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第2章
サリーは僕の妻です
しおりを挟む陛下は座ったままたたずまいを直し、キュミーに向かって挨拶をする。
「精霊キュミー殿、お初にお目にかかります。私はカリシャール国王ライアン・ナルニエと申す。どうぞお見知りおきを」
「いやよ、私王族って嫌いなの」
そう言ってキュミーはふんっと横を向いた。
心の中ではその対応に「ひぇ~」と思ってしまうも、イヴァンカ国での話を聞くとそれも仕方ないと思ってしまう。
でもフレッドから簡単にであれ、イヴァンカ国の王族の対応を聞いていた陛下は「まあ、それは仕方ないな。だが、我が国が暮らしやすかったら是非こちらで暮らしてほしい。住みにくいことがあれば教えてくれ。できる限り善処しよう」と優しそうな微笑みでキュミーにそう言っていた。
それを見たキュミーは「ふんっ!そんなこというんだったら存分に言ってやるんだから」と言っていた。でもその顔はまんざらでもないようで、少しだけ私も嬉しくなってしまった。
「してフレッド、どうするつもりだ?あそこの王はいつもどうにか他国に押し入って領土を広げられないか画策しているようなやつだぞ。あそこの第1王子はまだ理性的と聞くが実際はどうかわからん。それにそれ以外の王子たちは独裁主義な奴ばかりだ。そんなやつらにサリーの存在など知られれば」
「分かっています。しかし明日は私たちの歓迎会と銘打ったパーティー。そんな場に行かなければそれこそ何を言われるかわからない。
それならば堂々と参加し、サリーを守ります。サリーを誰であれ奪われるなんてありえない!サリーは僕の妻です」
私は一瞬フレッドの言った言葉が理解できなかった。でもフレットの言った言葉が何度も何度も頭の中で反芻され、顔に頭に急激に熱を持った感覚になる。恥ずかしい。
陛下たちの前でこんなことをいうだなんて。
でもそれと共に、心の中に温かい優しさがあふれてくる。
私が1人フレッドの言葉に顔を熱くしていると周りからクスクスと笑い声が聞こえてくる。またその声も私の羞恥心を激しくくすぐる
「ハハハッ。
婚約をするだけでも必死に理由を取り繕っていたフレットが、こんなに堂々とこんなことが言えるようになるなんてさすがサリーの力と言うべきか!もしやこれも聖女の力なのかな」
「ほんとにサリーが真っ赤で幸せそう。サリーが幸せなのが1番嬉しいわ」
私はちらっとサリーと陛下と見つめる。きっと恨めしそうな顔になってしまっていることは許してほしい。
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