28 / 50
レイラ男爵の処分その4
しおりを挟む
「ふん! そうかい。 ならば、お望み通りに処刑してやろうかね。
お前は絞首刑だ。
この屋敷にいる者は、みんなお前の事情を知っている。今日は、ちょっとしたご馳走を振る舞おう。皆と、最期の別れをするが良い」
なんて、ありがたいんだ。望み通り以上の答えに涙が出てきた。ヘイズリーも、アイザックも殺されたと聞いたし、自分だけが生き恥をさらしてここで生きることは間違っている。
その夜は上等な肉とワインが、使用人全員に振る舞われた。
「私の事情を、あんたも知っていたのかい?」
私は『生きているだけで丸儲け』が口癖の男に尋ねた。
「あぁ、始めから皆が知らされていたさ。『事情を知ったうえで、それぞれが判断をし、それにあった対応をすれば良い』と女主人様がおっしゃったさ。俺はよぉ、初めは、あんたは大嫌いだったよ。でも、一緒にいたら案外素直で、悪い奴でもねぇなって思うようになったさ。なんで、処刑なんか選んだんだよ? 俺は、悲しいよ・・・・・・」
私は、涙が出てきた。私が処刑されるのを悲しんでくれる人間がいるだけで、ありがたい。
「そうだよ。生きていれば、また、いいことだってあるじゃないか? この暮らしが、そんなに嫌なのかい?」
雑用女も、涙ぐんでいた。
「違うんだよ。ここは、とてもいい所だ。ここで働けて、本当に良かった。私だけが、ここで幸せを感じて生きるのは申し訳なくてなぁ。妻も息子も死んだ。リリィは生きているらしいが、私のことは恨んでいるかもしれない。私が死ぬことは、正しいことなんだよ。それだけのことを、してきた愚か者さ」
それに、あっちには大好きだった恋人がいる。こんな生き方をしたから、あのかつての恋人のところには行けないかもしれない。でも、あの世というものがあるのなら、一目だけでもあの姿が見たいな、と思う。
いや、無理かな・・・・・・きっと、地獄に墜ちてヘイズリーやアイザックと会うことになるのかな。
あぁ、でも、そうしたらあいつらにとてもいいことが教えられると思う。
多くを望まず、人に感謝して、与えられた仕事をきっちりこなして生きていれば心は平穏でイライラすることはないんだって。そう、私の家族は、不平不満だらけでイライラしてばかりいたから。そのストレスは、必ず弱い者虐めになった。使用人やグレイスは、その餌食だった。私がもっとしっかりして、家族を諭すべきだったなぁ。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
絞首刑台が屋敷の前に設置されて、私は皆の前でその台に上った。一段、一段と登っていくその先には、なんとグレイスとアレクサンダー様がいらっしゃった。私は、深く頭を下げた。台の上から、周りを見回す。同僚のじじぃ達と、雑用女達。コックや馬丁、侍女や侍従達までいるなかに、リリィもいたのだった。
あぁ、こうして全ての見知った者達のなかで刑が執行されるのか・・・・・・
同僚のじじぃ達が、皆泣いているのには、驚いた。普段、話さない者まで泣いてくれている。
あぁ、充分さ。充分過ぎる・・・・・・この死に方はご褒美だ。
首に縄が巻かれて、ガタンと下の床が抜け落ちた。そのまま下に落下し・・・・・・
パフン!! ん? なにか、柔らかいものに落下した。
絞首刑台の下には、厚いマットが3重に敷かれていたのだった。
「前のお前は死んだ。昨夜、私は皆に言ったのだ。『この者に生きて欲しいと思う者はナイフをもって縄を傷つけに来い』とな。なんと、お前と関わって働いていた者全員がやって来た。そこでアティカス候爵夫妻にも相談した結果、お前は、生まれ変わって新しく生きることを許された。
死んではならない。そこにいるリリィも、罪を悔い改めて健気に生きている。死に急ぐな!」
「「「うわぁーー。良かったよ。縄が切れるようになっていたなんて! 知らなかったなぁーー。」」」
「「「ここで、また働こうぜ!」」」
「「「一緒に、汗を流して、頑張ろうぜ!」」」
私は、生きていていいのだろうか・・・・・・私が泣きながら、グレイスの方を見つめると、綺麗な声が言葉を紡いだ。
「生きなさい。私は、貴方を許します」
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
次回のお知らせ
グレイスとアレクサンダーの結婚式やラブラブ満開の様子を更新予定です。
宣伝です(´,,•ω•,,`)◝ご不快な方は飛ばしてくださいませ
「私の夫を奪う姉」
ブラックコメディー
ショートショート
5話完結
執筆済みですので更新が滞ることはございません。
他作品、最近更新していないものも、順次、すすめていきますのでよろしくお願いします。
(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾
お前は絞首刑だ。
この屋敷にいる者は、みんなお前の事情を知っている。今日は、ちょっとしたご馳走を振る舞おう。皆と、最期の別れをするが良い」
なんて、ありがたいんだ。望み通り以上の答えに涙が出てきた。ヘイズリーも、アイザックも殺されたと聞いたし、自分だけが生き恥をさらしてここで生きることは間違っている。
その夜は上等な肉とワインが、使用人全員に振る舞われた。
「私の事情を、あんたも知っていたのかい?」
私は『生きているだけで丸儲け』が口癖の男に尋ねた。
「あぁ、始めから皆が知らされていたさ。『事情を知ったうえで、それぞれが判断をし、それにあった対応をすれば良い』と女主人様がおっしゃったさ。俺はよぉ、初めは、あんたは大嫌いだったよ。でも、一緒にいたら案外素直で、悪い奴でもねぇなって思うようになったさ。なんで、処刑なんか選んだんだよ? 俺は、悲しいよ・・・・・・」
私は、涙が出てきた。私が処刑されるのを悲しんでくれる人間がいるだけで、ありがたい。
「そうだよ。生きていれば、また、いいことだってあるじゃないか? この暮らしが、そんなに嫌なのかい?」
雑用女も、涙ぐんでいた。
「違うんだよ。ここは、とてもいい所だ。ここで働けて、本当に良かった。私だけが、ここで幸せを感じて生きるのは申し訳なくてなぁ。妻も息子も死んだ。リリィは生きているらしいが、私のことは恨んでいるかもしれない。私が死ぬことは、正しいことなんだよ。それだけのことを、してきた愚か者さ」
それに、あっちには大好きだった恋人がいる。こんな生き方をしたから、あのかつての恋人のところには行けないかもしれない。でも、あの世というものがあるのなら、一目だけでもあの姿が見たいな、と思う。
いや、無理かな・・・・・・きっと、地獄に墜ちてヘイズリーやアイザックと会うことになるのかな。
あぁ、でも、そうしたらあいつらにとてもいいことが教えられると思う。
多くを望まず、人に感謝して、与えられた仕事をきっちりこなして生きていれば心は平穏でイライラすることはないんだって。そう、私の家族は、不平不満だらけでイライラしてばかりいたから。そのストレスは、必ず弱い者虐めになった。使用人やグレイスは、その餌食だった。私がもっとしっかりして、家族を諭すべきだったなぁ。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
絞首刑台が屋敷の前に設置されて、私は皆の前でその台に上った。一段、一段と登っていくその先には、なんとグレイスとアレクサンダー様がいらっしゃった。私は、深く頭を下げた。台の上から、周りを見回す。同僚のじじぃ達と、雑用女達。コックや馬丁、侍女や侍従達までいるなかに、リリィもいたのだった。
あぁ、こうして全ての見知った者達のなかで刑が執行されるのか・・・・・・
同僚のじじぃ達が、皆泣いているのには、驚いた。普段、話さない者まで泣いてくれている。
あぁ、充分さ。充分過ぎる・・・・・・この死に方はご褒美だ。
首に縄が巻かれて、ガタンと下の床が抜け落ちた。そのまま下に落下し・・・・・・
パフン!! ん? なにか、柔らかいものに落下した。
絞首刑台の下には、厚いマットが3重に敷かれていたのだった。
「前のお前は死んだ。昨夜、私は皆に言ったのだ。『この者に生きて欲しいと思う者はナイフをもって縄を傷つけに来い』とな。なんと、お前と関わって働いていた者全員がやって来た。そこでアティカス候爵夫妻にも相談した結果、お前は、生まれ変わって新しく生きることを許された。
死んではならない。そこにいるリリィも、罪を悔い改めて健気に生きている。死に急ぐな!」
「「「うわぁーー。良かったよ。縄が切れるようになっていたなんて! 知らなかったなぁーー。」」」
「「「ここで、また働こうぜ!」」」
「「「一緒に、汗を流して、頑張ろうぜ!」」」
私は、生きていていいのだろうか・・・・・・私が泣きながら、グレイスの方を見つめると、綺麗な声が言葉を紡いだ。
「生きなさい。私は、貴方を許します」
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
次回のお知らせ
グレイスとアレクサンダーの結婚式やラブラブ満開の様子を更新予定です。
宣伝です(´,,•ω•,,`)◝ご不快な方は飛ばしてくださいませ
「私の夫を奪う姉」
ブラックコメディー
ショートショート
5話完結
執筆済みですので更新が滞ることはございません。
他作品、最近更新していないものも、順次、すすめていきますのでよろしくお願いします。
(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾
64
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる