29 / 71
第一章
29 ルルガムからの手紙
しおりを挟む
「リリー、顔色がよくないが大丈夫か?」
「ごめんなさい……」
体調が悪くなったわけではありません。
わかってしまったんですよ。不幸中の幸いと言いますか……ザグロームに当てはめると何を企んでいるのかが……。
その上で失礼ながら、あまりにも幼稚な作戦をするのかなと考えたら頭が痛くなっただけですから私は平気です。
不運にもこういう予想はよく当たってしまうものです。
「リーナ、言いたいことがあったら言っていいのよ」
「殿下もリリーの頭脳なら居場所を推理できるのではと思って来られたのですな」
「そうなのよ! でも、もしもリーナの言うとおりだとすれば、大至急リーナを守る対策が必要でしょう。ま、いざとなったらアタシが守ってあげる」
「いや、私の婚約者ですぞ。私自ら命を賭けてでもお守りする義務がありますので!」
うーん……いつもならドキドキしてしまっているかもしれませんが、今回ばかりはそれどころではありませんね……。
まぁ、おそらくなんとか対策はとれそうですが。
というのも、この国の王都の地形と構造ならば案外容易に対策ができそうな気がしたからです。
ただ、ここまでのことは私の予想というだけなので、何か確証が取れるような情報がなければ大規模に動くことができないでしょう……。
「お話の最中に申し訳ございませんが……」
ずっと黙って会話を聞いていた執事のロロガルさんが、胸ポケットから何かが書かれている紙を取り出しました。
「これは陛下が戻られたら直接お伝えしようかと思った手紙です。速達用の伝書鳩で届いたものですし、今ここでお見せしたほうが良さそうですので」
「伝書鳩……ロロガルよ、誰からの手紙だ?」
「弟、ルルガムからの手紙です」
名前を聞いて、誰よりも私が一番先にビクリと反応しました。
ルルガムが伝書鳩を使うときは必ず緊急時の場合と決まっていましたので。
私をオーブルジェ王国へ導いてくれたときも、伝書鳩を使っていたのだと聞きました。
「読んでくれたまえ」
「では……」
『拝啓兄上。アルガルデ王国の無礼貴族の動きが活発化した。新たに就任したサージェント=アルガルデ国王陛下は国の再建のために決死の努力で改善を図っている。しかし、それをよく思わない反サージェント派の貴族および元国王までもが、一斉にオーブルジェ王国に移動する準備を始めているようだ。サージェント陛下派である諜報部隊の情報によれば、そちらの国で内通している者を通し、手を組み両国を制圧しようと企んでいるらしい。デインヒール陛下にこのことを伝え、リリーナお嬢様の協力を求めたい。尚、私はすでにサージェント国王陛下に仕える身となっているので、何か知らせがあれば陛下宛に届けてほしい。
追伸、リリーナお嬢様お元気で幸せになられていれば何よりです。サフランお嬢様とザグローム殿の失態により今回の騒動にまで発展してしまいました。故に、リリーナお嬢様が今まで国を支えてきたと言っても過言ではないでしょう。伯爵家並びに公爵家は騒動のキッカケになった失態が全貴族に知られてしまい、現在大変な事態になっておられます。生憎、元国王が庇っている状況ではありますがそう長くは守りきれないでしょう。リリーナお嬢様のオーブルジェ王国での更なるご活躍、ご活躍お祈りしております』
さすが名執事ルルガムです!
おかげで今回の件は、疑惑から確信に変わりました。
「デインヒール陛下はいつ戻られますか!?」
シンザーン殿下に対して、今は真剣モードです。
仲良し会話をしている状況ではありません。
殿下も口調が王族の真面目な状態に戻っています。
「明日戻られるはずだ。まさか……このような事態になるとは……」
「王国始まって以来、前代未聞の国の危機ですぞ! 我々には戦う術を知らないですから……」
この平和な仲良し国家に、兵士や騎士はもちろんいます。
ただ、実戦経験が全くないそうで……。
アルガルデ王国からオーブルジェ王国までは馬を使って概ね二十日くらいでしょうか。
伝書鳩が届いた頃にアルガルデ王国を出発したと仮定しても、あまり時間がありませんね。
「リーナ、何かいいアイディアはないか?」
殿下が真顔で相談してくれるのは恐縮ですが、このような事件は経験がありません。
まだ短い期間ですが、私だってこの国で大変お世話になって交友も増えました。
何か力になれることがあれば何とかしたいのです。
「まずは明日、陛下に報告してからにしましょうか。襲撃の対策はいい方法があります」
「「なんと!!」」
二つ同時に面倒ごとがやってくるとは思いませんでしたが、うまくいってくれれば一つの面倒ごとで済みそうなので案外容易かもしれませんね。
「ごめんなさい……」
体調が悪くなったわけではありません。
わかってしまったんですよ。不幸中の幸いと言いますか……ザグロームに当てはめると何を企んでいるのかが……。
その上で失礼ながら、あまりにも幼稚な作戦をするのかなと考えたら頭が痛くなっただけですから私は平気です。
不運にもこういう予想はよく当たってしまうものです。
「リーナ、言いたいことがあったら言っていいのよ」
「殿下もリリーの頭脳なら居場所を推理できるのではと思って来られたのですな」
「そうなのよ! でも、もしもリーナの言うとおりだとすれば、大至急リーナを守る対策が必要でしょう。ま、いざとなったらアタシが守ってあげる」
「いや、私の婚約者ですぞ。私自ら命を賭けてでもお守りする義務がありますので!」
うーん……いつもならドキドキしてしまっているかもしれませんが、今回ばかりはそれどころではありませんね……。
まぁ、おそらくなんとか対策はとれそうですが。
というのも、この国の王都の地形と構造ならば案外容易に対策ができそうな気がしたからです。
ただ、ここまでのことは私の予想というだけなので、何か確証が取れるような情報がなければ大規模に動くことができないでしょう……。
「お話の最中に申し訳ございませんが……」
ずっと黙って会話を聞いていた執事のロロガルさんが、胸ポケットから何かが書かれている紙を取り出しました。
「これは陛下が戻られたら直接お伝えしようかと思った手紙です。速達用の伝書鳩で届いたものですし、今ここでお見せしたほうが良さそうですので」
「伝書鳩……ロロガルよ、誰からの手紙だ?」
「弟、ルルガムからの手紙です」
名前を聞いて、誰よりも私が一番先にビクリと反応しました。
ルルガムが伝書鳩を使うときは必ず緊急時の場合と決まっていましたので。
私をオーブルジェ王国へ導いてくれたときも、伝書鳩を使っていたのだと聞きました。
「読んでくれたまえ」
「では……」
『拝啓兄上。アルガルデ王国の無礼貴族の動きが活発化した。新たに就任したサージェント=アルガルデ国王陛下は国の再建のために決死の努力で改善を図っている。しかし、それをよく思わない反サージェント派の貴族および元国王までもが、一斉にオーブルジェ王国に移動する準備を始めているようだ。サージェント陛下派である諜報部隊の情報によれば、そちらの国で内通している者を通し、手を組み両国を制圧しようと企んでいるらしい。デインヒール陛下にこのことを伝え、リリーナお嬢様の協力を求めたい。尚、私はすでにサージェント国王陛下に仕える身となっているので、何か知らせがあれば陛下宛に届けてほしい。
追伸、リリーナお嬢様お元気で幸せになられていれば何よりです。サフランお嬢様とザグローム殿の失態により今回の騒動にまで発展してしまいました。故に、リリーナお嬢様が今まで国を支えてきたと言っても過言ではないでしょう。伯爵家並びに公爵家は騒動のキッカケになった失態が全貴族に知られてしまい、現在大変な事態になっておられます。生憎、元国王が庇っている状況ではありますがそう長くは守りきれないでしょう。リリーナお嬢様のオーブルジェ王国での更なるご活躍、ご活躍お祈りしております』
さすが名執事ルルガムです!
おかげで今回の件は、疑惑から確信に変わりました。
「デインヒール陛下はいつ戻られますか!?」
シンザーン殿下に対して、今は真剣モードです。
仲良し会話をしている状況ではありません。
殿下も口調が王族の真面目な状態に戻っています。
「明日戻られるはずだ。まさか……このような事態になるとは……」
「王国始まって以来、前代未聞の国の危機ですぞ! 我々には戦う術を知らないですから……」
この平和な仲良し国家に、兵士や騎士はもちろんいます。
ただ、実戦経験が全くないそうで……。
アルガルデ王国からオーブルジェ王国までは馬を使って概ね二十日くらいでしょうか。
伝書鳩が届いた頃にアルガルデ王国を出発したと仮定しても、あまり時間がありませんね。
「リーナ、何かいいアイディアはないか?」
殿下が真顔で相談してくれるのは恐縮ですが、このような事件は経験がありません。
まだ短い期間ですが、私だってこの国で大変お世話になって交友も増えました。
何か力になれることがあれば何とかしたいのです。
「まずは明日、陛下に報告してからにしましょうか。襲撃の対策はいい方法があります」
「「なんと!!」」
二つ同時に面倒ごとがやってくるとは思いませんでしたが、うまくいってくれれば一つの面倒ごとで済みそうなので案外容易かもしれませんね。
54
あなたにおすすめの小説
永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~
畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。
神託の聖女様~偽義妹を置き去りにすることにしました
青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。
それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。
【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。
五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」
オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。
シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。
ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。
彼女には前世の記憶があった。
(どうなってるのよ?!)
ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。
(貧乏女王に転生するなんて、、、。)
婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。
(ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。)
幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。
最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。
(もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)
妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。
だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。
しかも新たな婚約者は妹のロゼ。
誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。
だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。
それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。
主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。
婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。
この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。
これに追加して書いていきます。
新しい作品では
①主人公の感情が薄い
②視点変更で読みずらい
というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。
見比べて見るのも面白いかも知れません。
ご迷惑をお掛けいたしました
婚約破棄されたので、とりあえず王太子のことは忘れます!
パリパリかぷちーの
恋愛
クライネルト公爵令嬢のリーチュは、王太子ジークフリートから卒業パーティーで大勢の前で婚約破棄を告げられる。しかし、王太子妃教育から解放されることを喜ぶリーチュは全く意に介さず、むしろ祝杯をあげる始末。彼女は領地の離宮に引きこもり、趣味である薬草園作りに没頭する自由な日々を謳歌し始める。
姉と妹の常識のなさは父親譲りのようですが、似てない私は養子先で運命の人と再会できました
珠宮さくら
恋愛
スヴェーア国の子爵家の次女として生まれたシーラ・ヘイデンスタムは、母親の姉と同じ髪色をしていたことで、母親に何かと昔のことや隣国のことを話して聞かせてくれていた。
そんな最愛の母親の死後、シーラは父親に疎まれ、姉と妹から散々な目に合わされることになり、婚約者にすら誤解されて婚約を破棄することになって、居場所がなくなったシーラを助けてくれたのは、伯母のエルヴィーラだった。
同じ髪色をしている伯母夫妻の養子となってからのシーラは、姉と妹以上に実の父親がどんなに非常識だったかを知ることになるとは思いもしなかった。
聖女で美人の姉と妹に婚約者の王子と幼馴染をとられて婚約破棄「辛い」私だけが恋愛できず仲間外れの毎日
佐藤 美奈
恋愛
「好きな人ができたから別れたいんだ」
「相手はフローラお姉様ですよね?」
「その通りだ」
「わかりました。今までありがとう」
公爵令嬢アメリア・ヴァレンシュタインは婚約者のクロフォード・シュヴァインシュタイガー王子に呼び出されて婚約破棄を言い渡された。アメリアは全く感情が乱されることなく婚約破棄を受け入れた。
アメリアは婚約破棄されることを分かっていた。なので動揺することはなかったが心に悔しさだけが残る。
三姉妹の次女として生まれ内気でおとなしい性格のアメリアは、気が強く図々しい性格の聖女である姉のフローラと妹のエリザベスに婚約者と幼馴染をとられてしまう。
信頼していた婚約者と幼馴染は性格に問題のある姉と妹と肉体関係を持って、アメリアに冷たい態度をとるようになる。アメリアだけが恋愛できず仲間外れにされる辛い毎日を過ごすことになった――
閲覧注意
「価値がない」と言われた私、隣国では国宝扱いです
ゆっこ
恋愛
「――リディア・フェンリル。お前との婚約は、今日をもって破棄する」
高らかに響いた声は、私の心を一瞬で凍らせた。
王城の大広間。煌びやかなシャンデリアの下で、私は静かに頭を垂れていた。
婚約者である王太子エドモンド殿下が、冷たい眼差しで私を見下ろしている。
「……理由を、お聞かせいただけますか」
「理由など、簡単なことだ。お前には“何の価値もない”からだ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる