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リリィが死ぬ?
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(龍視点)
私の主達は、急いで外に出たが、もちろん私は窓から飛び降りた。
全く、人間というのは定期的に争いを起こすから面白い。まぁ、過去にも、この王子達のような愚か者はたくさんいたが・・・・・・この王子は特に気に入らないなぁ。
「そんな卑怯な真似しかできないのか? リリィを放せ!」
アレクサンダーが残酷王子に叫んだ。
「アレクサンダー! お前はバカか? 卑怯な真似をしようとなにをしようと勝てばいいんだよ? なんの交換条件もなしに、人質を放すわけがないだろう? お前ら、勇者どもは清廉潔白すぎて反吐がでるよ。私達王族は神なのだ! それを、お前らと父上は平民のために、いつも法改正して国民の人気取りばかりしやがって。間違っていることがわからないのか? 王は神だ! 王の息子の私も神だ! 神はなにをやってもいいのだ!」
私は、その言葉に思わず龍化した。この王子の言葉には我慢がならなかった。
巨大な龍となり、咆哮をあげ、王家の騎士達に向かって火を吐いたのだった。ただ、それがもとで・・・・・・
*:゚+。.☆.
(アレクサ女公爵視点)
私が侍女教育を施したリリィが大けがを負ったばかりか、その傷も癒えていないのに捕らえられていた。
この娘は、とても努力家だった。驚くほど、早く知識を吸収し、気が利く、性格の素直な子だった。
「グレイス様のお役にたてる侍女になりたいです」目をキラキラさせて言うこのリリィの忠誠心は本物だった。
私はリリィに侍女長にもなれるだけの教育を授けた。それなのに、私達王族の争いごとに巻き込んでしまった。
可哀想に、なんとか助けてやりたい。
だが、残酷王子の愚かな発言が龍を怒らせた。その美しい青年は、途端に龍になり、すさまじい咆哮をあげ、火を吹いたのだ。あの愚かな残酷王子達を、いきなり驚かすのは得策ではないのに・・・・・・
王子は、顔色をさっと変えると震えだした。
「ちょっと、待てよ・・・・・・こんな話は聞いてない。母上? これでは無理だ。こんな人間ではないおとぎ話のような生き物が、こいつらの仲間にいたなんてあり得ない・・・・・・これじゃぁ、勝てるわけがないだろ?」
「まさか、王がおっしゃっていた王族は争えない、とはこういうことだったの? 私が不満を言う度に笑って王は私におっしゃっていた・・・・・・なぜ、教えてくれなかったのだ・・・・・・あぁ、もう勝てるはずはない・・・・・・ならば、その毒はこの女に飲ませ・・・・・・地獄の道連れに・・・・・・」
王妃が呟くのと、王子がリリィに毒を無理矢理飲ませるのと、それは、ほぼ同時のできごとだった。
リリィは、顔を歪ませ、もがき苦しみはじめたのだ。なんてことだ!・・・・・・リリィには、これから幸せが待っていたはずなのに・・・・・・・
私は龍に叫んだ。
「龍よ! この邪悪な者どもを、全て火あぶりにしたのなら、そこのリリィの命をなんとしても救うのです!」
私は、跪き龍に祈っていた。傍らにいたグレイスも跪き呟いた。
「龍神様・・・・・・リリィをお助けください。お願いです・・・・・・リリィはまだ死んではいけない」
龍は、頷くように微かに、頭を揺らしたのだった。
私の主達は、急いで外に出たが、もちろん私は窓から飛び降りた。
全く、人間というのは定期的に争いを起こすから面白い。まぁ、過去にも、この王子達のような愚か者はたくさんいたが・・・・・・この王子は特に気に入らないなぁ。
「そんな卑怯な真似しかできないのか? リリィを放せ!」
アレクサンダーが残酷王子に叫んだ。
「アレクサンダー! お前はバカか? 卑怯な真似をしようとなにをしようと勝てばいいんだよ? なんの交換条件もなしに、人質を放すわけがないだろう? お前ら、勇者どもは清廉潔白すぎて反吐がでるよ。私達王族は神なのだ! それを、お前らと父上は平民のために、いつも法改正して国民の人気取りばかりしやがって。間違っていることがわからないのか? 王は神だ! 王の息子の私も神だ! 神はなにをやってもいいのだ!」
私は、その言葉に思わず龍化した。この王子の言葉には我慢がならなかった。
巨大な龍となり、咆哮をあげ、王家の騎士達に向かって火を吐いたのだった。ただ、それがもとで・・・・・・
*:゚+。.☆.
(アレクサ女公爵視点)
私が侍女教育を施したリリィが大けがを負ったばかりか、その傷も癒えていないのに捕らえられていた。
この娘は、とても努力家だった。驚くほど、早く知識を吸収し、気が利く、性格の素直な子だった。
「グレイス様のお役にたてる侍女になりたいです」目をキラキラさせて言うこのリリィの忠誠心は本物だった。
私はリリィに侍女長にもなれるだけの教育を授けた。それなのに、私達王族の争いごとに巻き込んでしまった。
可哀想に、なんとか助けてやりたい。
だが、残酷王子の愚かな発言が龍を怒らせた。その美しい青年は、途端に龍になり、すさまじい咆哮をあげ、火を吹いたのだ。あの愚かな残酷王子達を、いきなり驚かすのは得策ではないのに・・・・・・
王子は、顔色をさっと変えると震えだした。
「ちょっと、待てよ・・・・・・こんな話は聞いてない。母上? これでは無理だ。こんな人間ではないおとぎ話のような生き物が、こいつらの仲間にいたなんてあり得ない・・・・・・これじゃぁ、勝てるわけがないだろ?」
「まさか、王がおっしゃっていた王族は争えない、とはこういうことだったの? 私が不満を言う度に笑って王は私におっしゃっていた・・・・・・なぜ、教えてくれなかったのだ・・・・・・あぁ、もう勝てるはずはない・・・・・・ならば、その毒はこの女に飲ませ・・・・・・地獄の道連れに・・・・・・」
王妃が呟くのと、王子がリリィに毒を無理矢理飲ませるのと、それは、ほぼ同時のできごとだった。
リリィは、顔を歪ませ、もがき苦しみはじめたのだ。なんてことだ!・・・・・・リリィには、これから幸せが待っていたはずなのに・・・・・・・
私は龍に叫んだ。
「龍よ! この邪悪な者どもを、全て火あぶりにしたのなら、そこのリリィの命をなんとしても救うのです!」
私は、跪き龍に祈っていた。傍らにいたグレイスも跪き呟いた。
「龍神様・・・・・・リリィをお助けください。お願いです・・・・・・リリィはまだ死んではいけない」
龍は、頷くように微かに、頭を揺らしたのだった。
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