(完)子供も産めない役立たずと言われて・・・・・・

青空一夏

文字の大きさ
38 / 50

リリィが、またしても・・・・・・(グレイス視点)

しおりを挟む
 その水晶が割れ、黄金の小さな龍は、ゆっくりと明け放れた窓から外に出ていった。

 私達は、後を追って、窓の外をみあげた。龍は、嬉しそうに天に昇りながら巨大になっていき、ゆったりと空を一回りした。
そうして、その大きな体を人の姿に変え窓から戻ってきた。

 黄金の髪と瞳。日に焼けた小麦色の肌は、野性的でとても美しい男性だった。

「ふふふ。久しぶりに空を舞いました。私の名はミカエル。さて、私の主よ。貴方のお望みをお聞きしましょう」

 ミカエル様は、アレクサ女公爵様にお尋ねになった。

 アレクサ女公爵様は、事の経緯をご説明になる。

「あぁ、愚かな王子様だ。私が、ひねり潰してもいいのですがね。王宮ごと、この尾で吹き飛ばすか、王宮ごと火を吐いて焼いてしまいましょうか?」

「だめです! 王宮にはお父様がいますもの」

「そうですよ。兄上もいるし、王宮にはこの戦いには無縁な多くの侍女や使用人達がたくさんいますからね」

 王女様とお義母様は、慌ててミカエル様を止めた。

 「ふむ。ならば、私は人の姿のままで、戦いましょう。私に、適当な剣を下さいますか? あぁ、それで良いです」

 ミカエル様が、剣を持つとその剣の刃のあたりが赤く色づいた。


*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚



「この屋敷全体が王家の騎士達に取り囲まれました!」

影の報告で、また外を眺めると、騎士達の軍勢が屋敷をぐるりと取り囲み、火の矢を放ち始めていた。影達は、騎士が剣を振りかざす前に後ろに回り込み、攻撃する。皆、投げナイフの達人のようで、ナイフを立て続けに投げては身をかわし、その動きはとても素早かった。

圧倒的に、こちらの勝利かと思ったのも、つかのま、

「おい! アレクサンダーーー!これを見ろ! リリィが死んでもいいのか?」

 総騎士団長のルシファー様が車椅子の方に剣を突きつけて叫んだ。

まだ充分には回復していないリリィが車椅子に縛られているのが見える。
まさか・・・・・・病院には護衛騎士を10人以上は配置していたのに・・・・・・

「ふふふ。残念でしたね? あの病院の医院長は私の昔からの友人よ?」
王妃様が、嬉しそうに言うと、リリィの怪我をしている足を蹴った。

「ほら。卑しい侍女よ。助けてくれ、と主に叫べ!」

王妃様は意地悪くおっしゃった。

リリィは叫んだ。

「私のことは、助けないでください! この命はグレイス様にいただいたものです。もう、一生分、幸せを味わえました。こんな私が侍女になれただけで充分なんです!」


「ふん。お涙ちょうだい茶番劇とはこのことだ。こんな侍女でも、お前らには大事なのだろう? その黒装束のやたら強い者どもに、戦うのをやめさせろ! 本当に殺すよ? この侍女、我慢強いみたいだが、試してみたい毒薬があるんだ。どれぐらい苦痛なのかな。あっははは」

小さな小瓶を開けてリリィに飲まそうとするふりをしながら、王子様が、愉快そうに笑ったのだった。
 
しおりを挟む
感想 263

あなたにおすすめの小説

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑

岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。 もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。 本編終了しました。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...