(完結)「君を愛することはない」と言われて……

青空一夏

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13 みぞおちにエマの鉄拳

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「なにをする? 君は私の妻だろう? 夫に従うのは妻の務めだ。これから、君の侍女達を私がみずから鞭で打つ。誰か、鞭を持ってこい! この侍女達を鞭で打った後は奴隷に売り飛ばせ!」

 ハミルトン様は、激高しながら顔を醜く歪ませていた。
 
(まだこんなことを言うのね。こんな男性が私の夫だとは! 私はなぜ、この方が素敵と思っていたのだろう)

 メッキのように薄っぺらいハミルトン様の美貌は偽物だ。中身があまりにも伴わなすぎる。私が愛してあげる価値などない。

「ハミルトン様が私の夫であったことは一度もありません。今までも、これからもね。この婚姻は白い結婚で無効化させます。私の侍女を鞭で打つ? これ以上、エマ達を怒らせない方が良いと思いますわ」

「平民出身のたかが男爵家が! 卑しい血筋のくせに大富豪だからといって偉そうに・・・・・・お金しかないくせに!」

(限界だわ。さようなら、ハミルトン様!)

「その卑しい者のお金で、あなたは生活できているのですよ? エマ、ラナ、ゾーイ。もう、我慢しなくていいわ」

「オリビア様。その言葉を待っていましたよ」

 エマはハミルトン様のみぞおちを、渾身の力を込めて拳の人差し指の付け根で正確に突いた。ハミルトン様はあっけなく前のめりに倒れてしまう。ゾーイは巾着袋から縄を取り出すと、鼻歌をうたいながら手足を縛った。

「この屑は外に放り出しておきたいところですが、とりあえず屑の寝室に転がしておきましょうねぇーー」

 ラナはにこにこと笑顔で、ハミルトン様をずるずると引きずりながら移動させた。いつのまにか、パリノ公爵家の使用人達も私の寝室の前に勢揃いしていたけれど、誰もハミルトン様を助ける者はいなかった。

 お父様が私の専属侍女につけてくれたのはただの侍女ではない。大富豪のベンジャミン家の一人娘の私は、常に誘拐される危険があった。エマ達3人の侍女は、私の護衛も兼ねているのよ。



☆彡 ★彡



 落ち着きを取り戻したところで、私はゆっくりとベッドに身を横たえた。

(明日はこの屋敷を出て行こう。ここは私のいる場所ではない。私は愛されて大事に扱われる価値が絶対にあるはずだもの)

 ゆっくりと瞼を閉じる。もういい加減、過去から解き放たれよう。甘い恋心は砕け散ったし、あの恋は幻だった。


 私は、明日から新しい人生を歩むわ!


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