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第2章
サリーはイヴァンカ国で言う精霊の愛し子であり、聖女でした
しおりを挟むそう、間違いなく一週間かけて私たちはイヴァンカ国に渡り旅行中のはず。それなのに目の前にいて、訪問の連絡もせずに執務室に来た私たちを不審に思っても仕方がない。
「父上、いえ、陛下。緊急です。兄にもできれば話しを聞いていただきたい」
フレッドのその言葉で明らかに部屋の空気はピリッと締まった。
「わかった。とにかく座って話そう」
陛下の言葉にフレッドだけでなくショーン様と私、キュミーも座ることを許可され、ソファーに腰をかける。
宰相が声をかけた王宮付きメイドがお茶を各々の前に置き、少し待つとジョージ様が扉を開けて入ってきた。
フレッドと私の姿を見て驚くも、部屋の空気を感じ取り何も言わずに陛下の隣に腰をおろした。
それを確認したフレッドが口を開く。
「陛下、兄上、サリーはイヴァンカ国で言う精霊の愛し子であり、聖女でした」
フレッドのその言葉にお茶に口をつけたところだった陛下が「ゴフッ」とお茶を吹き、むせてしまっている。
絶対に陛下がお茶に口をつけた瞬間を狙った。
こんな空気を漂わせているのに、少し楽しんでいるフレッドはちょっと性格が悪いと思うわ……
でもいつもはあまり顔色も変えず、本音が見えない陛下のこの様子を少し面白いと思ってしまうのはやはり私も性格が悪いんでしょうね。
そして驚きに目を見開いている陛下とジョージ様を前に、今日あったことを淡々と話し始めた。
私が精霊の愛し子であったこと、ナシェルカ領の蜘蛛が精霊だったこと、精霊の愛し子が聖女と呼ばれていること、聖女と婚約したものが王位継承権を受け継げるということ、王家が愛し子を、精霊をないがしろにしたことを。
そして最後にキュミーを紹介した。
「こちらが精霊のキュミーです」
その言葉に、やっと落ち着いて。いえ、険しい顔で考えるようになっていた二人がまた驚きに目を見張ることになった。
「は?さっき精霊は蜘蛛だと言わなかったか?」
そんな陛下の呟きにまたキュミーがぱっと姿を変え、机の上を歩き、陛下の元へ近づいていく。
しかしさすがと言うべきか面白くな…いや冷静と言うべきか。ショーン様のように騒ぎ立てる事はなかった。
「ほう…これはすごい……」
その様子を見たキュミーはお気に召さなかったのかさっと座っていた椅子の方へ戻り、また姿を変えた。
そして「これだから王族は嫌なのよ面白くない」と小さな声でそうつぶやいた。私は思わずその言葉に苦笑いを浮かべてしまう。
王族に対してなんて不敬な。でもこれは精霊のキュミーが言ったことだから不敬には当たらないのだろう。
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