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格
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時間は少し遡り。
火野が依頼を受けた陰陽師が居るであろう現場に式神の不死鳥の背に乗って向かっていた。
遠目にも人避けの結界が薄い紫色を放って、ドーム状に展開されているのが見えていた。
あと少しで目前に迫るという所で、急に不死鳥は止まり、火野に急ブレーキを掛けたような衝撃を受ける。
あまりに急過ぎて受け身が取れずに危うく落ちそうになりながら上体を起こすと、何が起こったのかを見るが何もない。
「どうしたの?早く現場に行かなきゃならないってのに、こんな所で止まっちゃ駄目じゃない。ほら早く向かってちょうだい!」
しかし火野の言葉には一向に従う気配も見せず、ただ一点を見つめている。
「あなた、どこかに行きたいっていうのかしら?私の命令よりも大事だっていうの。…あら?」
そこでふと不死鳥から漏れ出る感情の中に恐怖が芽生えるのを知った火野は恐怖を覚えた。
式神である不死鳥が恐怖を覚える相手というのが分からないからであった。
不死鳥は式神の中で格が高く、また他家が先祖代々契約している式神と同様の格のため、そんな相手が存在するのかさえ理解できないからだ。
更に言えば、不死鳥程の式神が怯えるという事は契約者である火野にも手が出せない相手ということである。
しかし火野が指示を出すよりも早く方向転換して不死鳥が見ていた方向に向かっていく。
それも先程のようなスピードでなく、ゆっくりと慎重に向かっていくと、見えてきた場所には1人の男が立っている。
その場所目掛けて急降下を起こしたのだった。
「それに…」
『『むっ。』』「………」
輝明の言葉を遮った元凶は赤く輝く不死鳥であった。
不死鳥は疲れ果てている火野を離れた場所に乱暴に下ろすと、その巨体でゆっくりと輝明の前まで向かってくる。
放り出された火野は契約者を突き放すように背から落とされたことに、呆然としていた。
「輝明さんじゃないですか!なんでこんな所に居るのですか!?」
突然の出来事に驚いていた火野だったが、不死鳥が向かう場所には見慣れていた輝明が立っていることに気付いて声を上げてしまった。
だが不死鳥は頭だけを火野に向けると、契約者に敵対するかのような眼差しで殺気を放って威嚇する。
「ひっ!?」
『…我の、契約者が、失礼をして、しまい、申し訳ありません。何卒、お許し頂ければ…』
火野が悲鳴を上げるのをお構いなしに不死鳥は辿々しい言葉で許しを求めてきていた。
「だってさ。俺は別に気にしてないから許してあげな、テト。」
「ピィ…」
『感謝。感謝、いたします。して、あなた様の契約者は、こちらの…!? 申しわけ…』
だが不死鳥が輝明に嘴を向けた瞬間、鉄鳥テトは輝明の方から素早く下りて巨大化するのだった、不死鳥よりも数割の大きさに。
「ガー!」
「はぁ、どうしてこうなったかな。」
そしてテトの後ろで現実逃避したくて堪らない輝明が天を仰いでいた。
火野が依頼を受けた陰陽師が居るであろう現場に式神の不死鳥の背に乗って向かっていた。
遠目にも人避けの結界が薄い紫色を放って、ドーム状に展開されているのが見えていた。
あと少しで目前に迫るという所で、急に不死鳥は止まり、火野に急ブレーキを掛けたような衝撃を受ける。
あまりに急過ぎて受け身が取れずに危うく落ちそうになりながら上体を起こすと、何が起こったのかを見るが何もない。
「どうしたの?早く現場に行かなきゃならないってのに、こんな所で止まっちゃ駄目じゃない。ほら早く向かってちょうだい!」
しかし火野の言葉には一向に従う気配も見せず、ただ一点を見つめている。
「あなた、どこかに行きたいっていうのかしら?私の命令よりも大事だっていうの。…あら?」
そこでふと不死鳥から漏れ出る感情の中に恐怖が芽生えるのを知った火野は恐怖を覚えた。
式神である不死鳥が恐怖を覚える相手というのが分からないからであった。
不死鳥は式神の中で格が高く、また他家が先祖代々契約している式神と同様の格のため、そんな相手が存在するのかさえ理解できないからだ。
更に言えば、不死鳥程の式神が怯えるという事は契約者である火野にも手が出せない相手ということである。
しかし火野が指示を出すよりも早く方向転換して不死鳥が見ていた方向に向かっていく。
それも先程のようなスピードでなく、ゆっくりと慎重に向かっていくと、見えてきた場所には1人の男が立っている。
その場所目掛けて急降下を起こしたのだった。
「それに…」
『『むっ。』』「………」
輝明の言葉を遮った元凶は赤く輝く不死鳥であった。
不死鳥は疲れ果てている火野を離れた場所に乱暴に下ろすと、その巨体でゆっくりと輝明の前まで向かってくる。
放り出された火野は契約者を突き放すように背から落とされたことに、呆然としていた。
「輝明さんじゃないですか!なんでこんな所に居るのですか!?」
突然の出来事に驚いていた火野だったが、不死鳥が向かう場所には見慣れていた輝明が立っていることに気付いて声を上げてしまった。
だが不死鳥は頭だけを火野に向けると、契約者に敵対するかのような眼差しで殺気を放って威嚇する。
「ひっ!?」
『…我の、契約者が、失礼をして、しまい、申し訳ありません。何卒、お許し頂ければ…』
火野が悲鳴を上げるのをお構いなしに不死鳥は辿々しい言葉で許しを求めてきていた。
「だってさ。俺は別に気にしてないから許してあげな、テト。」
「ピィ…」
『感謝。感謝、いたします。して、あなた様の契約者は、こちらの…!? 申しわけ…』
だが不死鳥が輝明に嘴を向けた瞬間、鉄鳥テトは輝明の方から素早く下りて巨大化するのだった、不死鳥よりも数割の大きさに。
「ガー!」
「はぁ、どうしてこうなったかな。」
そしてテトの後ろで現実逃避したくて堪らない輝明が天を仰いでいた。
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