66 / 203
第四章ー王都ー
夜会①
ー夜会当日ー
夜会がある日の貴族女性とは…とっても大変なんですね。
今回は、カテリーナ様の妊娠が判ったので、いつもよりは大分軽くで済んでいるらしいけど、夜会は文字通り夜にあるのに、朝からその準備が始まるそうだ。この世界の貴族じゃなくて良かったと、心底思う。
とは言え、王族主催の夜会の為、カテリーナ様も昼食をとった後、夜会への準備が始まった。
「何で私も???」
ただの薬師でただの付き添いなのに、私も夜会の準備をしましょう─と、ルナさんとリディさんに問答無用で拉致られた。流石、侍女兼護衛役である。力では全く敵わなかった…。もう、ルナさんとリディさんにされるがままの私でした。
カテリーナ様の今夜のドレスは、胸の下でリボンで留めて、そこから下はフワッとなっている緩やかなドレス。いつもはマーメイドラインのドレスなのだそうだが、あまり締め付けるのは良くないと言う事で、急遽王都のお店で新しくドレスを購入したらしい。
ー色々と凄過ぎるー
そして、勿論ドレスの色は…赤。レオン様の独占欲丸出しです。
私は…と言うか、魔導師や薬師は、基本パンツスタイルが多い為、私も普段は上はブラウスで、下はパンツスタイルだ。そして、今日もそのパンツスタイルで良いらしい。いつもより小綺麗?な感じだけど。ただ、上に羽織るローブにはフードが無い。流石に王族主催の夜会でフードを被るのは…良くないよね…。まぁ、兎に角、薬師としての付き添いなので、ドレスアップは不要だと言う事だ。本当に良かった!!
そして、カテリーナ様の体調は問題無いとしても、普段よりは余裕を持ってと言う事で、少し早目の時間に出発する事にした。
「ルディも中に入ったら良いのに。」
只今、馬車に乗っています。ただ、馬車の中ではなく、御者の横に座っています。
「ティモスさんなら、中に入れますか?」
「…愚問だな…。」
「でしょ!?」
馬車の中には、レオン様とカテリーナ様が居る。そう、嫁大好きレオン様とカテリーナ様。その2人の世界に、誰が割り込めると言うのか…私には無理だった。丁度、御者がティモスさんだと言う事で、ティモスさんの横に座らせてもらっているのだ。
今日のティモスさんは、レオン様の護衛兼御者。まぁ、武に長けているレオン様に護衛は必要無いらしいけど…。
「ティモスさんも、レオン様と一緒に会場入りするんですか?」
「あぁ。一応、今日の夜会は俺もレオン様と参加する。それで、聖女様の挨拶が始まる前に、俺が迎えに行く予定だから、それまで控え室で待っていてくれ。」
「あ、呼びに来てくれるのは、ティモスさんだったんですね。分かりました。宜しくお願いしますね。」
ティモスさんと話しているうちに、どんどん見慣れた景色が目に入って来るようになった。
ー懐かしい…なー
目を細め、流れて行く景色を眺める。自然と私の口数が減っていく。
「ルディ…大丈夫か?」
ハッとして、ティモスさんの方に向くと、心配そうに私を窺い見るティモスさんと目が合った。
「大丈夫ですよ。懐かしいなって、思ってただけですから。」
これ以上心配を掛けないようにと、ニッコリ笑って返事をした。
「それじゃあ、ルディ殿、リーナの事、宜しく頼むよ。リーナは、無理はしない事。何があってもおとなしくしているようにね。リーナとこの子に何かあったら…私もどうなるか分からないからね?」
レオン様は、カテリーナ様と私を控え室まで案内すると、カテリーナ様にしっかり釘を刺してから、ティモスさんと夜会の会場である、大広間へと向かって行った。
「ふふっ…カテリーナ様って、本当にレオン様に愛されてますよね…。」
「人前で恥ずかしい!本当に未だに慣れないのよ!?」
と、顔を真っ赤にしてプリッと怒ってる?カテリーナ様は、可愛いだけである。
「ルディは…王城に来るのは…嫌ではなかった?その…レオンが我が儘を言ったのではない?」
カテリーナ様も、私がここでどんな扱いをされたのか知っているんだろう。
「確かに…王城には来たくなかったですけど、別にレオン様に我が儘を言われた訳ではないですよ?私が聖女様を…一目見たかったからですし。それに、嫌な事もあったけど、それ以上に良い事も…王城ではありましたから。それ程苦痛ではないんです。」
と、ニッコリ笑うとカテリーナ様も安心したように、優しく微笑んでくれた。
「パルヴァンの息子夫婦が来てる?」
「あぁ。流石に現当主のグレン辺境伯は来なかったが…。」
「ははっ。丁度良い!聖女様をと思ったが…あの女でも…いいかも知れないな。」
そう言いながら、その男はニヤリと嗤う。
夜会の会場である大広間。その大広間の壁際で、2人の男がボソボソと話し込んでいる。周りにはきらびやかに着飾った貴族達が、今日の夜会を楽しんでいた。優雅に音楽も流れていたので、その2人の男達の会話は、その騒めきにかき消され誰の耳にも入らなかった。
あなたにおすすめの小説
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
いつも隣にいる
はなおくら
恋愛
心の感情を出すのが苦手なリチアには、婚約者がいた。婚約者には幼馴染がおり常にリチアの婚約者の後を追う幼馴染の姿を見ても羨ましいとは思えなかった。しかし次第に婚約者の気持ちを聞くうちに変わる自分がいたのだった。
【完結】ねぇ、それ、誰の話?
春風由実
恋愛
子爵家の三男であるアシェル・イーガンは幼い頃から美しい子どもとして有名だった。
その美貌により周囲の大人たちからは、誰からも愛されて育つ幸福な子どもとして見られてきたが、その実態は真逆。
美しいが故に父親に利用され。
美しいが故に母親から厭われて。
美しいが故に二人の兄から虐げられた。
誰も知らない苦悩を抱えるアシェルは、家族への期待をやめて、早く家を出たいと望んでいたが。
それが叶う日は、突然にやって来た。
ウォーラー侯爵とその令嬢ソフィアが、アシェルを迎えに現れたのだ。
それは家に居場所のないアシェルの、ちょっとした思い付きから始まった行いが結んだ縁だった。
こうして王都を離れ侯爵領でのびのびと健やかに成長していったアシェルは、自分が美しいことも忘れていたくらいだったから、自身の美貌の余韻が王都の社交界にて壮大な物語を創生していたことに気付けなかった。
仕方なく嫌々ながら戻ってきた王都にて、大事な人を傷付けられて。
アシェルは物語を終わらせるとともに、すっかり忘れ去っていた家族たちとも向き合うことにした。
そして王都に新しい物語が創生する。それは真実に則った愛の物語──。
※2026.1.19 おかげさまで本編完結いたしました。ありがとうございます♡
異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。
バナナマヨネーズ
恋愛
香澄静弥は、幼馴染で従姉妹の千歌子に嵌められて、異世界召喚されてすぐに魔の森に捨てられてしまった。しかし、静弥は森に捨てられたことを逆に人生をやり直すチャンスだと考え直した。誰も自分を知らない場所で気ままに生きると決めた静弥は、異世界召喚の際に与えられた力をフル活用して異世界生活を楽しみだした。そんなある日のことだ、魔の森に来訪者がやってきた。それから、静弥の異世界ライフはちょっとだけ騒がしくて、楽しいものへと変わっていくのだった。
全123話
※小説家になろう様にも掲載しています。
婚約破棄されたトリノは、継母や姉たちや使用人からもいじめられているので、前世の記憶を思い出し、家から脱走して旅にでる!
山田 バルス
恋愛
この屋敷は、わたしの居場所じゃない。
薄明かりの差し込む天窓の下、トリノは古びた石床に敷かれた毛布の中で、静かに目を覚ました。肌寒さに身をすくめながら、昨日と変わらぬ粗末な日常が始まる。
かつては伯爵家の令嬢として、それなりに贅沢に暮らしていたはずだった。だけど、実の母が亡くなり、父が再婚してから、すべてが変わった。
「おい、灰かぶり。いつまで寝てんのよ、あんたは召使いのつもり?」
「ごめんなさい、すぐに……」
「ふーん、また寝癖ついてる。魔獣みたいな髪。鏡って知ってる?」
「……すみません」
トリノはペコリと頭を下げる。反論なんて、とうにあきらめた。
この世界は、魔法と剣が支配する王国《エルデラン》の北方領。名門リドグレイ伯爵家の屋敷には、魔道具や召使い、そして“偽りの家族”がそろっている。
彼女――トリノ・リドグレイは、この家の“戸籍上は三女”。けれど実態は、召使い以下の扱いだった。
「キッチン、昨日の灰がそのままだったわよ? ご主人様の食事を用意する手も、まるで泥人形ね」
「今朝の朝食、あなたの分はなし。ねえ、ミレイア? “灰かぶり令嬢”には、灰でも食べさせればいいのよ」
「賛成♪ ちょうど暖炉の掃除があるし、役立ててあげる」
三人がくすくすと笑うなか、トリノはただ小さくうなずいた。
夜。屋敷が静まり、誰もいない納戸で、トリノはひとり、こっそり木箱を開いた。中には小さな布包み。亡き母の形見――古びた銀のペンダントが眠っていた。
それだけが、彼女の“世界でただ一つの宝物”。
「……お母さま。わたし、がんばってるよ。ちゃんと、ひとりでも……」
声が震える。けれど、涙は流さなかった。
屋敷の誰にも必要とされない“灰かぶり令嬢”。
だけど、彼女の心だけは、まだ折れていない。
いつか、この冷たい塔を抜け出して、空の広い場所へ行くんだ。
そう、小さく、けれど確かに誓った。
魔法のせいだから許して?
ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。
どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。
──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。
しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり……
魔法のせいなら許せる?
基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。
さよなら、私の初恋の人
キムラましゅろう
恋愛
さよなら私のかわいい王子さま。
破天荒で常識外れで魔術バカの、私の優しくて愛しい王子さま。
出会いは10歳。
世話係に任命されたのも10歳。
それから5年間、リリシャは問題行動の多い末っ子王子ハロルドの世話を焼き続けてきた。
そんなリリシャにハロルドも信頼を寄せていて。
だけどいつまでも子供のままではいられない。
ハロルドの婚約者選定の話が上がり出し、リリシャは引き際を悟る。
いつもながらの完全ご都合主義。
作中「GGL」というBL要素のある本に触れる箇所があります。
直接的な描写はありませんが、地雷の方はご自衛をお願いいたします。
※関連作品『懐妊したポンコツ妻は夫から自立したい』
誤字脱字の宝庫です。温かい目でお読み頂けますと幸いです。
小説家になろうさんでも時差投稿します。
公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。