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76.突撃
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国で一番偉い人である竜王の執務室は王宮の中心部にある。侍女としては当然場所は把握している。だけど下っ端侍女の私はそこに行ったことは一度だってないし、用がないのに近づくことは許されていない。
王宮一警備が厳しいところにただの下っ端侍女である私が仕事でもないのに行くことは難しい。
でも私は持っている人脈を生かしてあの場所まで辿り着いてみせる。
よしっ、やるぞ!
私は大量のお土産を手に持って、隠れることなく堂々と王宮の中心部目指して進んで行く。
まずは最初の関門が見えてきた、王宮を警護している巡回中の騎士だ。彼らは怪しい動きをしている者やここに居るべきではない者を排除するのが仕事だ。つまり今の私は排除対象で間違いない。
「こんにちは。お仕事お疲れ様です!」
挙動不審にならないようにいつもの様にに明るく挨拶をする。怪しい素振りなんて一切しない、完璧な対応だ。
「あれ、アンちゃんじゃないか?行方不明じゃなかったっけ‥‥。確かそう聞いたけどな…」
…行方不明、一体何のことかしら?
意味の分からない事を言う騎士に首を傾げながら言葉を返す。
「ふふふ、何を言っているんですか、私はちゃんとここにいますよ。確かにしばらくの間有給休暇を取っていましたけど、ちゃんと上に連絡もしてましたからそれは私のことではないですよ。はぁ~、王宮で働いている人の中にも困った人もいるんですね…びっくりですよ。
あっ、これ郷里のお土産です。良かったら食べてください」
私はすかさず騎士にお土産を差し出した。彼は嬉しそうに受け取り『気を使って貰って悪いな』とその場からすぐに立ち去ってくれた。
もちろん私に職務質問を掛けなかったし、行き先も訊ねてこなかった。これは彼の職務怠慢ではなく私の努力の賜物だ。エドに振られてから一か月間、無駄に過ごしていたわけではない。
私なりに出来ることをコツコツと取り組んだ結果、今のスルーパス状態を手に入れたのだ。自分で自分を褒めてあげた、『偉いぞ、アン』と。
しめしめ、誰も私の動きを怪しまないわ。
食いしん坊の汚名を着せられても耐え忍んで、色々なところに顔を出しまくった甲斐があったな~。
勢いづいた私は向かうところ敵なしだった。『食いしん坊アンちゃん』を怪しむ者など誰もいない。
会った人すべてにお土産を渡しながら着実に目的地へと近づいて行った。
あと少しで執務室というところで最後の難関、『執務室前を守る専属護衛騎士』が立ちはだかる。彼らは今までとは違かった。
ここまでは以前に辿り着いたことがなかったので、誰とも顔馴染みになっていなかったのだ。立ちはだかり無言で圧を掛けてくる騎士達に果敢に挑む。ここで負ける訳にはいかない。
「こんにちは、お仕事お疲れ様です。これ私の郷里で有名なお菓子なんです、良かったら召し上がってください」
にっこりと微笑みながら元気よくお菓子を差し出してみるが、誰も受け取ってくれない。それどころか腰に差している剣に手を掛け始めている。
‥‥残念ながらこの人達は立派な騎士のようだ。今までの作戦は通用しない。
うむむ‥‥、困った。
もう切り札がない…。
お土産と人脈で乗り切れると思っていた私は今崖っぷちに立っている。
とりあえず斬られたくはないのでヘラヘラと笑いながら誤魔化していると、容赦なくじりじりと間合いを詰めてくる。どうやらめでたく怪しい者認定されたらしい。残念なことに彼らは優秀な騎士達だったようだ。
うっ…不味い、非常にまずい‥‥。
絶体絶命かと思ったその時『キャンキャン』と鳴きながらワンが私に向かって突進してきた。それを追うように一人のお偉いさんも姿を現した。
あらっ、ワンじゃない。
一ヶ月で大きくなって…ぐっすん。
竜王が飼っている子犬が懐いている人物なら怪しい人じゃないと分かってもらえるはずだ。私は両手を広げ胸に飛び込んでくるワンを待っていた。
さぁ来い、ワン!
私との感動の再会を披露するのよ。
ほら、立派な騎士達ちゃんと見ててね!
犬と私の感動的な場面を見せる準備は万端だった…はずなのに。
王宮一警備が厳しいところにただの下っ端侍女である私が仕事でもないのに行くことは難しい。
でも私は持っている人脈を生かしてあの場所まで辿り着いてみせる。
よしっ、やるぞ!
私は大量のお土産を手に持って、隠れることなく堂々と王宮の中心部目指して進んで行く。
まずは最初の関門が見えてきた、王宮を警護している巡回中の騎士だ。彼らは怪しい動きをしている者やここに居るべきではない者を排除するのが仕事だ。つまり今の私は排除対象で間違いない。
「こんにちは。お仕事お疲れ様です!」
挙動不審にならないようにいつもの様にに明るく挨拶をする。怪しい素振りなんて一切しない、完璧な対応だ。
「あれ、アンちゃんじゃないか?行方不明じゃなかったっけ‥‥。確かそう聞いたけどな…」
…行方不明、一体何のことかしら?
意味の分からない事を言う騎士に首を傾げながら言葉を返す。
「ふふふ、何を言っているんですか、私はちゃんとここにいますよ。確かにしばらくの間有給休暇を取っていましたけど、ちゃんと上に連絡もしてましたからそれは私のことではないですよ。はぁ~、王宮で働いている人の中にも困った人もいるんですね…びっくりですよ。
あっ、これ郷里のお土産です。良かったら食べてください」
私はすかさず騎士にお土産を差し出した。彼は嬉しそうに受け取り『気を使って貰って悪いな』とその場からすぐに立ち去ってくれた。
もちろん私に職務質問を掛けなかったし、行き先も訊ねてこなかった。これは彼の職務怠慢ではなく私の努力の賜物だ。エドに振られてから一か月間、無駄に過ごしていたわけではない。
私なりに出来ることをコツコツと取り組んだ結果、今のスルーパス状態を手に入れたのだ。自分で自分を褒めてあげた、『偉いぞ、アン』と。
しめしめ、誰も私の動きを怪しまないわ。
食いしん坊の汚名を着せられても耐え忍んで、色々なところに顔を出しまくった甲斐があったな~。
勢いづいた私は向かうところ敵なしだった。『食いしん坊アンちゃん』を怪しむ者など誰もいない。
会った人すべてにお土産を渡しながら着実に目的地へと近づいて行った。
あと少しで執務室というところで最後の難関、『執務室前を守る専属護衛騎士』が立ちはだかる。彼らは今までとは違かった。
ここまでは以前に辿り着いたことがなかったので、誰とも顔馴染みになっていなかったのだ。立ちはだかり無言で圧を掛けてくる騎士達に果敢に挑む。ここで負ける訳にはいかない。
「こんにちは、お仕事お疲れ様です。これ私の郷里で有名なお菓子なんです、良かったら召し上がってください」
にっこりと微笑みながら元気よくお菓子を差し出してみるが、誰も受け取ってくれない。それどころか腰に差している剣に手を掛け始めている。
‥‥残念ながらこの人達は立派な騎士のようだ。今までの作戦は通用しない。
うむむ‥‥、困った。
もう切り札がない…。
お土産と人脈で乗り切れると思っていた私は今崖っぷちに立っている。
とりあえず斬られたくはないのでヘラヘラと笑いながら誤魔化していると、容赦なくじりじりと間合いを詰めてくる。どうやらめでたく怪しい者認定されたらしい。残念なことに彼らは優秀な騎士達だったようだ。
うっ…不味い、非常にまずい‥‥。
絶体絶命かと思ったその時『キャンキャン』と鳴きながらワンが私に向かって突進してきた。それを追うように一人のお偉いさんも姿を現した。
あらっ、ワンじゃない。
一ヶ月で大きくなって…ぐっすん。
竜王が飼っている子犬が懐いている人物なら怪しい人じゃないと分かってもらえるはずだ。私は両手を広げ胸に飛び込んでくるワンを待っていた。
さぁ来い、ワン!
私との感動の再会を披露するのよ。
ほら、立派な騎士達ちゃんと見ててね!
犬と私の感動的な場面を見せる準備は万端だった…はずなのに。
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