巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん

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第四章ー王都ー

喜び

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「えっ─!?」

と一言発した後、レオン様は固まった。




『ルディも一緒に来てもらっても良いかしら?』

とお願いされたので、カテリーナ様と一緒にレオン様の居る部屋にやって来て、カテリーナ様が妊娠している事を告げると…レオン様が固まったのだ。

「「……」」

嬉しくない筈がないのは分かってるんだけど…驚き過ぎなんだろうけど…早く何かリアクションしてくれないかなぁ??

「…リーナ!!!」

と、泣きそうな顔をしながらカテリーナ様に勢いのままに抱き付こうとするーって

「わー、レオン様、少し落ち着いて下さい!ギュッとし過ぎるのはどうかと思われます!!」

と、レオン様の急な行動に私もビックリして、変な敬語?でレオン様にストップを掛ける。

「あー!あぁ!そうだな!うん。分かった!そうか!うん…うん!リーナ…」

そう言うと、目に涙を溜めて優しく微笑みながら、そっとカテリーナ様を抱き締めた。

「…レオン…喜んでくれる?」

「勿論だよ!リーナ…これ以上に、嬉しい事はないよ?」

ーうん。私の役目は無事に終ったようなので、この辺りで退散しようー

「今日はこれからゆっくり休んで下さい。念の為、明日もう一度魔導師か医師に診てもらって下さい。それでは、私はこれで失礼しますね。」

「ハル殿、ありがとう。」

と、今度は嬉しそうに笑うレオン様が居た。




私がレオン様に伝えに行っている間に、ルナさんにロンさんに報告をしに行ってもらった。そして、ロンさんも魔術が使えるようで、パルヴァン様に魔術で手紙を飛ばしたそうだ。明日には、パルヴァン様とシルヴィア様にも伝わるだろう。2人の喜ぶ姿が目に浮かんで思わず笑みがこぼれた。








*****


「これで、ルディが堂々と夜会に参加できる理由ができた。」

「堂々と??」

カテリーナ様の妊娠が判ってから2日後─夜会迄後2日─
レオン様に呼ばれて応接室に来ていた私にそう告げる。

「魔導師も医師も、リーナが夜会に参加するのは大丈夫だと。それでだ、何かあってはいけないから、その夜会に誰かを付けようと言う話になったんだ。勿論、この事に関しては王城にお伺いをたてて許可をもらった。」

「まさか…」

「そう、そのだよ。ハル殿には、“薬師のルディ”としてリーナに付き添ってもらう。」


ーいや…何と言うか…できれば堂々とは参加したくないんだけどー

ちょっと顔が引き攣ってしまっている自覚がある。

「ふっ…ルディは、本当に夜会とか、そう言うきらびやかな所が嫌いなんだね。」

「う゛ー……すみません…」

レオン様に和やかに笑われる。

「会場にずっと居ろって訳じゃないんだ。王城内に控え室を用意してもらったから、聖女様御披露目の時だけ、リーナを私の所に連れて来てもらって、聖女様の挨拶が終わったら、すぐに控え室に下がってもらって良いから。」

「成る程。そう言う事でしたら大丈夫です。」

それだったら、皆の意識も聖女様に向いてるだろうから、私の存在が誰かの目に留まる事はないだろう。聖女様の事も、しっかり見る事ができるし。

「なら良かった。それじゃあ、明後日の詳しい流れはロンから聞いてくれ。」

「はい、分かりました。では、これで失礼します。」

私は応接室を出て、そのままロンさんの所へと足を向けた。










*****


「フェンリルが?」

「あぁ。何故かここ数日、落ち着きが無い。暴れたりする事は無いが、何となくソワソワしている感じだな。」


ここは王城敷地内にある、魔導師が公務を行う場所であり、召喚の間がある神殿。そこで、父であり上司でもある魔導師長の執務室で、クレイルが補佐の仕事をしている時に、フェンリルの様子を見に行っていた父が、執務室に戻って来てから、そう言い出した。

「…いつも殺気を飛ばされてた筈だけど…今日はそれもなかったんですか?」

「あぁ、それもなかった。と言うか、私の事はどうでも良いといった感じだったな。無関心以下の様な…。」

本当に、あのフェンリルは相変わらずよく分からないままだ。
ただ、ランバルトがフェンリルの様子を確認する時に、左耳のピアスの有無を確認してみると、やっぱり、ピアスをしている時は無関心で、していない時はランバルトを伺うと言う事が判った。
それ以外の事は、まだ何も判っていない。
このピアスの魔石に込められた魔力が誰の物で、どんな効果があるのかも判っていないままだ。


ー調べる時間がなかったからー



視察が終わり、王都に帰って来てから…本当に大変だった。視察の報告書を上げ、魔石に込められ魔力を調べようと思った矢先に、王城全体が凄まじい魔力に覆われたのだ。それでも、その魔力にすらフェンリルは反応しなかった。それには正直ホッとした。

しかし─

その凄まじい魔力の元である召喚の間に行った時は…本当に驚いた。あの聖女様達と同じような容姿の女性が横たわっていたのだ。
そっと近付き、顔に掛かった黒い髪を上げる。当たり前だが…彼女ではなかった。落胆する自分に笑ってしまった。

兎に角、何故我々が発動させていない召喚の魔法陣が展開され、異世界からまた聖女様が召喚されたのか…。暫くの間ははお預けだな…と、溜め息を吐いた。







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