愛されるいわれはないので、ポーション開発に励みます。

buchi
恋愛
ポーシャは、平民の特待生として貴族の学園に入学したが、容貌もパッとしなければ魔力もなさそうと蔑視の対象に。それなのに、入学早々、第二王子のルーカス殿下はポーシャのことを婚約者と呼んで付きまとう。デロ甘・辛辣・溺愛・鈍感コメディ(?)。殿下の一方通行がかわいそう。ポジティブで金儲けに熱心なポーシャは、殿下を無視して自分の道を突き進む。がんばれ、殿下! がんばれ、ポーシャ? 

追放聖女の再就職 〜長年仕えた王家からニセモノと追い出されたわたしですが頑張りますね、魔王さま!〜

三崎ちさ
恋愛
メリアは王宮に勤める聖女、だった。 「真なる聖女はこの世に一人、エミリーのみ! お前はニセモノだ!」 ある日突然いきりたった王子から国外追放、そして婚約破棄もオマケのように言い渡される。 「困ったわ、追放されても生きてはいけるけど、どうやってお金を稼ごうかしら」 メリアには病気の両親がいる。王宮で聖女として働いていたのも両親の治療費のためだった。国の外には魔物がウロウロ、しかし聖女として活躍してきたメリアには魔物は大した脅威ではない。ただ心配なことは『お金の稼ぎ方』だけである。 そんな中、メリアはひょんなことから封印されていたはずの魔族と出会い、魔王のもとで働くことになる。 「頑張りますね、魔王さま!」 「……」(かわいい……) 一方、メリアを独断で追放した王子は父の激昂を招いていた。 「メリアを魔族と引き合わせるわけにはいかん!」 国王はメリアと魔族について、何か秘密があるようで……? 即オチ真面目魔王さまと両親のためにお金を稼ぎたい!ニセモノ疑惑聖女のラブコメです。 ※小説家になろうさんにも掲載

本物の聖女じゃないと追放されたので、隣国で竜の巫女をします。私は聖女の上位存在、神巫だったようですがそちらは大丈夫ですか?

今川幸乃
ファンタジー
ネクスタ王国の聖女だったシンシアは突然、バルク王子に「お前は本物の聖女じゃない」と言われ追放されてしまう。 バルクはアリエラという聖女の加護を受けた女を聖女にしたが、シンシアの加護である神巫(かんなぎ)は聖女の上位存在であった。 追放されたシンシアはたまたま隣国エルドラン王国で竜の巫女を探していたハリス王子にその力を見抜かれ、巫女候補として招かれる。そこでシンシアは神巫の力は神や竜など人外の存在の意志をほぼ全て理解するという恐るべきものだということを知るのだった。 シンシアがいなくなったバルクはアリエラとやりたい放題するが、すぐに神の怒りに触れてしまう。

冷酷騎士団長に『出来損ない』と捨てられましたが、どうやら私の力が覚醒したらしく、ヤンデレ化した彼に執着されています

放浪人
恋愛
平凡な毎日を送っていたはずの私、橘 莉奈(たちばな りな)は、突然、眩い光に包まれ異世界『エルドラ』に召喚されてしまう。 伝説の『聖女』として迎えられたのも束の間、魔力測定で「魔力ゼロ」と判定され、『出来損ない』の烙印を押されてしまった。 希望を失った私を引き取ったのは、氷のように冷たい瞳を持つ、この国の騎士団長カイン・アシュフォード。 「お前はここで、俺の命令だけを聞いていればいい」 物置のような部屋に押し込められ、彼から向けられるのは侮蔑の視線と冷たい言葉だけ。 元の世界に帰ることもできず、絶望的な日々が続くと思っていた。 ──しかし、ある出来事をきっかけに、私の中に眠っていた〝本当の力〟が目覚め始める。 その瞬間から、私を見るカインの目が変わり始めた。 「リリア、お前は俺だけのものだ」 「どこへも行かせない。永遠に、俺のそばにいろ」 かつての冷酷さはどこへやら、彼は私に異常なまでの執着を見せ、甘く、そして狂気的な愛情で私を束縛しようとしてくる。 これは本当に愛情なの? それともただの執着? 優しい第二王子エリアスは私に手を差し伸べてくれるけれど、カインの嫉妬の炎は燃え盛るばかり。 逃げ場のない城の中、歪んだ愛の檻に、私は囚われていく──。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

【完結】偽物聖女として追放される予定ですが、続編の知識を活かして仕返しします

ユユ
ファンタジー
聖女と認定され 王子妃になったのに 11年後、もう一人 聖女認定された。 王子は同じ聖女なら美人がいいと 元の聖女を偽物として追放した。 後に二人に天罰が降る。 これが この体に入る前の世界で読んだ Web小説の本編。 だけど、読者からの激しいクレームに遭い 救済続編が書かれた。 その激しいクレームを入れた 読者の一人が私だった。 異世界の追放予定の聖女の中に 入り込んだ私は小説の知識を 活用して対策をした。 大人しく追放なんてさせない! * 作り話です。 * 長くはしないつもりなのでサクサクいきます。 * 短編にしましたが、うっかり長くなったらごめんなさい。 * 掲載は3日に一度。

醜貌の聖女と呼ばれ、婚約破棄されましたが、実は本物の聖女でした

きまま
恋愛
王国の夜会で、第一王子のレオンハルトから婚約破棄を言い渡された公爵令嬢リリエル・アルヴァリア。 顔を銀の仮面で隠していることから『醜貌の聖女』と嘲られ、不要と切り捨てられた彼女は、そのまま王城を追われることになる。 しかし、その後に待ち受ける国の運命は滅亡へと向かっていた——

【完結】転生社畜聖女は、前世の記憶と規格外魔力で隣国を再建します

よどら文鳥
恋愛
 社畜生活で死んでしまったものの、二度目の人生を、憧れの異世界で送ることになったヴィレーナ。  ヴィレーナは神様からの任務で聖女の力を授かる。モンスターが生まれないようにするための結界を作り維持することが使命だ。  しかし、転生先では今までと変わらずに社畜聖女として過ごすことになってしまう。  ついには聖なる力など偽りだと言われ、今までの給金分はタダ働きで仕事をする羽目になる。  執事長や侍女たちからの仕打ちもエスカレートし、ついに二度目の過労死を迎えようとしたが、間一髪で神様に助けられる。  神様のミスということで、そのお詫びに魔力と体力を授かったヴィレーナ。  二度目の転生先は隣国のメビルス王国。  そこでは今までヴィレーナが経験したことのないような優しい国で、今まで以上に聖なる力の結界やその他の仕事にも精力的になる。  その実力は、実は規格外のものだった。徐々に周りから崇められてしまうヴィレーナ。  ついにはキーファウス王太子までもがヴィレーナに跪くようになってしまう。  褒められたり崇められたりすることなど皆無だったヴィレーナは、やめてもらうよう必死にお願いする。  だが、チートすぎる魔力と聖なる力のせいで……?  キーファウス王太子は、謙虚で遠慮深い者を接することが少なかったため、ヴィレーナのことが気になっていくのだが、恋愛経験ゼロのヴィレーナはその気持ちに気がつくことはない。  いっぽう、ヴィレーナを雑に扱ってきたブブルル王国では、聖なる力による結界がなくなり、モンスターの出現が頻繁になってきて……。 ※【完結】を入れたら文字数オーバーしちゃったので、サブタイトルは消しました。

処理中です...