【完結】目覚めたらギロチンで処刑された悪役令嬢の中にいました

桃月とと

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13 新たな予言

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 最近、王宮内でレティシアの霊を見たというものが相次いでいた。しかも夜中ではない、日中に頻発したのだ。パミラの側仕えをしていた者もレティシアがいたと青ざめた顔で騒ぎ、仕事に出てこなくなった。

「死人にビビってどうするのよ!」

 どうせ罪悪感から見た幻に違いない。パミラは怒りを露わにした。
 一向にライルの新たな婚約者になる許可も下おりず、肝心のライルも全く頼りにならなかった。王から信用が皆無の為、最近は会ってももらえないと聞いて周囲に当たり散らしていた。

 だから初めて大神官に呼び出されたパミラは少し気持ちが高揚していた。

「ついに私を認めることにしたのね!」

 彼が自分を疎んでいることはわかっていた。いつも見透かしたような目をしているのも気に入らなかったが、彼が自分を認めれば、王妃の座にずっと近ずくことは理解していた。

「それで。次の予言はいつかね」

 祭壇がある大広間の大神官の椅子に座りパミラを見据え、挨拶もなくただ尋ねられた。そこに敬意など何もない。

「ご存知ないかもしれませんが、聖アルテニアからの啓示はいつも突然なのです」
「そうか。次の予言は対策が間に合う時期に頼むと聖アルテニアに伝えてくれ」

(こいつ! 馬鹿にしやがって!!!)

 パミラは不快感を隠すことはしなかった。鼻息も荒く、こめかみに青筋を立てた。

(私は聖女よ!!! 今やあんたなんかよりよっぽど平民から人気があるんだから!!!)

 大広間の中にはパミラに与している神官が大勢いた。彼らがきっと自分の味方をするだろう。

「今予言が降りてまいりました。大神官、貴方の首はギロチンによって落ちるでしょう! 聖アルテニアはお怒りです! 聖女の美しい心を疑った罰が下るのです!!!」

 唾を撒き散らしながらこの大広間中に広がる声で叫んだ。だがこの広間の中に木霊する彼女の絶叫は、ただその石壁に吸い込まれていくだけだった。彼女の味方は誰も呼応することなかった。

(なんで!? どうして!!?)

 キョロキョロとレティシアを一緒に陥れた神官達を見回すも、誰も彼もが目をそらした。

「そうか。その予言が現実になるのを楽しみに待っておこう」

 パミラは大神官が笑ったところを初めて見た。

「ここにいる神官全員が今の予言の証人だ。確か予言はいつも1ヶ月以内に起こるのだったな」
「左様にございます」

 彼の若い側近がすかさず答える。

「ではそれまでに私の首がギロチンで落ちなければ、聖女パミラは聖アルテニアの名を語り偽の予言を吐く悪魔だということだ」
「なっ!? なにを!!?」

 今何が起こっているのか理解できなかった。なぜ急にこんな話になっているのだ。

「ねぇちょっと!!!」
「や、やめろ!」

 かつて大神官の側近であった神官に縋るが、その手を払われてしまった。その行動もパミラは理解できなかった。

(どうして!? 私のことがバレたら、あんただって道ずれなのよ!?)

「ああ。その者はもう私の側近でない。自ら告白したのだ。レティシア嬢を陥れたいきさつをな」
「ッ!!?」

 元側近は顔面蒼白のまま急に泣きながら喚き始めた。

「この悪魔め!!! お、お前のせいで私、私は……!!!」

 それに呼応するように、かつてパミラに与していた者たちが泣き始める。大神官が手を挙げると、聖騎士達が彼らの手を縛り、どこかへと連れて行った。

「彼らの死罪は決まっている。全ての罪を告白することで死後の祈りだけは捧げると約束した」
「はあっ!? それだけで!!?」
「どうやら彼らは奇跡を……聖アルテニアの存在を心から信じているようだ」

 少し遠くを見ながら恍惚の表情を浮かべる大神官の顔を見て、パミラは背筋が凍った。

 罪を告白した神官達は全員レティシアと対面していた。元々神官を目指すほど信心深い者達だ。彼女の繋がった首と聖アルテニアの使い鳥を見て、己の罪を全てを認めるしかなかった。そして激しく後悔するのだった。

「やめて!!!」

 パミラの手首にも乱暴に縄がかけられた。

「連れていけ」

 大神官はもうパミラに目を向けることすらなかった。
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