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第三章ーパルヴァン辺境地ー
穏やかな日々
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*本日、2話目です*
視察が終わってから3ヶ月が経った。
ダルシニアン様の事やカルザイン様の事が気になっていたが、あれから何事もなく日々を過ごしている。
視察団は予定通り3日後には王都に戻り、こちらも予定通り、直ぐ様王太子様の婚約者選定に入ったらしい。
ミヤさんの事は、ちゃんと吹っ切れたのだろうか?気持ちが残っているなら…王太子様も、その婚約者に選ばれた人も可哀想だなと思う。でも、これがこの世界の普通なんだと言われたら…
「…私には無理だ…平民万歳…」
「また、おかしな事を考えているのか?」
「ティモスさん!?」
今日はリディさんと森に来ている。
「ティモス、どうしたの?森かハル様に何か用でも?」
「特に用はないんだが…ハル、お前、独り暮らしは諦めてなかったのか?」
「え?何?そんな事を訊く為だけにここに来たの!?」
ティモスさんの問い掛けに、リディさんが呆れた顔で言い放つ。
「そんな事…確かにそんな事だけど…。グレン様とシルヴィア様が俺を見る度に、ハルの独り暮らしを止めてくれと…頼まれるんだよ…何で俺に…。」
「あぁ…それね…。」
何故か、ティモスさんだけではなく、リディさんまでもが遠い目になった。
「えっと…私が独り暮らしをするのって…何か問題があったりするんですか?私が不審者で街で受け入れられない…とか…」
いつも、誰も何も言わないけど、私はこの領地の人達からしたら、急に現れた出自不詳の薬師だもんね…嫌われていたとしても不思議ではない。
「「それは絶体にない(です)!!」」
2人が息ピッタリに反応する。
「うぇっ!?そ…そうなんです…ね?それなら…良かったです…。」
じゃあ、何が問題なんだろうか…??
「はぁー…。ハル、取り敢えず…独り暮らしは諦めろ…」
「何でですか?私、結構蓄えありますよ?それに、この世界にも馴染んでると思うんですけど…そんなに私って…駄目人間なんですか?」
こんな私だけど、元の世界では独り暮らしをしていた。簡単な料理だってできるのに。
「ハル様、違うんです。もう、この際ハッキリ言いますね。グレン様が何故反対するのか…それは…」
「…それは??(ゴクリッ)」
「グレン様とシルヴィア様が、ハル様離れができないからです。」
「…ハル様離…は?」
ーえ?何それ?ちょっと意味が分からないー
「グレン様もシルヴィア様も、ハルの事、本当の娘の様に思ってるって事だよ。それに、このパルヴァンって、特殊な場所だから、老若男女関わらず、皆…もれなく強いんだ。本当に。大袈裟じゃなくて。で、そこでのハルだ…。お前はある意味、狼の群の中の兎…いや、リス状態な訳だ。意味、解るか?」
「…狼の群…リス…」
ーいや…私、実は魔法使いなんです。攻撃魔法は使えないけど。おそらく、防御魔法では、誰にも負けない自信がありますー
と、心の中で言っておく。
「勘違いするなよ?パルヴァンに居て、パルヴァンの民がハルに手を出すことは無い。手なんか出したら……。」
最後の方は声が小さ過ぎて聞こえなかったけど、何やらティモスさんとリディさんが怖いくらいの笑顔になったので、聞いてない、見てないフリをする事にします!私、空気が読める子なんです!21歳です!
「ーあれ?」
「ハル様、どうかされましたか?」
「あーいえ…ちょっと今…今更ながらと言うか…あ、独り暮らし云々の話じゃないので…すみません。」
「それで?独り暮らしは…どうしてもしたいのか?」
ティモスさんが、少し困った顔をしながら訊いて来る。
「私が居て…迷惑ではないんでしょうか?娘の様に思ってくれているのだったら、本当に嬉しい限りなんですが…。私だって、パルヴァン様やシルヴィア様の事が大好きなんです。でも、私が居る事で、皆に迷惑が掛かったらと思うと…。」
「そんな理由で独り暮らしがしたかったのか?そんな理由ならするな!お前が迷惑になる筈ないだろう。はーぁ…」
「それだけじゃなくて、私1人でも、しっかり地に足をつけて生きていきたいからって。」
「それは、独り暮らしをしなくてもできますわ。実際、ハル様はもう、薬師として立派に独り立ちされてますから。ふふっ…これで、グレン様もシルヴィア様も安心しますわ。」
ティモスさんが盛大な溜め息を吐き、リディさんがホッとした様に微笑む。
ー本当に、飛ばされたのがパルヴァンで良かったー
ここに居て良いんだと言ってくれるなら、ずっとここに居たいと思う。そう思える程、私はパルヴァン辺境地が…大好きだ。
ーお姉さん達、元気にしてますか?私は一緒に還れなかったけど…この世界で優しい人達に囲まれて、お姉さん達と縁のある森の近くで元気にやっています。だから…私の事で気に病んだり…しないで下さいねー
それから、独り暮らしは諦めましたとパルヴァン様とシルヴィア様に伝えると、凄く喜んでもらえて…何故か宴会まで開かれた…。
そんな風に穏やかに過ぎる日々ー
その何気ない穏やかな幸せの日々に、それから3ヶ月後、私の知らない所で物語が動き出したー。
視察が終わってから3ヶ月が経った。
ダルシニアン様の事やカルザイン様の事が気になっていたが、あれから何事もなく日々を過ごしている。
視察団は予定通り3日後には王都に戻り、こちらも予定通り、直ぐ様王太子様の婚約者選定に入ったらしい。
ミヤさんの事は、ちゃんと吹っ切れたのだろうか?気持ちが残っているなら…王太子様も、その婚約者に選ばれた人も可哀想だなと思う。でも、これがこの世界の普通なんだと言われたら…
「…私には無理だ…平民万歳…」
「また、おかしな事を考えているのか?」
「ティモスさん!?」
今日はリディさんと森に来ている。
「ティモス、どうしたの?森かハル様に何か用でも?」
「特に用はないんだが…ハル、お前、独り暮らしは諦めてなかったのか?」
「え?何?そんな事を訊く為だけにここに来たの!?」
ティモスさんの問い掛けに、リディさんが呆れた顔で言い放つ。
「そんな事…確かにそんな事だけど…。グレン様とシルヴィア様が俺を見る度に、ハルの独り暮らしを止めてくれと…頼まれるんだよ…何で俺に…。」
「あぁ…それね…。」
何故か、ティモスさんだけではなく、リディさんまでもが遠い目になった。
「えっと…私が独り暮らしをするのって…何か問題があったりするんですか?私が不審者で街で受け入れられない…とか…」
いつも、誰も何も言わないけど、私はこの領地の人達からしたら、急に現れた出自不詳の薬師だもんね…嫌われていたとしても不思議ではない。
「「それは絶体にない(です)!!」」
2人が息ピッタリに反応する。
「うぇっ!?そ…そうなんです…ね?それなら…良かったです…。」
じゃあ、何が問題なんだろうか…??
「はぁー…。ハル、取り敢えず…独り暮らしは諦めろ…」
「何でですか?私、結構蓄えありますよ?それに、この世界にも馴染んでると思うんですけど…そんなに私って…駄目人間なんですか?」
こんな私だけど、元の世界では独り暮らしをしていた。簡単な料理だってできるのに。
「ハル様、違うんです。もう、この際ハッキリ言いますね。グレン様が何故反対するのか…それは…」
「…それは??(ゴクリッ)」
「グレン様とシルヴィア様が、ハル様離れができないからです。」
「…ハル様離…は?」
ーえ?何それ?ちょっと意味が分からないー
「グレン様もシルヴィア様も、ハルの事、本当の娘の様に思ってるって事だよ。それに、このパルヴァンって、特殊な場所だから、老若男女関わらず、皆…もれなく強いんだ。本当に。大袈裟じゃなくて。で、そこでのハルだ…。お前はある意味、狼の群の中の兎…いや、リス状態な訳だ。意味、解るか?」
「…狼の群…リス…」
ーいや…私、実は魔法使いなんです。攻撃魔法は使えないけど。おそらく、防御魔法では、誰にも負けない自信がありますー
と、心の中で言っておく。
「勘違いするなよ?パルヴァンに居て、パルヴァンの民がハルに手を出すことは無い。手なんか出したら……。」
最後の方は声が小さ過ぎて聞こえなかったけど、何やらティモスさんとリディさんが怖いくらいの笑顔になったので、聞いてない、見てないフリをする事にします!私、空気が読める子なんです!21歳です!
「ーあれ?」
「ハル様、どうかされましたか?」
「あーいえ…ちょっと今…今更ながらと言うか…あ、独り暮らし云々の話じゃないので…すみません。」
「それで?独り暮らしは…どうしてもしたいのか?」
ティモスさんが、少し困った顔をしながら訊いて来る。
「私が居て…迷惑ではないんでしょうか?娘の様に思ってくれているのだったら、本当に嬉しい限りなんですが…。私だって、パルヴァン様やシルヴィア様の事が大好きなんです。でも、私が居る事で、皆に迷惑が掛かったらと思うと…。」
「そんな理由で独り暮らしがしたかったのか?そんな理由ならするな!お前が迷惑になる筈ないだろう。はーぁ…」
「それだけじゃなくて、私1人でも、しっかり地に足をつけて生きていきたいからって。」
「それは、独り暮らしをしなくてもできますわ。実際、ハル様はもう、薬師として立派に独り立ちされてますから。ふふっ…これで、グレン様もシルヴィア様も安心しますわ。」
ティモスさんが盛大な溜め息を吐き、リディさんがホッとした様に微笑む。
ー本当に、飛ばされたのがパルヴァンで良かったー
ここに居て良いんだと言ってくれるなら、ずっとここに居たいと思う。そう思える程、私はパルヴァン辺境地が…大好きだ。
ーお姉さん達、元気にしてますか?私は一緒に還れなかったけど…この世界で優しい人達に囲まれて、お姉さん達と縁のある森の近くで元気にやっています。だから…私の事で気に病んだり…しないで下さいねー
それから、独り暮らしは諦めましたとパルヴァン様とシルヴィア様に伝えると、凄く喜んでもらえて…何故か宴会まで開かれた…。
そんな風に穏やかに過ぎる日々ー
その何気ない穏やかな幸せの日々に、それから3ヶ月後、私の知らない所で物語が動き出したー。
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