聖女でなくなったので婚約破棄されましたが、幸せになります。

ユウ

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番外編

3元王子の末路③

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命の恩人でありながらちゃんとした例も言わず命令するオルヴィス達に民は怒るのも当然だった。


「何をしている、早く水を」

「水は貴重だ。そんなにあるはずがない」

「お前の飲む分を寄越せ」


民は王族の為に働いて当然である考えを持っているオルヴィスは非常時だろうと関係なかった。

何より王太子として大事にされ過ぎているので、自分が良ければ良いという考えを捨てていなかった。


「俺達はもう半日も水を飲んでいないんだぞ」

「飲みたくても我慢しているんだ…それを」

「だから何だ?その分を寄越せと言っている。お前達等どうでも良い」

「アンタ、いい加減にしな!助けて貰っておきながら…そんな事ばっかり言っていると性悪の馬鹿王子のようになるよ」

「どんだけ我儘なんだ…助けるんじゃなかったぜ」


民達は最初の方は親切心で助けたが、直ぐに考えを変えた。
助けるんじゃなかったと、そう思いながらも年配の女性がオルヴィスの正体を知らずに説教を始めた。


「あの我儘放題のどうしようもない浮気王太子みたいになるよ」

「そうだね。国に災いを呼んだ国王と王太子だ。聞けば即座に逃げたって聞くよ」

「本当に許せないね。見つけたらぶっ殺してやる」


(なっ…何だと!)


本人の目の前とは知らず女性陣は王太子に対して思っている事を言う。


「私達の聖女様を侮辱し、浮気を繰り返して役目を放棄した税金泥棒」

「本当に最低だね。女癖だけは悪いなんて」

「視察なんてジュリエット様に任せて自分だけは王宮で贅沢三昧、死んで当然だよ。いや、見つけたら殺してやる」

「ああ、女の敵だ。私達はジュリエット様に恩があるんだ」


女性陣は聖女を信仰していた。
特に視察に度々来ては励ましの言葉と食料を寄付しているジュリエットに並みならぬ恩を感じていた。



(まずい…)


オルヴィスはようやく気付いた。
この場にいる民や騎士はジュリエットを敬愛する者だった。

ここで自分が王太子と言えば殺される。
貴族達も同様に震えていたのだったが、一人の子供が疑問に思った事を口にした。



「だけど王子はどうしてジュリエット様を捨てたの?馬鹿じゃないの」

「まぁ、馬鹿だからじゃない?」



「何だと!」

オルヴィスは思わず声を荒げて叫んでしまった。


「何を怒っているんだい」


「馬鹿とは無礼だろう!」


オルヴィスは自分の事を馬鹿だと言われ子供を睨むも女性達は子供達に賛同するかのようにうんうんと頷いていた。


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