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婚約破棄、大いに結構
八話 トラブルの予感
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「さあ、行くわよ」
ミアさんの掛け声で、私はギルドを出発した。
薬草の採取は、ギルドから少し離れた森で行う。王都のすぐ近くに広がるその森は、危険な魔獣こそ少ないものの、油断はできない場所らしい。
「薬草の場所はだいたい把握してる?」
「いえ、知識は多少ありますが、実際に採取したことはなくて……」
正直にそう答えると、ミアさんは「まあ、そうよね」と納得したように頷いた。
「貴族だったんでしょ? なら、こういう仕事は初めてよね」
「……はい」
やっぱり貴族出身だとすぐバレる。仕方ないことだけれど、少し複雑な気持ちになった。
「別に気にすることないわよ。ギルドにはいろんな人がいるし、貴族出身のやつもたまにいるしね」
「そうなんですか?」
「ええ。でも、ほとんどの貴族はここでやっていけなくて辞めるけど」
「……そうですか」
つまり、私もその”ほとんど”の一人になるか、それとも生き残るか。
(やるしかない)
そう思いながら、私は前を向いた。
***
森に入ると、辺りはひんやりとした空気に包まれていた。木々が生い茂り、日の光を遮っている。
「目的の薬草は《ブルームグラス》と《ミントリーフ》よ。どちらもこの辺に生えてるはず」
「はい」
私は目を凝らしながら、薬草を探し始めた。
ミントリーフは特徴的な香りがあるのですぐに見つけられたが、ブルームグラスはなかなか見つからない。
「……あれ?」
ふと、木の根元に紫がかった小さな葉を見つけた。
「これ、ブルームグラスですか?」
「そうそう、それよ」
「よかった……」
少しずつ、森の仕事にも慣れてきた気がする。
しかし――
「――ミアさん、何か聞こえませんか?」
遠くの茂みの中から、カサカサと何かが動く音がした。
ただの風かもしれない。でも、嫌な予感がする。
ミアさんも顔を上げ、警戒するように腰の短剣に手をかけた。
「……獣か魔獣か。どっちにしても、ちょっと様子を見ましょう」
音は次第に近づいてくる。
私はごくりと息を飲みながら、木の陰に身を隠した。
そして――
「……なんで、ここに?」
現れたのは、一匹の魔獣だった。
灰色の毛を持ち、鋭い牙を持つ狼。
王都周辺には滅多に現れないはずの”シルバーファング”だった。
ミアさんの掛け声で、私はギルドを出発した。
薬草の採取は、ギルドから少し離れた森で行う。王都のすぐ近くに広がるその森は、危険な魔獣こそ少ないものの、油断はできない場所らしい。
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「いえ、知識は多少ありますが、実際に採取したことはなくて……」
正直にそう答えると、ミアさんは「まあ、そうよね」と納得したように頷いた。
「貴族だったんでしょ? なら、こういう仕事は初めてよね」
「……はい」
やっぱり貴族出身だとすぐバレる。仕方ないことだけれど、少し複雑な気持ちになった。
「別に気にすることないわよ。ギルドにはいろんな人がいるし、貴族出身のやつもたまにいるしね」
「そうなんですか?」
「ええ。でも、ほとんどの貴族はここでやっていけなくて辞めるけど」
「……そうですか」
つまり、私もその”ほとんど”の一人になるか、それとも生き残るか。
(やるしかない)
そう思いながら、私は前を向いた。
***
森に入ると、辺りはひんやりとした空気に包まれていた。木々が生い茂り、日の光を遮っている。
「目的の薬草は《ブルームグラス》と《ミントリーフ》よ。どちらもこの辺に生えてるはず」
「はい」
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「……あれ?」
ふと、木の根元に紫がかった小さな葉を見つけた。
「これ、ブルームグラスですか?」
「そうそう、それよ」
「よかった……」
少しずつ、森の仕事にも慣れてきた気がする。
しかし――
「――ミアさん、何か聞こえませんか?」
遠くの茂みの中から、カサカサと何かが動く音がした。
ただの風かもしれない。でも、嫌な予感がする。
ミアさんも顔を上げ、警戒するように腰の短剣に手をかけた。
「……獣か魔獣か。どっちにしても、ちょっと様子を見ましょう」
音は次第に近づいてくる。
私はごくりと息を飲みながら、木の陰に身を隠した。
そして――
「……なんで、ここに?」
現れたのは、一匹の魔獣だった。
灰色の毛を持ち、鋭い牙を持つ狼。
王都周辺には滅多に現れないはずの”シルバーファング”だった。
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