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遭遇

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 前世である光覇の時のような、上から使われるような事になりたくないと思っている輝明は説得する。

「良いか。どんなことが起きても穏便に済ませるんだ。今世は平穏に生きたいんだからな。」

『はぁ。では普段は手頃な大きさが良いので?』

「そうだね。ハクであれば中型犬サイズなら大丈夫だね。」

 白狼は輝明の指示通りに中型犬の四国犬サイズに収まる。

 だが式神が持つオーラは見る者によっては命取りになるだろうと予感していた。

『なるほど。』

「リュウは蜥蜴トカゲにはなれるかな?もしくは蛇か。できれば蜥蜴の方が日頃から側に居れると思うけれど。」

『まあ蜥蜴が妥当でしょう。私は光覇様のようにはなってほしくありませんから。』

 そう言った亜龍はヤモリサイズまで身体を縮めたが、本来の能力は隠せないようでテトの乗る肩の反対側まで飛び乗った。

「そうそうなる事はないと思うけどね。言い忘れてたんだけど、今世の肩書きは『落ちこぼれ』だからね。下手に目立つことさえ無ければ大丈夫だろうさ。」

『それは、どういうことですか?光覇様の力を見抜けない者の評価など気にしなくとも!』

『そうですよ!なぜ落ちこぼれなどと…』

 輝明の口から伝えられた情報に憤慨ふんがいする式神だったが、暴れる前に微量の魔力を撒いて落ち着かせる。

「まあ今世の陰陽師としての基準が違うからね。それに。俺は普通の式神を召喚できなかったからね。」

『『なんと!?』』「ピ!?」

「記憶が戻っている現状では今世…現代の陰陽師が媒体とするのは式神に記す文言に則って、陰陽師の格付けがなされているからね。」

『なぜそんな非効率な…』

『初めに作った人のを流用しているらしいから、そのせいかもしれないね。それに…」

『『むっ。』』「………」

 そんな会話中、空から赤く輝くものが舞い降りたことで輝明の言葉が詰まる。

 しかし主人である輝明の言葉を遮ったことに殺気立たせる式神たちは、その現れたものに視線を走らせた。
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