君といるのは疲れると言われたので、婚約者を追いかけるのはやめてみました

水谷繭

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6.ルヴェーナ魔法学園

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 そういうわけで、私はなんとレナード様と婚約することになったのだった。

 つい最近まで、そんなことちっとも考えたことがなかった。人生とは不思議なものだ。

 魔術院の皆に伝えたら、きっとびっくりさせてしまうだろう。そう思って、おそるおそる友達のリタさんに報告したら、彼女は意外にもあっさりした反応をした。

「あら、やっと婚約したの? それはおめでとう。よかったわね!」

「え、驚かないんですか?」

「ええ。むしろなんでなかなか婚約しないのか不思議に思っていたくらいよ」

 リタさんは何を今さらと言わんばかりの態度で言う。私は呆気に取られてしまった。

 リタさんは鋭いなと驚きつつほかの人にも話して見たけれど、なぜか反応は大体同じようなものだった。思っていたのと違う反応ばかり返ってきて、不思議で仕方がなかった。


 ただ、学園長先生だけは、かなり驚いていた。

「婚約!? 君たちいつの間にそんな仲になったんだ!? 全く気付かなかったぞ!!」

 学園長先生は私とレナード様を交互に眺めながら目を白黒させている。先生はレナード様に詰め寄った。

「つまり、レナード君。やたら婚約者を探すのが嫌だとぼやいていたのは、メイベル君がよかったからということなんだな? それで婚約者探しから逃げ続けていたというわけか」

「そうですけれど、そんなにはっきり言わないでください」

「いやはや、若者の心はわからんな。私ももっと観察眼を磨かなければ」

 学園長先生は腕組みしながら、真面目な顔をして言う。

 それから先生は私に近づいてきて、こそこそ尋ねてきた。

「ところでメイベル君。我が魔術院に婚約者も出来たことだし、やはりルヴェーナ魔法学園に行くのはやめたほうがいいんじゃないか? 婚約者の近くにいられたほうがいいだろう」

「はい。その件なんですが、レナード様の件は置いておいても、ルヴェーナ魔法学園への転入はお断りすることにしました」

 私はきっぱりと言う。

 散々迷ったルヴェーナ魔法学園への入学だけれど、よく考えた末、お断りさせてもらうと決めたのだ。

「ルヴェーナ魔法学園の体験入学はとても楽しかったです。有意義な授業をたくさん受けられましたし、色んな先生や生徒さんに会えて刺激も受けられました。でも、私はなんだかラネル魔術院のスパルタ式の教え方にいつの間にか慣れてしまったみたいで。物足りないと思ってしまったんですよね」

「メイベル君……!!」

 学園長先生は、口に手を当てて感動した顔をしている。

 ルヴェーナ魔法学園はいいところだった。でも、あの場所で過ごす度に、私が好きなのはちょっと危険だけれどとっても刺激的で楽しいラネル魔術院の方だと思ってしまったのだ。

 私はここに残りたい。

「その通りだ! メイベル君にはルヴェーナ魔法学園の軟弱な教育よりも、うちの実践的な教育の方が合っている! これからもこのラネル魔術院で悠々と実力を伸ばしてくれたまえ!!」

「はい、よろしくお願いします!」

 学園長先生はその日の訓練の間中、ずっと機嫌がいいままだった。

 そんな学園長先生を見ながら、私はレナード様と顔を見合わせて笑っていた。
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