白衣の下 第二章 妻を亡くした黒崎先生、田舎暮らしを満喫していたやさき、1人娘がやばい男に入れ込んだ。先生どうする⁈

高野マキ

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ニューヨーク 落とし前付けてもらおうじゃねぇか‼️絶対ゆるさねぇからなっ

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ニューヨーク
ジョンFケネディ空港の到着ロビーに…

背の高い黒髪を短くカットしたボーイッシユな女の子が人待ちしていた。


次々と到着した飛行機から乗客が入国審査を受けて降り立つ。


「Daddy! come here!! coming.coming here!」

彼女は大声を張り上げ降り立つ乗客の中の目立つ中年の東洋人に手を振る。


(ったく…ちょっとは女の子らしい格好をしたらどうだっ…まるでマンハッタンの浮浪者じゃないかっ)


空港に降り立った先生は我が娘の酷い格好に目を疑った。

これからボストンで医療学会の講演の演者をする有名なドクター黒崎ヒカルの娘はダメージジーンズに洗いざらして胸元のロゴも剥げかけたTシャツ…にノーブラジャーの胸は乳首がTシャツの下からその存在を主張している。

(っユキ!無防備すぎだっ)


先生の怒りも沸点寸前…今回の渡米も学会参加は名目でその実は…娘…黒崎ユキの身辺調査。


…………


「Dad! Wellcome .I love you love you!so mach.」


背の高いボーイッシユな女の子はまるで恋人にでも再開したかのように ‘愛している’ を連呼して父親の腕の中に飛び込み長い手で彼を抱きしめた。


「ユキ…ったくぅ! いつまで赤ちゃん続ける気だっ…」


『だってぇ、三年ぶりだよっ、それに、ダディったら、格好よすぎ…、大好きだよっ』


黒崎ユキ…先生のたった一人の血を分けた娘…。

そして、先生が愛した女性の忘れ形見。

四年前、彼女が15歳の時黒崎ヒカルはサンフランシスコのスタン◯◯◯ド大学を退職して、実家の病院の再建の為に日本に戻る事になった。


その時、娘のユキはアメリカに残る事を選び、今は父親と同じ道を歩み始める為コロ◯◯ア大学で医学生理学を専攻していた。

「ねえ、ダッド…アッパーウエストサイドのタクヤがリザーブしたホテルで良かったかな?」

「別に、お前の学生寮だっていいよ…」

「 ダメだって知ってるくせに、女子寮だよ 男出入り禁止の女子寮!パパが勝手に決めた寮だよっ…フン」

三年前は、反抗期も手伝って父親と離れて自由になる事を選んだユキは、三年の間に父親の偉大さを思い知らされる出来事で数えきれないほど助けられ、励まされた。

父親の逞しい腕にしがみつきながら体を密着して彼女なりの愛情表現をする。


「おいっ、こらっ、やたらとベタベタしすぎだろっ、お前はっ、下着も付けないでTシャツだけって、無防備もいいところだっ」

先生は娘に耳打ちした。

「えぇ…っ、NYじゃ普通だよっ、三年ぶりに逢えたんだもん! 思いっきりダッドに甘えちゃうっ!  ベタベタしちゃうの…」


(こりゃ、タクヤの言う通りファザコンかもな…)

先生は娘に甘えられる事に不慣れながら満更でも無い様子で、

『タクシー乗り場はどこだ…』

手荷物受け取り口の職員に尋ねると、

「え―っ!タクシーは50$はするよっ 地下鉄でいいよ…」

ユキが普段の交通手段を選ぼうと言った。

「バカっ、ダディが荷物を抱えている隙に地下鉄でお前のその姿に男共が発情したらどうするんだっ!そんな危険な真似はお断りだ…」

「ダァ!っ…何時の時代のニューヨークをイメージしてるぅ?…今はタクシーより地下鉄のほうが安全なんだから…」

先生が娘の言う事を聴くはずも無く、

「金はいいから、タクシーを使う、とにかくっタクシーだっ」


「Yes, sir…」


登録されたタクシーなら、早く安全にドアトゥドアで目的地まで送り届けてくれる。


「ダッド…今夜はダッドのホテルに泊まっていい?」


「好きにすればいいさ…とりあえず、旨いメシに案内してくれ…」



「え―っ!NYでそれ求めないでよ―……!あっ、彼なら良いところ知ってるかもっ」

ユキの声のトーンが微妙に上がった。



「彼ぇ?…だぁっ! ふん…新しい男か!お前はハイスクール時代から、ボーイフレンドを取っ替え引っ替えして…何なんだ
香川が心配していたが、トラブってないだろうな?」


先生の慇懃な視線が娘に向けられる。


「よく言うよ…ダァッドなんて私の事なんかタカシに任せっきりで…バーバラやナオミとイチャイチャしてた癖に…」



「なっ、なんだっ 何でお前…知ってんだ?あいつらが勝手にベタベタしてきただけだろっ」

娘に痛いところを突かれ流石の先生も動揺する。


「まさか…年配のステファニーまで秘書とか言って…メイクラブの相手もお願いしてたんじゃ無いでしょうねぇ?」


「ばっ、バカヤローなっ、何っ言い出すんだ! ステフは俺より十歳も上のおばちゃんだぞ……」

娘に形勢が傾き出す。


「…っ」

  「ダッドは知らないだけで、まさかバーバラとだってあの時は、ちょっとショックだった。 ダッドがミチルを忘れてガールフレンドとイチャイチャするなら、アタシも適当に男の子と遊んじゃおって…思ったの…タカシを心配させたけど…」


「あっ、あれは…、だなぁ…バーバラは、つまり…その」

先生が苦し紛れの言い訳を考えている…と、


「バーバラは積極的だもん…ダディだってミチルが死んでずっと独身で…淋しかったんだね…アタシ、今なら判るから…大丈夫だよ」


娘の大人な発言に助けられたが…愛情の無いセックス……………先生も性欲には勝てない。


「と、ところで…だ、お前は、そのだな、…旨いメシを知っている男と…だな…何か、特別な…」


娘は怪訝な表情で父親を見つめながらその真意を察すると…

「無い、無いっ、有るわけ無いじゃんっ だってぇ…彼は40歳のおじさんだよぉ……」


ユキは調子に乗ってシュウジ・マチダの普段の様子を夢中で話し出す。


(ユキ…ずっと町田の話しばかりしているぞ…)


「でね…マチダ先生ったら、大学の講義もしょっちゅう休講するんだ!暮らしだって酷いんだよ…荒れ放題なんだ…二、三日、平気で食べずに作品に没頭してるかと思えば、女だよ…コールガールを引っ張り込んで宜しくやってるの…ダディより酷いんだから!」


「おっ、俺とクソ野郎と比べるなっ!」



(ユキ、まずくないか?お前…普通じゃないぞ…そんな自堕落な奴に執着するとは…)


先生の心配は現実を帯びてきた。



「娼婦を引っ張り込んで‘ヤッ’ているところを…見たのか?どうなっんだっ!」



「見ないよっ!…そんな変な趣味ないって…朝ご飯とか運んであげた時に女の声が聞こえたから “先生、今日は休講にしないでよっ”って言って帰って来てるよ…」


 「…!」


(まっ、マチダアッお前ぇ!!!!)



「ユッ、ユキっ、俺がボストンから帰って来るまで、マチダに会うんじゃないぞっ!絶対だめだ」


先生は恐ろしく怖い顔をして娘に命令した。


「ええーっ!どうしてぇよ……じゃあさっ、今から会いに行こうよっ…ダッドも美味しい物が食べたいでしょ?…マチダ先生ならきっといいお店知ってるはずっね、ねっ、」



(お前っ、そんな顔して…よほど町田柊士が好きなのか?…俺の育て方に問題があったのか…………………ナーサリーの頃、真夜中に淋しがって俺の部屋に来たが、……………………………俺は…何時も真裸で寝ていた…時々女も連れ込んでいた…ユキが入って来ると、女は帰らせ代わりにユキを抱いて寝てた…スキンシップのつもりでいたのに…ユキは、気に入った男が商売女と寝ていようが、その場で出くわそうが…
平気な顔だ、こいつ…は女としては非常にマズいぞ…………………ジェラシーが無い、倫理感が欠如している…)



先生は空のタクシーが着くから先に、荷物だけリザーブした部屋に入れて置くようホテルに連絡し、ユキが、望むソーホーでタクシーを降りた。


ソーホーの雑居ビルの一角にシュウジ・マチダのアトリエがあった。


『先生っ、先生ぇ!入りますぅっ』

中から返事が無いのにユキはドアノブをガチャガチャと回す。

すると、中から壊れかけたロックの外れる音がした。


「おいっ、お前、何時も他人の家に勝手に入るような乱暴な事をしているのか?」


「普段は、夜に出歩かないから…朝はこうして入る事を先生に許可貰ってるよ」


この行為がいかに危険な事か娘は理解していないと先生は思った。

アメリカは銃社会他人の家に無断で入って撃ち殺されても文句が言えない。


(ユキ…危なっかしくて見ていられない…………………忌ま忌ましい町田…お前…いったいうちの娘に何を教えてくれてんだっ!…許せねぇ)


「先生ぇ~っお邪魔しまぁすよぉ…今晩は…」

黒崎ユキが暗闇のアトリエに足を踏み入れようとした瞬時先生が娘の二の腕を掴み…入室に待ったをかけた。


「痛っ もう何すんのよぉ!」

ユキは振り返り父親を睨みつける。

  「ダディが先に入るから…」

父親の険しい表情を見ると従わざるおえない。

  「わかった…」

先生が娘より先に町田柊士のアトリエに踏み込み…照明のスイッチを探す。

60年代に建設された古い建物で重い鉄の扉を開けた先のホールに窓が無い。


 「ダッド、ここだよ」

黒崎ユキは馴れたもので暗がりのホールの隅の柱の後ろのスイッチをパチン、パチンと順に押した。

押された順に昼白色の蛍光灯がホールを照らし出した。


 …

(なっ、なんだ!これ………は…)

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