(完)子供も産めない役立たずと言われて・・・・・・

青空一夏

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レイラ準男爵家に嫌がらせをしてみたアレクサンダー(小さいざまぁ)(グレイスside)

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 私は、まず仕立屋のオーナーに美容院に連れていかれた。美容師は私の髪を見て、首を傾げた。

「こんな色に染めるなんてあり得ませんよ。もとは綺麗な金髪じゃありませんか? スペシャルトリートメントもしましょう。帰るときには小分けして持たせて差し上げます」

 とても、時間がかかったが、丁寧に染められてトリートメントもし、蒸気で蒸したタオルを巻かれた。本来の金髪が蘇り顔まわりが明るくなったところに薄化粧がされた。爪も磨かれて桜色に染め上げられると、伯爵令嬢だった頃に少しもどるが、痩せ細った身体は変わらない。

「お嬢様は、少しお痩せになりすぎですね! 今、ココアをお持ちしましょうね。もう少しお召し上がりになってくださいね」

 レイラ準男爵家では、碌な物が食べられなかったからすっかり痩せてしまったのだ。ココアを口に含むと、久しぶりの甘みが体に染み渡った。思わず、ふーーっと満足の吐息をつくと美容師がにっこりと笑った。

「お顔の血色が少し良くなりましたね! 良かったですこと!」

 美容院から仕立屋に私が戻ると、仕立屋のオーナは私を見て喜びの声をあげた。

「まぁ、まぁ。こんなに、美しい方だったとは思いませんでしたよ。これなら、どんなドレスも似合いそうです!」

 そうして、せっせとドレスの仕立てにかかった。お針子さんが奥に20人ほどいて一斉にドレスを縫い始めた。その間に靴屋や宝石屋にも行く。

 全てのことを、やり終えた頃にちょうどアレクサンダー様がお戻りになられた。

「やぁ、とても綺麗だよ。さて、私の屋敷に行こう。私は、侯爵と宰相補佐の地位を頂いた。使用人も何人か揃えてもらったが、まだまだ足りない。明日にでも募集して面接しなければ、グレイスさんと気の合う使用人達で揃えよう」

 そうおっしゃると、とても立派な馬車に乗り、私はアレクサンダー様と住むことになったのだった。


*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*


 
私が住まう館には多くの侍女が雇われ、私はアレクサンダー様にとても大事にされた。
精神的にも落ち着き安心した私の痩せすぎな体は、均整のとれた以前のような体型に戻っていった。

「アレクサンダー様。お兄様には、いつ会えるのでしょう?」

「うん、3カ月後の王様の誕生日に全部の貴族達が集まるからね。その時に暴露しようと思っている」

「え? 暴露ですか?」

「そう。全てがうまくいっていると思い込んでいる悪人ほど、そこから引きずり下ろされると悔しがるものさ。だからね、しばらく餌をたんとあげて泳がせようね。釣りあげるのはそれからだ。
あぁ、マイケルは王にあの偽物夫婦を男爵にさせた。
今頃、あのレイラ準男爵家は男爵家に爵位があがって大喜びだろうな。
ところで、明日とてもおもしろそうな歌劇がやるんだよ。一緒に私と見にいこう」

「えぇ。とても、嬉しいです」

 私とアレクサンダー様が多くの侍女を伴って歌劇の劇場に向かう道中では、馬車が渋滞し一向に進む気配がなかった。どうやらどこかの男爵家の馬車の車輪が外れたらしくその修理のために交通が滞っているらしい。

 アレクサンダー様は従者を見に行かせた。

「レイラ男爵家の馬車だそうです。車輪を今、直しているとかで・・・・・・」

「ふーーん。邪魔だよねぇ。血の気の多い若い従者をレイラ男爵家の馬車のところに向かわせなさい。隅に寄せて修理するよう言わせるんだ」

「はい、かしこまりました」



*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*



 その後、叫び声がきこえたり、外がいやに騒がしかったけれどアレクサンダー様は『気にしなくていいよ』と私におっしゃった。


 歌劇の劇場に着くとボックス席が隣り合わせで予約されていた。私とアレクサンダー様はその敷居を取り払ってもらい、とても贅沢な空間で寛いでいた。すると、聞き覚えのある女の声がして思わず振り向いた。
そこにはレイラ男爵家のお姑様がいた。その腕にはリリィの子供を抱いて横にはリリィとアイザックもいた。私はその時、顔をベールで覆っていたのでこちらには気がつかないようだった。


「あら、そこの席の右側は私どもの席ですよ! なんて、図々しい! どきなさいよ」

 お姑様が、真っ赤な顔で叫んでいた。アレクサンダー様は大笑いして従者と侍女達にひっそりとした声でおっしゃった。

「あの愚かなご婦人達を笑い飛ばせ! 侯爵家に難癖つける身の程知らずな男爵家の者たちだ。なにを言ってもかまわない」

 血の気の多い従者達がはやし立てた。

「「「こちらはアレクサンダー様の席だぞ! 侯爵家と争う気か! 身の程知らずなババァだな」」」

「「「こちらは勇者様だぞ! しかも王家の血を引いておられる高貴な英雄だぞ! たかが男爵家が!」」」


 散々、はやし立てられたお姑様は、流石に恥ずかしかったのか、一言も言い返さないでリリィとアイザックを伴って帰っていった。

「アレクサンダー様。この席は本当にレイラ男爵家が予約したのですか?」

 私が、訊くとアレクサンダー様はにっこり笑って私の髪を撫でながらおっしゃった。

「心の優しいグレイスは、知らなくてもいいことだよ」


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