14 / 54
元婚約者様、ご機嫌いかが?
十四話 往生際がわるいですね
しおりを挟む
「お前……本気で言っているのか?」
アレクシスは信じられないといった表情で私を見つめる。
「ええ、本気です。というか、そちらこそ何を考えているんです?」
私は呆れたようにため息をついた。
「婚約破棄された時、私は無能で価値がないと言われました。それなのに、今さら戻ってこい? そんな身勝手な話が通ると思っているんですか?」
「誤解だと言っただろう」
「そうですね。誤解だったのかもしれません。でも、それを証明するにはあまりにも遅すぎましたね」
私はまっすぐにアレクシスを見据える。
「私を見下して捨てたのはあなた。その選択に後悔しているのなら、それはあなた自身の問題です」
「お前、まだ怒って――」
「怒ってなんかいませんよ?」
私は微笑んで言った。
「むしろ感謝しているくらいです。おかげで今の自由な生活がありますから」
それが本音だった。
婚約者という立場に縛られ、貴族のしきたりに縛られ、生き方まで決められる――そんな人生から解放されたのだから。
「……お前、本気で王宮に戻る気はないのか?」
「ええ、何度聞かれても答えは変わりませんよ」
アレクシスは悔しそうに唇を噛んだ。
(往生際が悪いですね)
私がため息をつこうとした、その時。
「……なら、もういい」
アレクシスは椅子から立ち上がり、私を冷たい目で見下ろした。
「お前が戻らないというのなら、それはそれで構わない。ただし――」
彼は一瞬、躊躇うように口をつぐみ、それから低い声で告げた。
「王宮のことには、今後一切関わるな」
「……どういう意味です?」
「そのままの意味だ。貴族を捨てた以上、二度と王宮に足を踏み入れるなということだ」
「……なるほど」
それは、“お前をもう王宮の人間として扱わない”という宣告。
つまり、アレクシスは――
「私が貴族に戻る可能性があることを、少しは気にしていたんですね?」
「……そんなことはない」
「ふふ、そういうことにしておきます」
私は心の中で小さく笑った。
(そんなに気になるなら、最初から捨てなければよかったのに)
「では、私はもう行きますね。王宮とは、これで本当にお別れですから」
私はくるりと背を向け、扉へ向かう。
そして、一歩外へ出る前に、最後に振り返って言った。
「アレクシス様――どうか、素敵な王妃を見つけてくださいね」
そう告げて、私は王宮を後にした。
アレクシスは信じられないといった表情で私を見つめる。
「ええ、本気です。というか、そちらこそ何を考えているんです?」
私は呆れたようにため息をついた。
「婚約破棄された時、私は無能で価値がないと言われました。それなのに、今さら戻ってこい? そんな身勝手な話が通ると思っているんですか?」
「誤解だと言っただろう」
「そうですね。誤解だったのかもしれません。でも、それを証明するにはあまりにも遅すぎましたね」
私はまっすぐにアレクシスを見据える。
「私を見下して捨てたのはあなた。その選択に後悔しているのなら、それはあなた自身の問題です」
「お前、まだ怒って――」
「怒ってなんかいませんよ?」
私は微笑んで言った。
「むしろ感謝しているくらいです。おかげで今の自由な生活がありますから」
それが本音だった。
婚約者という立場に縛られ、貴族のしきたりに縛られ、生き方まで決められる――そんな人生から解放されたのだから。
「……お前、本気で王宮に戻る気はないのか?」
「ええ、何度聞かれても答えは変わりませんよ」
アレクシスは悔しそうに唇を噛んだ。
(往生際が悪いですね)
私がため息をつこうとした、その時。
「……なら、もういい」
アレクシスは椅子から立ち上がり、私を冷たい目で見下ろした。
「お前が戻らないというのなら、それはそれで構わない。ただし――」
彼は一瞬、躊躇うように口をつぐみ、それから低い声で告げた。
「王宮のことには、今後一切関わるな」
「……どういう意味です?」
「そのままの意味だ。貴族を捨てた以上、二度と王宮に足を踏み入れるなということだ」
「……なるほど」
それは、“お前をもう王宮の人間として扱わない”という宣告。
つまり、アレクシスは――
「私が貴族に戻る可能性があることを、少しは気にしていたんですね?」
「……そんなことはない」
「ふふ、そういうことにしておきます」
私は心の中で小さく笑った。
(そんなに気になるなら、最初から捨てなければよかったのに)
「では、私はもう行きますね。王宮とは、これで本当にお別れですから」
私はくるりと背を向け、扉へ向かう。
そして、一歩外へ出る前に、最後に振り返って言った。
「アレクシス様――どうか、素敵な王妃を見つけてくださいね」
そう告げて、私は王宮を後にした。
1,995
あなたにおすすめの小説
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
恩知らずの婚約破棄とその顛末
みっちぇる。
恋愛
シェリスは婚約者であったジェスに婚約解消を告げられる。
それも、婚約披露宴の前日に。
さらに婚約披露宴はパートナーを変えてそのまま開催予定だという!
家族の支えもあり、婚約披露宴に招待客として参加するシェリスだが……
好奇にさらされる彼女を助けた人は。
前後編+おまけ、執筆済みです。
【続編開始しました】
執筆しながらの更新ですので、のんびりお待ちいただけると嬉しいです。
矛盾が出たら修正するので、その時はお知らせいたします。
私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです
天宮有
恋愛
子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。
数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。
そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。
どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。
家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。
兄のお嫁さんに嫌がらせをされるので、全てを暴露しようと思います
きんもくせい
恋愛
リルベール侯爵家に嫁いできた子爵令嬢、ナタリーは、最初は純朴そうな少女だった。積極的に雑事をこなし、兄と仲睦まじく話す彼女は、徐々に家族に受け入れられ、気に入られていく。しかし、主人公のソフィアに対しては冷たく、嫌がらせばかりをしてくる。初めは些細なものだったが、それらのいじめは日々悪化していき、痺れを切らしたソフィアは、両家の食事会で……
実兄の嘘で悪女にされた気の毒な令嬢は、王子に捨てられました
恋せよ恋
恋愛
「お前が泣いて縋ったから、この婚約を結んでやったんだ」
婚約者である第一王子エイドリアンから放たれたのは、
身に覚えのない侮蔑の言葉だった。
10歳のあの日、彼が私に一目惚れして跪いたはずの婚約。
だが、兄ヘンリーは、隣国の魔性の王女フローレンスに毒され、
妹の私を「嘘つきの悪女」だと切り捨てた。
婚約者も、兄も、居場所も、すべてを奪われた私、ティファニー16歳。
学園中で嘲笑われ、絶望の淵に立たされた私の手を取ったのは、
フローレンス王女の影に隠れていた隣国の孤高な騎士チャールズだった。
「私は知っています。あなたが誰よりも気高く、美しいことを」
彼だけは、私の掌に刻まれた「真実の傷」を見てくれた。
捨てられた侯爵令嬢は、裏切った男たちをどん底へ叩き落とす!
痛快ラブ×復讐劇、ティファニーの逆襲が始まる!
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
お望み通り、別れて差し上げます!
珊瑚
恋愛
「幼なじみと子供が出来たから別れてくれ。」
本当の理解者は幼なじみだったのだと婚約者のリオルから突然婚約破棄を突きつけられたフェリア。彼は自分の家からの支援が無くなれば困るに違いないと思っているようだが……?
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
必要ないと言われたので、元の日常に戻ります
黒木 楓
恋愛
私エレナは、3年間城で新たな聖女として暮らすも、突如「聖女は必要ない」と言われてしまう。
前の聖女の人は必死にルドロス国に加護を与えていたようで、私は魔力があるから問題なく加護を与えていた。
その違いから、「もう加護がなくても大丈夫だ」と思われたようで、私を追い出したいらしい。
森の中にある家で暮らしていた私は元の日常に戻り、国の異変を確認しながら過ごすことにする。
数日後――私の忠告通り、加護を失ったルドロス国は凶暴なモンスターによる被害を受け始める。
そして「助けてくれ」と城に居た人が何度も頼みに来るけど、私は動く気がなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる