(完)子供も産めない役立たずと言われて・・・・・・

青空一夏

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愚かな第一王子と、人ではない者

(第一王子side)
  父上は、アレクサンダーとマイケルを可愛がりすぎている。実の息子の私の立場がないじゃないか! 王宮での会合や、大事な場面では常にあの二人が側にいて、近づくこともできない。

 マイケルと結婚したセリーヌ王女は実の妹のくせに、アレクサンダーをお兄様と呼んで幼い頃から懐いていた。私を蛇でも見るような眼差しで見やがる。確かに、あいつが泣くのが楽しくてちょっと悪戯したことはある。セリーヌ王女の侍女の服に火をつけたり、転ばせて怪我をさせたり・・・・・・。

「お兄様! 私の侍女を殺すおつもりですか? この者がなにをしたというのです?」

 バカみたいに怒った。侍女なんて、いくらでもいるさ。その侍女に拘る必要がどこにある? 

「うるさいな! 暇で退屈だったからだ。そんな侍女の一人ぐらい死のうと生きようと、私達王族が気にかけることではない」

 セリーヌはあれから、私をお兄様とは呼ばなくなった。愚か者が! 父が亡くなれば、私が王になるんだぞ!王の息子は私だけだ! なのに、妙な噂が入った。

「「どうやら、王位は甥の英雄のアレクサンダー様に譲るようだ。あの残酷王子が継いだら、どうなることかと思っていたが・・・・・・良かったなぁ」」

 ふざけるな! 嫡男の私こそが王に相応しい。あのアレクサンダーが溺愛してやまない美しいグレイスのお気に入りの侍女リリィを、総騎士団長ルシファーの息子に嫁がそう。人質に利用しようと思った。ところが、あの卑しい侍女は断ってきたという。身の程知らずは、思い知ったほうがいい。

「フェルナンデス! その生意気なリリィに思い知らせてやればよかろう。あの女はもと罪人で、過去は娼婦のような飲み屋の女だ」

 私は、フェルナンデスにそう言った。しかし、その後、フェルナンデスがマイロ女公爵に捕らえられ、リリィが虫の息だったことを聞かされた。フェルナンデスは私の許可もなく、拷問にかけられているという。なんでだ? たかが、侍女一人の為に大事な騎士を拷問するとは!

 おかしくないか? たかが、王の姉というだけで、なんでやりたい放題が許される? ここは法治国家だぞ?


*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚



「宣戦布告といきましょう。我が息子が捕らえられた! なんとしても、奪い返さなくては」

 ルシファーが、怒りで顔を赤黒く染めた。

「マイロ女公爵はもともと大嫌いなのよ! その妹もね! いつでも偉そうで! 私の姉のオータム女公爵もあの派閥だわ! 忌々しい! 王妃の私よりも権限を与えられ、多くの富をもつという。おかしいじゃないの ?これは粛清ですわ! 宣戦布告なさい!」

 母上も興奮して、叫んだ。私に異論はない。父である王を監禁し、宣言した。

「アレクサンダー・アティカス候爵、その母、マイロ女公爵は国外追放! アレクサ女公爵とオータム女公爵も同じ処分とする。マイケル・カリブ伯爵は、王女の夫であるから公爵に取り立てる!」

 その私の宣言を、監禁された王が侍従から伝え聞き、ため息をついてこう言ったことは私には知るよしもなかった。

「あぁ、バカ息子が自ら粛清されにいこうとは・・・・・・まぁ、いいか・・・・・・あんな者がいては国の為にはならん。ふふふっ。あの龍に久しぶりに会えそうだな。先々代の王が、やはり王族同士の争いごとで使ったという・・・・・・」


*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚

第三者視点

 マイケル・カリブ伯爵は、第一王子からの書状を破った。

「アレクサンダー達を追放するだと! ばかばかしい! 私は、当然だがアレクサンダー派だ。セリーヌよ、貴女の兄を斬ることになるやもしれん。・・・・・・すまないな・・・・・・」


「いいえ・・・・・・あれは兄ではありません。残酷王子ですよ。あの方が、幼いころよりしてきた悪行は数えきれないほどです。それより、お父様は大丈夫でしょうか・・・・・・」

「大丈夫だとも! とにかく、アレクサンダーの屋敷に行こう!」

 そうして、全ての、今回の当事者達が、アティカス候爵家の屋敷に集まったのだった。

「母上、やはり、こんなことになりましたね?」

 アレクサンダーは顔を曇らせながら眉根をよせた。

「なぁに。案ずることはなにもない。グレイスは知っているが、アレクには言っていなかった秘密がある。これは、マイロ女公爵を継ぐ者だけの秘密だった。今こそ明かそう。影よ、出でよ」

 王家の総騎士団員の数に勝るとも劣らない人数の黒装束の者達が、アティカス候爵家の広大な庭園を埋め尽くした。

「この者達は、先代王が私に託した者だ。騎士とは違う特殊訓練を受け、剣ではない術を使う。さて、妹よ? あなたが、貰ったものはなんだろう?」

「うふふ。私も初めて、召喚するのですよ。王族同士が争ったら、必ずこの者が鎮めてくれると言われました」

 大きな水晶の中には黄金色の小さな龍の姿が見えた。

「なんと! これは、オモチャではないのか? こんな小さなトカゲのような龍では、なんの助けになろうか?」

 マイロ女公爵の呟きと同時に、その水晶が割れ・・・・・・

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