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一章 契約と回帰
三十三話
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担任の教師が大声で生徒たちを集め始めた。
「みんな、揃っているようだな! 今からダンジョン実習を開始する!
パーティを組み、準備のできた班から私のところへ来てくれ!」
号令が響くと、あちこちの班が慌ただしく動き始めた。
数組が教師へ報告していく。その中にはカイトの姿もあり、ソラはほんの少し唇を噛む。
(……負けたくない。けど、今日は勝ち負けじゃない。実習だ……)
ソラは何度も心の中で言い聞かせた。
すると、ボッケが声を張る。
「じゃあ早速だが――みんなのスキル、改めて確認しよう。
できれば得意不得意も言ってくれると助かる」
まずはボッケから口を開いた。
「私のスキルは『身体能力上昇』だ。派手さはないし、遠距離の敵に手が出せないが……その分、前に立つのが役目だと思ってる」
ソラは頷き、自分の番だと胸の前で手を組む。
「俺ののスキルは……アイテムボックス。
非戦闘系だから、戦闘面では期待に応えられないかもしれないけど……できることは全部やるよ」
するとリンが小さく手を挙げた。
「あ、あの……私は支援魔法が使えます。
“パワーアップ”で少し力を強くするのと……“アンチグラビティ”で身体を少し軽くする魔法……
で、でも……誰か一人にしか短時間かけられないので……その……役に立てるかどうか……」
「そんなことありませーん!」
ファラが元気よくリンの脇をつついてくすぐる。
「リンはベリーベリーキュートでーす! キュートは百人力でーす!」
「ひゃっ!? ファラちゃん……!」
リンの笑い声が弾み、周りにも笑顔が広がる。
次はマルコが胸を張って前に出た。
「僕は授かったスキルは水魔法だよ!
飲む水を作ったり……戦闘時には“水弾”をぶつけたりね!
さらにその強化版もあるんだ!」
得意げにいくつかポーズを決めながら説明する。
「ただ、強化版は溜めが必要でね……一度撃つとしばらく動けないのが欠点なんだ」
「水魔法って汎用性が高くて便利なスキルじゃないか!」
ソラが驚くと、マルコは鼻を鳴らす。
「まーね! でもねソラ君――
僕はこのパーティの“絆”が、どんな魔法より最強だと思ってるよ!」
「そんな恥ずかしいセリフは口にするな……」
ボッケが顔を赤らめて横を向いた。
そして最後はファラ。
「ふっふっふー……では! ファラのスキルを大公開タイムでーす!」
わざとらしく回転しながらポーズを決め、
「ファラのスキルは――『スカイロード』でっす!」
「空中を歩けます! でも十歩だけでーす! 十歩以上は、どっぼーんです!」
ソラは目を丸くした。
「す、すごいよそれ! 制限あっても空を歩けるなんて……ダンジョンですごく活躍するよ!」
ファラは目を瞬かせた後、にっこり笑い――
勢いよくソラへ抱きついた。
「ソラはそう言ってくれると思ってましたーっ!」
「うわっ!? ちょ、ちょっと……!」
あまりに突然の距離の近さにソラは頭が真っ白になるが、ファラは三秒ほどでパッと離れた。
ひと通りスキルの確認が終わると、ボッケが両手を叩く。
「よし! じゃあ各自、ダンジョン用の装備に着替えだ!
男と女で別れて準備して――終わったらここで合流することにしよう!」
「「「「はーい!」」」」
これから始まる初めての“本当のダンジョン”。
胸の不安はまだ少しある。だが、それ以上に――
仲間と共に踏み出す一歩に、胸が熱くなるソラだった。
「みんな、揃っているようだな! 今からダンジョン実習を開始する!
パーティを組み、準備のできた班から私のところへ来てくれ!」
号令が響くと、あちこちの班が慌ただしく動き始めた。
数組が教師へ報告していく。その中にはカイトの姿もあり、ソラはほんの少し唇を噛む。
(……負けたくない。けど、今日は勝ち負けじゃない。実習だ……)
ソラは何度も心の中で言い聞かせた。
すると、ボッケが声を張る。
「じゃあ早速だが――みんなのスキル、改めて確認しよう。
できれば得意不得意も言ってくれると助かる」
まずはボッケから口を開いた。
「私のスキルは『身体能力上昇』だ。派手さはないし、遠距離の敵に手が出せないが……その分、前に立つのが役目だと思ってる」
ソラは頷き、自分の番だと胸の前で手を組む。
「俺ののスキルは……アイテムボックス。
非戦闘系だから、戦闘面では期待に応えられないかもしれないけど……できることは全部やるよ」
するとリンが小さく手を挙げた。
「あ、あの……私は支援魔法が使えます。
“パワーアップ”で少し力を強くするのと……“アンチグラビティ”で身体を少し軽くする魔法……
で、でも……誰か一人にしか短時間かけられないので……その……役に立てるかどうか……」
「そんなことありませーん!」
ファラが元気よくリンの脇をつついてくすぐる。
「リンはベリーベリーキュートでーす! キュートは百人力でーす!」
「ひゃっ!? ファラちゃん……!」
リンの笑い声が弾み、周りにも笑顔が広がる。
次はマルコが胸を張って前に出た。
「僕は授かったスキルは水魔法だよ!
飲む水を作ったり……戦闘時には“水弾”をぶつけたりね!
さらにその強化版もあるんだ!」
得意げにいくつかポーズを決めながら説明する。
「ただ、強化版は溜めが必要でね……一度撃つとしばらく動けないのが欠点なんだ」
「水魔法って汎用性が高くて便利なスキルじゃないか!」
ソラが驚くと、マルコは鼻を鳴らす。
「まーね! でもねソラ君――
僕はこのパーティの“絆”が、どんな魔法より最強だと思ってるよ!」
「そんな恥ずかしいセリフは口にするな……」
ボッケが顔を赤らめて横を向いた。
そして最後はファラ。
「ふっふっふー……では! ファラのスキルを大公開タイムでーす!」
わざとらしく回転しながらポーズを決め、
「ファラのスキルは――『スカイロード』でっす!」
「空中を歩けます! でも十歩だけでーす! 十歩以上は、どっぼーんです!」
ソラは目を丸くした。
「す、すごいよそれ! 制限あっても空を歩けるなんて……ダンジョンですごく活躍するよ!」
ファラは目を瞬かせた後、にっこり笑い――
勢いよくソラへ抱きついた。
「ソラはそう言ってくれると思ってましたーっ!」
「うわっ!? ちょ、ちょっと……!」
あまりに突然の距離の近さにソラは頭が真っ白になるが、ファラは三秒ほどでパッと離れた。
ひと通りスキルの確認が終わると、ボッケが両手を叩く。
「よし! じゃあ各自、ダンジョン用の装備に着替えだ!
男と女で別れて準備して――終わったらここで合流することにしよう!」
「「「「はーい!」」」」
これから始まる初めての“本当のダンジョン”。
胸の不安はまだ少しある。だが、それ以上に――
仲間と共に踏み出す一歩に、胸が熱くなるソラだった。
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