【完結】どうぞお気遣いなく。婚約破棄はこちらから致しますので。婚約者の従姉妹がポンコツすぎて泣けてきます

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3.卒業パーティー当日

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 ギルバートの卒業パーティー当日、フープでスカートを大きく膨らませた“ローブ・ア・ラ・フランセーズ” スタイルのドレスで参加した。
 このドレスは後ろの襟から裾まで続くプリーツの美しさが有名なの。

 ヴィラーゴ・スリーブと呼ばれる肘から先がゴッテゴテのゴージャスな袖と、美しい装飾と宝石をたっぷり使ったストマッカーも着けてきたし。


 全体の色は淡い金茶色で素材はシルク。金糸の刺繍を裾に施し、そこかしこにはレースが飾られている。

 光が当たると金糸と胸元の宝石がキラッキラと輝いて、周りの人達が『ほうっ』 って溜息をついた。


 これ、最近流行り始めたばかりのスタイルで、作れるデザイナーさんもお針子さんもまだ少ないのよね。


 で、今日は栄えある断罪&婚約破棄の日でしょ? 今日位は地味モードはお預けしよっかなって。


 これでもか! と言うほど、上品・優雅・ゴージャスを極めてみたんだけど、周りの反応は中々いい感じ。


「エミリア様、素敵なドレスですわ」
「どちらでも仕立てられましたの?」
「ずっとお休みされてたので、心配しておりましたのよ」

「ギルバート様からの贈り物ですの?」

「?」

 最後の一つは聞き捨てならん。

「このドレスはお父様が作ってくださいましたの。ギルバート様からは何も贈られてませんわ」

「まあ、婚約者に何も贈らないなんて!」
「最低ですわ」
「今日もエスコートなさらなかったのね」


 私が地味に謙虚にしてた理由の一つがこれ。

 サンドラが私をせっせと悪者に仕立ててくれるから、普通にしてたら周りから虐められそうじゃん。
 大人しい気配り上手さんに徹してたから、私は友達と楽しく過ごしてたの。

 サンドラはその分大変そうだったけどね。


(予想通りならそろそろなんだけど・・)



「エミリア! エミリア・フィッツロイ前に出てきたまえ」

(きた~、うわっめっちゃ楽しみ)


 ワクワクを扇で隠しながら、壇上のギルバート&サンドラの前に出た。


「今日はご卒業おめでとうございます。
このような晴れの席で如何なさいましたか?」


 サンドラは濃淡のついたピンクだらけのドレスで、フリフリが一杯ついている。

(下品なドレスもテンプレなのかしら?)


 サンドラはギルバートの腕にペッタリと張り付いて、うるうると目を潤ませている。

(お子ちゃまか? いや、これもゲームにありがちなやつよね)


「エミリア・フィッツロイ、私はここに君の卑劣な行為を公にする。

君はこのサンドラ・ピーターソンに長い間イジメを働いていたが、先日はとうとう階段から突き落とし怪我をさせた。

私の寵愛がサンドラに向いたことに対する嫉妬だろうが、君のやった事は犯罪行為だ!

よってここに婚約破棄を申し渡し、私はサンドラ・ピーターソンを新しい婚約者とする」


「ギルバート、やめろ! やめるんだ!」

 国王陛下の横でふんぞり帰っていたアンダーソン公爵が慌てて立ち上がり、真っ青になって叫んだ。

「エミリア、今のは聞かなかったことにしてくれ。この通りだ」

 来賓席で必死に頭を下げるアンダーソン公爵と夫人を見たギルバートは、
「父上、エミリアのような卑劣な輩に頭を下げるなど公爵家の恥です。
僕・・私は次期公爵としてエミリアを断罪いたします」

「黙れ! ギルバー「公爵、子息の話を聞こうではないか?」」

「へっ陛下」

「ギルバート、話を続けなさい」

「はっ、陛下のご英断感謝いたします。

エミリア、ここで全ての罪を認め謝罪するならば、サンドラはお前を許しても良いと言っている。
サンドラの優しさに免じて、私もお前を許してやろうと思う。
素直に罪を認めサンドラに土下座しろ」


「身に覚えのないことに謝罪するつもりはございません」


「なんと恥知らずな! この期に及んでしらばっくれるとは」

「私がサンドラを虐めたと言う証拠はございますの?」

「お前はサンドラの教科書や私物を壊した。サンドラはお前がやったのを見ていたんだ」

「自己申告では証言能力がありませんわ」

「酷い、私が嘘をついていると?」

 サンドラがポロポロと涙を零し、ギルバートの腕に縋りついた。

「愛しいサンドラ、泣かなくていい。私が知っているし、周りのみんなも君の味方だから」


「あのー、私サンドラさんが自分の教科書を破ってるの見ましたけど?」

「私は、サンドラさんが焼却炉にノートを放り込むとこ見ました」

「階段から自分で落ちてましたし、エミリア様は階段下におられましたよ」


(サンドラ、思った以上のポンコツだったわ。目撃者がいっぱい出てきちゃった)
(準備してたの出さなくって済んじゃう?)


「それにエミリア様は人をいじめる様な方じゃありませんわ」

「きっ君達はエミリアに騙されているんだ! サンドラが自分でやるわけがないだろう?」


「エミリア様を悪者に仕立て上げるためとか?」
「結構酷い噂を流そうとしてらっしゃいましたし」
「ギルバート様狙いだってみんな知ってましたよ」


「サンドラにはそんなことをする理由がない! 私の心は既にサンドラの物なのだから」




「皆さん、ありがとうございます。
私の無実を証明する為に、今から証拠を提出させていただきます」

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