3 / 14
2話
しおりを挟む
「バンバリー公爵家令嬢デイジー。
反論がないという事は不敬罪を認めたという事だな。
王太子を殺しかねない攻撃をした罪は許し難い。
本来なら反逆罪で死刑にするところだが、バンバリー公爵家の忠勤に免じ、大砂漠への追放刑とする。
直ぐに引っ立てろ!」
「甘い!
甘すぎます、国王陛下!
この腐れ女は私を殺そうとしたのですよ。
それを追放刑など我慢できません。
納得できません!
死刑にしてください!」
素早く追い立てられるデイジーの刑に、王太子ライリーが父親の国王に激しく不服を申し立てるが、自分がやってきた悪行を全く反省していない。
国王もその事を一切咎めない。
咎めないどころか、悪逆非道な事を言った。
「ならば自分の手で復讐しろ。
王国の法は表向きの常識を守らなければならない。
お前はダムラス王国と戦争をさせたいのか?
怒り狂ったマックス国王と正面から戦う覚悟があるのか?
聖騎士ロディーと戦って勝つ自信があるのか?!」
「それは……」
自分よりも弱い相手には強気に出れるライリー王太子も、武王と呼び称えられる、歴戦のマックス国王の前に立つ勇気などなかった。
大陸中の教会をまとめる最高神殿から、武芸と魔力と高潔な精神を認められ、聖騎士認定されたロディーと戦う覚悟もなかった。
だが蛇のような執念で、デイジーを嬲り者にしようとしていた。
王もその事に気がついていて、自分の手で復讐するように煽ったのだ。
王には不安と恐怖があった。
デイジーがマックス国王の元に逃げ込む不安だ。
デイジーの母方の祖父であるマックス国王が、問答無用で攻め込んでくる恐怖だ。
ダムラス王国の正反対にあり、魔物の住処となっている大砂漠に追放したとはいえ、生き延びてマックス国王の元に逃げ込む可能性は皆無ではない。
自分がデイジーを死刑にすれば、マックス国王の恨みは自分に向く。
それが途轍もなく怖かった。
だから死刑にすることを回避した。
同時に生きてマックス国王の元に逃げられるのも恐ろしい。
ライリー王太子が殺してくれれば、マックス国王の憎しみはライリー王太子に向き、自分は安全な位置にいられると考えたのだ。
そう、ローリー国王は自分の息子を人身御供にしたのだ。
自分の身の安全をはかるために、自分の子供を見殺しにすることにしたのだ。
だったら、最初からライリー王太子の罪を明らかにすればいいのに、そこは王家の体面で、ライリー王太子が積み重ねた悪行を表にだすことができなかった。
ローリー国王の謀略を読み取る事のできない愚かなライリー王太子は、多くの取り巻きを引き連れてデイジーを追った。
反論がないという事は不敬罪を認めたという事だな。
王太子を殺しかねない攻撃をした罪は許し難い。
本来なら反逆罪で死刑にするところだが、バンバリー公爵家の忠勤に免じ、大砂漠への追放刑とする。
直ぐに引っ立てろ!」
「甘い!
甘すぎます、国王陛下!
この腐れ女は私を殺そうとしたのですよ。
それを追放刑など我慢できません。
納得できません!
死刑にしてください!」
素早く追い立てられるデイジーの刑に、王太子ライリーが父親の国王に激しく不服を申し立てるが、自分がやってきた悪行を全く反省していない。
国王もその事を一切咎めない。
咎めないどころか、悪逆非道な事を言った。
「ならば自分の手で復讐しろ。
王国の法は表向きの常識を守らなければならない。
お前はダムラス王国と戦争をさせたいのか?
怒り狂ったマックス国王と正面から戦う覚悟があるのか?
聖騎士ロディーと戦って勝つ自信があるのか?!」
「それは……」
自分よりも弱い相手には強気に出れるライリー王太子も、武王と呼び称えられる、歴戦のマックス国王の前に立つ勇気などなかった。
大陸中の教会をまとめる最高神殿から、武芸と魔力と高潔な精神を認められ、聖騎士認定されたロディーと戦う覚悟もなかった。
だが蛇のような執念で、デイジーを嬲り者にしようとしていた。
王もその事に気がついていて、自分の手で復讐するように煽ったのだ。
王には不安と恐怖があった。
デイジーがマックス国王の元に逃げ込む不安だ。
デイジーの母方の祖父であるマックス国王が、問答無用で攻め込んでくる恐怖だ。
ダムラス王国の正反対にあり、魔物の住処となっている大砂漠に追放したとはいえ、生き延びてマックス国王の元に逃げ込む可能性は皆無ではない。
自分がデイジーを死刑にすれば、マックス国王の恨みは自分に向く。
それが途轍もなく怖かった。
だから死刑にすることを回避した。
同時に生きてマックス国王の元に逃げられるのも恐ろしい。
ライリー王太子が殺してくれれば、マックス国王の憎しみはライリー王太子に向き、自分は安全な位置にいられると考えたのだ。
そう、ローリー国王は自分の息子を人身御供にしたのだ。
自分の身の安全をはかるために、自分の子供を見殺しにすることにしたのだ。
だったら、最初からライリー王太子の罪を明らかにすればいいのに、そこは王家の体面で、ライリー王太子が積み重ねた悪行を表にだすことができなかった。
ローリー国王の謀略を読み取る事のできない愚かなライリー王太子は、多くの取り巻きを引き連れてデイジーを追った。
416
あなたにおすすめの小説
自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?
長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。
王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、
「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」
あることないこと言われて、我慢の限界!
絶対にあなたなんかに王子様は渡さない!
これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー!
*旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。
*小説家になろうでも掲載しています。
妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。
もてあそんでくれたお礼に、貴方に最高の餞別を。婚約者さまと、どうかお幸せに。まぁ、幸せになれるものなら......ね?
当麻月菜
恋愛
次期当主になるべく、領地にて父親から仕事を学んでいた伯爵令息フレデリックは、ちょっとした出来心で領民の娘イルアに手を出した。
ただそれは、結婚するまでの繋ぎという、身体目的の軽い気持ちで。
対して領民の娘イルアは、本気だった。
もちろんイルアは、フレデリックとの間に身分差という越えられない壁があるのはわかっていた。そして、その時が来たら綺麗に幕を下ろそうと決めていた。
けれど、二人の関係の幕引きはあまりに酷いものだった。
誠意の欠片もないフレデリックの態度に、立ち直れないほど心に傷を受けたイルアは、彼に復讐することを誓った。
弄ばれた女が、捨てた男にとって最後で最高の女性でいられるための、本気の復讐劇。
偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら
影茸
恋愛
公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。
あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。
けれど、断罪したもの達は知らない。
彼女は偽物であれ、無力ではなく。
──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。
(書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です)
(少しだけタイトル変えました)
愛しい義兄が罠に嵌められ追放されたので、聖女は祈りを止めてついていくことにしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
グレイスは元々孤児だった。孤児院前に捨てられたことで、何とか命を繋ぎ止めることができたが、孤児院の責任者は、領主の補助金を着服していた。人数によって助成金が支払われるため、餓死はさせないが、ギリギリの食糧で、最低限の生活をしていた。だがそこに、正義感に溢れる領主の若様が視察にやってきた。孤児達は救われた。その時からグレイスは若様に恋焦がれていた。だが、幸か不幸か、グレイスには並外れた魔力があった。しかも魔窟を封印する事のできる聖なる魔力だった。グレイスは領主シーモア公爵家に養女に迎えられた。義妹として若様と一緒に暮らせるようになったが、絶対に結ばれることのない義兄妹の関係になってしまった。グレイスは密かに恋する義兄のために厳しい訓練に耐え、封印を護る聖女となった。義兄にためになると言われ、王太子との婚約も泣く泣く受けた。だが、その結果は、公明正大ゆえに疎まれた義兄の追放だった。ブチ切れた聖女グレイスは封印を放り出して義兄についていくことにした。
いつまでも甘くないから
朝山みどり
恋愛
エリザベスは王宮で働く文官だ。ある日侯爵位を持つ上司から甥を紹介される。
結婚を前提として紹介であることは明白だった。
しかし、指輪を注文しようと街を歩いている時に友人と出会った。お茶を一緒に誘う友人、自慢しちゃえと思い了承したエリザベス。
この日から彼の様子が変わった。真相に気づいたエリザベスは穏やかに微笑んで二人を祝福する。
目を輝かせて喜んだ二人だったが、エリザベスの次の言葉を聞いた時・・・
二人は正反対の反応をした。
戻る場所がなくなったようなので別人として生きます
しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。
子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。
しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。
そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。
見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。
でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。
リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる