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第三章ーパルヴァン辺境地ー
動き出す
「そう言えば…視察が終わってから半年経ちましたけど、王太子様の婚約者は決まったんですか?」
王太子様は、確か今年で25か26歳だったっけ?この世界では、幼い頃から婚約者が決まっていたり、18~20歳位で結婚する事が多いそうだ。それは、特に貴族社会ではの話で、私達平民は普通に恋愛してから結婚。だいたい20歳から25歳位に結婚をする人が多いそうだ。
「まだ決まってないそうですよ。一応、公爵令嬢と侯爵令嬢のお二人が候補に上がっているそうですが…。まだ発表はありませんね。王女のベラトリス様はいらっしゃいますけどね。」
「えっ!?ベラトリス様って、婚約者が居るの!?」
ーえーっ!?私、知らなかったよ!ー
「いらっしゃいますよ。あの宰相様…ハンフォルト公爵様のご子息のイリス様です。幼馴染でもあったようで、ベラトリス王女のデビュタントの時には、イリス様がエスコートされたそうですよ。」
「…デ…デビュ…??」
舌を噛みそうな言葉だよね…
「成人を迎える人の事をデビュタントと言います。そのデビュタントを祝う夜会が1年に1度あるんですが、その時にエスコートをする相手が、基本的には親族か婚約者なんです。イリス様とベラトリス様は、その時はまだ婚約はしてらっしゃらなかったんですけど…何と言いますか…イリス様は、外堀を埋めたかったんでしょうね。それで、1年程前…ですかね。無事に婚約発表がありました。」
お姉さん達が還った後か…あぁ、聖女様達が誰も選ばず還ったから、婚約できたって事かな?
「ベラトリス様が結婚するところは…見てみたいかも…。」
「ハル様は、ベラトリス様とは面識があるんですか?」
「王城に居た頃、ベラトリス様にはよくしてもらってたんです。私の方が年上なのに、妹みたいに可愛がってもらいました。ふふっ。」
懐かしいなぁ。元気にしているだろうか?王都に行くのは嫌だけど、ベラトリス様と…サエラさんには…会いたいなぁ…。
懐かしい人を思い出しながら、暫くの間、ルナさんとリディさんとベラトリス様の話をした。
「ハル様、今、お時間よろしいでしょうか?」
もう少しで夕食だと言う時間に、ゼンさんが私の部屋にやって来た。
「はい、大丈夫ですけど?何か、ありましたか?」
ゼンさんが来たと言う事は、パルヴァン様の遣いと言う事だ。
「グレン様が、夕食の前に話があるとの事で、執務室に来て欲しいと。言っております。」
「分かりました。今すぐに行きます。」
「ありがとうございます。では、参りましょう。」
そう言って、私とルナさんはゼンさんの後を付いて、パルヴァン様の執務室へと向かった。
「グレン様、ハル様をお連れ致しました。」
「あぁ、入ってくれ。」
ゼンさんがドアを開け、入るように促され入室すると、そこにはシルヴィア様とレオン様とティモスさんが居た。
ー?何か…あった?ー
「ハル殿、そこの椅子に座って…この手紙を読んでくれ。」
ゼンさんがその手紙を受け取り、そのまま私に渡してくれた。そして、シルヴィア様とレオン様が座っている椅子の向かい側にある椅子に座り、手紙を読み始めた。
「──えっ?」
読んでいる途中で、思わず声が出た。手紙を持つ手が…震える。
「その手紙は、一昨日魔術を使った急ぎ案件で届けられた。」
通常、手紙などは王都からだと3日から5日程掛かるが、魔術を使うと1日で届く。その場合、送り主と送り先に魔術を使える者がいなければできない。勿論、ここではパルヴァン様も魔術が使える。
「…これは…本当の事…なんですか?」
「あぁ…本当の事らしい。一昨日、その手紙を受け取り、私からも確認の為に手紙を飛ばした。そして、これが先程届いた。」
そう言って、パルヴァン様がもつ一通の手紙を差し出した。
『容姿は、ミヤ様、ショウ様、フジ様、ハル殿と同じ。黒色の髪に黒色の瞳。肌の色も同じ。』
『こちらの言葉は理解しているようだ。以前の聖女様達と同様に、あまり不安がった様子は無く、自分の置かれた境遇を受け入れている様子だ。』
『パルヴァンの森に、穢れが出始めているのか?』
「確認したが、森はまだ穢れは出ていない。それで…だ。私はパルヴァン辺境地を離れるわけにはいかないから、代わりにレオンが王都…王城に行く事になった。ハル殿は…どうしたい?」
パルヴァン様が、優しく私に訊いて来る。
ー発動させていないのに…召喚の魔法陣が発動したー
異様な程の魔力が王城全体を覆ったらしい。魔導師達が急ぎ王城敷地内にある神殿へ向かうと…召喚の間に…1人の女性が気を失った状態で横たわっていた。
こちら側が魔術を発動させた痕跡は一切無し。なのに、魔法陣が展開された痕跡は有った。故に、この女性は、どこからか…異世界から来たと言う事になる。その女性を確認すると─
私達と同じ様な容姿をしていたそうだ。
ーまだ…“乙女ゲーム”が続いているんですか?それとも……ー
王太子様は、確か今年で25か26歳だったっけ?この世界では、幼い頃から婚約者が決まっていたり、18~20歳位で結婚する事が多いそうだ。それは、特に貴族社会ではの話で、私達平民は普通に恋愛してから結婚。だいたい20歳から25歳位に結婚をする人が多いそうだ。
「まだ決まってないそうですよ。一応、公爵令嬢と侯爵令嬢のお二人が候補に上がっているそうですが…。まだ発表はありませんね。王女のベラトリス様はいらっしゃいますけどね。」
「えっ!?ベラトリス様って、婚約者が居るの!?」
ーえーっ!?私、知らなかったよ!ー
「いらっしゃいますよ。あの宰相様…ハンフォルト公爵様のご子息のイリス様です。幼馴染でもあったようで、ベラトリス王女のデビュタントの時には、イリス様がエスコートされたそうですよ。」
「…デ…デビュ…??」
舌を噛みそうな言葉だよね…
「成人を迎える人の事をデビュタントと言います。そのデビュタントを祝う夜会が1年に1度あるんですが、その時にエスコートをする相手が、基本的には親族か婚約者なんです。イリス様とベラトリス様は、その時はまだ婚約はしてらっしゃらなかったんですけど…何と言いますか…イリス様は、外堀を埋めたかったんでしょうね。それで、1年程前…ですかね。無事に婚約発表がありました。」
お姉さん達が還った後か…あぁ、聖女様達が誰も選ばず還ったから、婚約できたって事かな?
「ベラトリス様が結婚するところは…見てみたいかも…。」
「ハル様は、ベラトリス様とは面識があるんですか?」
「王城に居た頃、ベラトリス様にはよくしてもらってたんです。私の方が年上なのに、妹みたいに可愛がってもらいました。ふふっ。」
懐かしいなぁ。元気にしているだろうか?王都に行くのは嫌だけど、ベラトリス様と…サエラさんには…会いたいなぁ…。
懐かしい人を思い出しながら、暫くの間、ルナさんとリディさんとベラトリス様の話をした。
「ハル様、今、お時間よろしいでしょうか?」
もう少しで夕食だと言う時間に、ゼンさんが私の部屋にやって来た。
「はい、大丈夫ですけど?何か、ありましたか?」
ゼンさんが来たと言う事は、パルヴァン様の遣いと言う事だ。
「グレン様が、夕食の前に話があるとの事で、執務室に来て欲しいと。言っております。」
「分かりました。今すぐに行きます。」
「ありがとうございます。では、参りましょう。」
そう言って、私とルナさんはゼンさんの後を付いて、パルヴァン様の執務室へと向かった。
「グレン様、ハル様をお連れ致しました。」
「あぁ、入ってくれ。」
ゼンさんがドアを開け、入るように促され入室すると、そこにはシルヴィア様とレオン様とティモスさんが居た。
ー?何か…あった?ー
「ハル殿、そこの椅子に座って…この手紙を読んでくれ。」
ゼンさんがその手紙を受け取り、そのまま私に渡してくれた。そして、シルヴィア様とレオン様が座っている椅子の向かい側にある椅子に座り、手紙を読み始めた。
「──えっ?」
読んでいる途中で、思わず声が出た。手紙を持つ手が…震える。
「その手紙は、一昨日魔術を使った急ぎ案件で届けられた。」
通常、手紙などは王都からだと3日から5日程掛かるが、魔術を使うと1日で届く。その場合、送り主と送り先に魔術を使える者がいなければできない。勿論、ここではパルヴァン様も魔術が使える。
「…これは…本当の事…なんですか?」
「あぁ…本当の事らしい。一昨日、その手紙を受け取り、私からも確認の為に手紙を飛ばした。そして、これが先程届いた。」
そう言って、パルヴァン様がもつ一通の手紙を差し出した。
『容姿は、ミヤ様、ショウ様、フジ様、ハル殿と同じ。黒色の髪に黒色の瞳。肌の色も同じ。』
『こちらの言葉は理解しているようだ。以前の聖女様達と同様に、あまり不安がった様子は無く、自分の置かれた境遇を受け入れている様子だ。』
『パルヴァンの森に、穢れが出始めているのか?』
「確認したが、森はまだ穢れは出ていない。それで…だ。私はパルヴァン辺境地を離れるわけにはいかないから、代わりにレオンが王都…王城に行く事になった。ハル殿は…どうしたい?」
パルヴァン様が、優しく私に訊いて来る。
ー発動させていないのに…召喚の魔法陣が発動したー
異様な程の魔力が王城全体を覆ったらしい。魔導師達が急ぎ王城敷地内にある神殿へ向かうと…召喚の間に…1人の女性が気を失った状態で横たわっていた。
こちら側が魔術を発動させた痕跡は一切無し。なのに、魔法陣が展開された痕跡は有った。故に、この女性は、どこからか…異世界から来たと言う事になる。その女性を確認すると─
私達と同じ様な容姿をしていたそうだ。
ーまだ…“乙女ゲーム”が続いているんですか?それとも……ー
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