格上の言うことには、従わなければならないのですか? でしたら、わたしの言うことに従っていただきましょう

柚木ゆず

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エピローグ ティナ・レテアニア視点(1)

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「リエズン侯爵家のポール、ガーネット、バチスタ。くだんの3人の件、改めて感謝いたします」

 リエズン様の再教育が完了した、翌日。陛下に報告を行い、労いのお言葉と新たなる勲章をいただいた後のことでした。わたくしは『優雅』と『落ち着き』が同居した空間におり、こういったお言葉と共に片膝立ちを――この国・オラスタでは最上級の謝意を示すものを、いただいていました。

 目の前にいらっしゃる、『美』という概念が具現化したような男性。この方はこの部屋の持ち主であり、第二王子殿下であらせられるヴィクトール様。わたくしの婚約者様なのですわ。

「こうしてオラスタの真なる安定が保てているのは、貴方の存在があってこそ。ティナこそが我が国の要です」

 ヴィクトール様は――陛下、王妃殿下、王太子殿下も立場上、今回のような行動は取れません。皆様はそういった部分を常日頃悔やまれており、そのため報告後はこうして多分なお言葉をくださるのです。
 そして――

「ティナ。僕からの感謝の気持ちを、お受け取りください」

 ――紡ぎ終えて立ち上がられたヴィクトール様は、懐から正方形の箱を取り出し開かれます。
 ロイヤルブルーの、小さなボックス。その中に入っていたのは、ダイヤモンドのリング。百合の花をあしらった、素敵な指輪が納まっていました。

「こちらは……。ヴィクト―ル様」
「ええ。貴方をイメージして、制作したものです」

 デザインではなくて、制作。この方は毎回わたくしへのお礼を、手作りで行ってくださるのです。

「お三方の確保から報告まで、たった4日。その上ここ数日間は、特にお忙しいと仰られていましたのに。また、睡眠時間を削ってくださったのですね?」
「これくらいしないと、貴方へのお礼にはなりませんよ。むしろ足りないくらいです」

 勲章や言葉だけでは、足りません。
 もっと、感謝の気持ちを込められるものはないでしょうか……?

 ヴィクトール様はそういったことを考えてくださっていて、こちらを思い付かれて。最初は、デザインのみをされていました。
 けれどそれでもまだ足りないと仰られて、少ない自由時間を削って制作の技術であり知識を身につけてくださって。毎回お忙しい中をぬって、宝物となる物を作ってくださるようになったのですわ。


 そうしてビクトール様は――
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