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第5章 少年期〜青年期 学園4学年編
41話 “大会最終日13・歴史的瞬間“ とある第三者 視点
しおりを挟むとある第三者 視点
今、急速に広がって行っている、光の球に言い知れぬ不安を感じつつも、あの方が放つ神々しい気配に身動きが取れずにいる状況だ。
(何が起ころうとしているんだ!?獣人達に真実と警告を伝えるために降りて来られたと行っていたが、真実とは例のあの事だろうが、警告とは!?)
焦りながら自分の最大に考えうる予測をしているうちに、あのお方が創っていた光の球の膨張が止まり、光の球の輝きが一際強くなったその時、
(ば、爆発でもするのか?)
そう怖々思いながら、見ていると、光の球の中から四つの光の球が飛び出し、舞台上に舞い降りた。
そして、
一つは、艶のある真っ白な鱗に所々金色の蔦模様が入った太く長い体に、知的で思慮深い眼差しを持ったキラキラと輝く金の瞳の“大白蛇“に、
一つは、雄々しく凛々しい印象を持つ深緑色の瞳に、トルコ石の様な薄い青緑色した立派な鬣を持っていて、短いが手触りが良さそうな真っ白な毛並みの体の“白獅子“に
一つは、優美かつ巨大な体に美しく青白い長い毛並みを持ち、透き通るような青い瞳が凛とした印象の“巨狼“に、
一つは、炎が燃え上がるような豪奢な模様が入った尾羽を持ち、誰もが見惚れる赤から橙色にかけて色が変わる美しい大きな羽を広げ、優しさに溢れる真っ赤な瞳を持った“大鳥“に
それぞれ、四つの光の球は変化した・・・
この時、光の球から変化し、姿を現した存在に、誰もが息を飲むほど驚き、特にその姿を見た獣人達は咄嗟に恐多さで地面に頭をつける程、頭を下げた、それもそのはず、今、顕現したのは彼らが“神獣“と言って、各国の獣人達が崇め敬って来た“聖獣“達だったからだ。
(伝承で語り継がられている、“聖獣“の特徴そのものだ!その人生で一度、見れるかどうかの“聖獣様“が、今目の前にいるなんて!!奇跡だ!!)
白く大きな体に金の模様がある“大白蛇“は、“人間達の間で病気が蔓延した時に薬学と医療を伝えるため“に生まれたとされる“アスクレピオス“。
特徴的な青緑色をした立髪を持つ“白獅子“は、“はるか昔に迫害されていた獣人達を救い、不毛なる大地に恵みを与え守護するため“に生まれたとされる“スノーレオン“。
美しい蒼白い毛並みを持つ“巨狼“は“聖域“にも繋がるスフェール山脈の頂上を守るため“に生まれたとされる“フェンリル“。
燃え盛る炎を体現したような“大鳥“は、“自然豊かなトパシオ大陸の環境を守るため“に生まれたとされる“フェニックス“。
と、リトス教に伝わる伝承に語り継がられている程有名な“聖獣“達が今目の前にいる事は奇跡としか言いようがなかった。
だが、そんな世界を見守る崇高な役目をしている“聖獣“達の今の表情は固く険しいもので、その険しい表情を向けている先は、今もなお頭を地面につけながら祈りを捧げている獣人達であった・・・
?『そこに平伏している者達よ、面を上げろ・・・』
あたりが静まり返る中、突如として重厚で低い男性の声が闘技場内に響き渡った。その声に反応した獣人達は恐る恐る、声の主であろう“聖獣・スノーレオン“や他の“聖獣“達を見上げた。その時の獣人達の表情は敬愛や陶酔に満ちた表情で“聖獣“達を見ていが、その眼差しを向けられている“聖獣“達の表情は全く喜ばしいものではなかった。
この時、闘技場に残ったわずかな観客達がこの光景を見ていて思ったことは、自分達が見たかぎり、“聖獣“達と獣人達のお互いに向けられている、想いや言いたいことが食い違っている事が、一目でわかるぐらい、“聖獣“達が怒りや不快感を露わにしているのに、獣人達がその“聖獣“達の機嫌の悪さに全く気づいた様子がないこの異様さに周囲に困惑が広がっていた。
(何かおかしいな、“聖獣“達は彼らに険しい視線を向け、あのお方は“真実と警告“を告げにきたと言っていた。なのに、あの獣人達は今もなお、目の前に現れた自分達の信仰の対象にあんな嫌悪の感情を向けられていても、盲目的に熱のこもった視線を送るなんて・・・、普通、あんな表情で見られたら、自分が何かやらかしたと思うものなんだが・・・)
こう考察している間にも、“聖獣“達は今にも目線の先にいる獣人達に向けて怒りを爆発させそうな表情をしていた。
スノーレオン『・・・お前達、今、我らが何故ここに来ているか理解しているのか?』
教師・獅子獣人「えっ??・・・な、なぜと、・・・わ、我々にお伝えになりたい事が、お有りだと・・・?」
獣人達が全然、今の状況を理解できていないことに気づいた“聖獣“達、その事で“聖獣“達の間で無言のやり取りが数秒あり、代表として先程と同じ声の主である“スノーレオン“が再び言葉を発した。スノーレオンは獣人達に何故ここに自分達が来ているか理解しているのかと問いかけたが、獣人達は最初質問の意味を理解できていなかったみたいだが、数秒考えてやっと返した答えはなんとも認識が怪しい答えであった・・・
スノーレオン『・・・そうだ、我らは、今この場で、お前達が立ち上げ、信仰する宗教とはなんの関わりがないと言う事を表明する!』
今、この瞬間、この世界の歴史に新たなる歴史的瞬間が刻まれた、それは、“「これまでの獣人達の主張を聖獣達が完全否定した日」“として後世に語り継がられる・・・
獣人達「「「「「なっ!!??」」」」」 「な、何故ですか!!今まで我らを導き、見守ってくださっていたはずです!何故そんな急に!!??」 「そうです!我らをお見捨てになられるのですか!?」 「貴方様が居られなかったら、我らはどうしたらいいのです!?」 「嘘だと言ってください!!」 「私達には貴方様達が必要なのです!!」 「どうか、これまで通り、我らをお守りください!!」 「どうなさったのですか!?も、もしかして、人族の神が貴方様に何か言いがかりをつけて来たのでしょうか!?」 「そ、そうです!!あのような人族の神のいうことなど聞かなくていいのですよ!?」
“聖獣“達の急な意思表明に獣人達は困惑し、追い縋るように口々に“聖獣“達を引き留め、発言の撤回を求める。
?『何を言っているのです?元々私達はあなた方を見守っていた訳ではありません。私はその土地の守護を命じられて、元々そこで過ごしていただけで、あなた方が後からそこにやって来て、国を創っただけに過ぎません。それを勝手に私達を神と崇め、“主神様“と私達を対立させるような言動は、正直、不快です』
獣人達「「「「「えっ!!!?」」」」」
次に声を上げた“聖獣・フェニックス“の衝撃の一言で、獣人達はさらに困惑、他にもフェニックスに同意する様に“聖獣・フェンリル“が無言で頷き、“聖獣・スノーレオン“が腹立たしげにこう言った。
スノーレオン『我は任務地に向かう最中に出会った者達をついでに救っただけに過ぎぬ、それ以降は我の後を勝手について来よった者達がいたのは知っていたが、我の任務の邪魔をせぬと判断し、放っておいただけだ。にも関わらず、このような大それた事をしでかすとは、・・・』
最後に“聖獣・アスクレピオス“が悲しげにこう発言、
アスクレピオス『私は“主神様“の指示で、人間達に薬の作り方を伝え歩き、再び新たな難病が発現した時、未然に防ぐために、様々な病の特効薬を作りつつ、貴重な薬草が自生している土地を守って来た、私が守護する土地に人が踏み入れようとも、節度を持って薬草を採取するだけならばと、見逃してきたが・・・、私を“神“として祭り上げていようとは、なんとも、恐れ多いことを・・・・』
(やはり、“聖獣“達としては、あの“お方“は自分達より上位の存在で、逆らうべきものではないという事か・・・)
“聖獣“それぞれにやるべき使命があり、獣人達との関わりは本当にごく最小限だった事と、“聖獣“達が望んで祭り上げられようとは微塵も思っていなかったことが今の発言からわかる、むしろ、祭り挙げられる事自体が不本意で不快に思っている様な印象さえ受けた・・・
「まぁ、確かに、リトス教の伝承では“獣人達を迫害から救った“と記載されていると聞いた事はあるけど、“教え導き、見守っている“とは聞いた事はないなぁ」
「だよなぁ、って事はやっぱりリトス教に残されている伝承の方が正しかったってことか??」
「そういう事になるんじゃねぇか?・・・多分・・・」
「・・・なぁ、お前は“ショウスデット“出身だろ?そこんところ、どう伝わってるんだ??」
闘技場のとある場所ではあの“お方“や“聖獣“達から放たれる威圧が薄れて来たからか、人族同士が今の話を話題に盛り上がっていると、不意に人族の1人が近くにいた知り合いの獣人の男性に話題を振った。
「む、どうも何も、俺がいた村では年に何回かあるその土地の祭りや、国をあげての祭典なんかで、“神獣様“を敬うように言われたりはしてたが、正直、その“神獣様“を信仰してるってより、形だけって感じだな。それに、“神獣様“から恩寵を受けてる感じもなかったし・・・あ、一応、“聖獣様“として、敬ってはいるからな?それに、俺みたいに国から出て他国で暮らしている奴らや、他国と取引が多い商人なんかは他所では“神獣様“を敬ってるのは少数派だって知っているからな、表面上は国のお偉いさん達に話を合わせちゃいるが、心底敬っているかと言ったらそれはねぇだろうなぁ・・・」
「へぇ、祭りの間だけねぇ、リトス教みたいに常にお祈りができる教会や聖堂見たいのがないのか、・・・じゃあ意外と国民の大半はそんな感じなのか?国のお偉いさん達だけの信仰?って感じか?・・・この際だから聞くが、自分達が“聖獣様“の子孫って話はどうなんだ?信じているのか?」
「いや、それはねぇな。考えてみろよ?俺達、その祖先って言われている“聖獣様“達を、今日、今ここで初めて見たんだぞ?“神々の使者“って言われて、使命を持つ“聖獣様“達は、世界全体のために常に忙しくて、その姿を見たやつなんてここ数十年いないってぐらい雲の上の尊いお方達だ、こんな全然身近じゃない存在を馴れ馴れしくご先祖様なんて言えるか?それによ、“聖獣様“が俺ら獣人のご先祖って話、その話の原理で行くなら、獣人の全ての種族にご先祖となる“聖獣様“がいるはずだよな?でも、俺みたいな兎の獣人のご先祖様となる“聖獣様“はいないんだよ、じゃあ、俺達、兎獣人はどこの誰から生まれたんだ?って事が起きるだろ?だから、数年前のリトス教の発表を聞いて、やっぱりそうだよなって、知り合いの獣人達と話したぐらいだぜ?」
「あー・・・確かに、兎だけじゃなくて、結構な数の種族の“聖獣様“がいないよな、・・・そう考えると、“聖獣様達“と同じ種族の王侯貴族にかなり都合がいい話だな・・・」
闘技場から逃げそびれていた観客の中にほんの数人だがいた獣人達に、他の種族の人達がこれまで疑問に思っていたことを次々、質問している様子が見られ、その彼らの話を聞く限り、これまで他種族が獣人族達に持っていた印象とは全く違った答えが返って来ていたようで、その今まで獣人達に対しての印象のほとんどが、ごく一部の王侯貴族の都合のいい様に操作された情報でできたものだった事が、この時、たくさんの人達に発覚したのだった。
そして今回、この騒動を起こした者達の大半が、確かに獣人族の中では身分が高いもの達であり、“聖獣を神獣“として崇める王侯貴族の中でもかなり過激派として有名な一派だったということだ、何より彼らは自分達の容姿がそれぞれが敬う“聖獣達“と似通っていたことから、周囲も彼らを持ち上げ特別視してきた、そんな環境で育った彼らは自身が“聖獣達“の子孫だと強く信じ込んでいたのだが・・・
フェニックス『それと、以前にも発表されていましたが、私達はあなた方の先祖ではありませんよ。私達は“主神様“より直接お創り頂き使命を与えられた存在、あなた方の様にこの世界で偶発的に生まれた存在とは、存在の定義そのものが異なります。なので、人と私達“聖獣“の間に子はできません』
獣人達「「「「「っ!!???」」」」」 「そ、そんな、う、うそだ・・・」 「私はこんなに“神獣様“に似ているのに・・・」 「「「「「・・・・っ・・・・」」」」」
フェニックスが互いの関係を完全否定したことで打ちひしがれている獣人達のところに、最後のトドメとして“「聖獣が先祖説」“の事も完全否定。
そこで自分達が崇めて、先祖だとして信じてきた“聖獣“達に直接否定されたことで、獣人達は絶望に叩き落とされたかのように両手を地面につけ俯くものや、頭を抱え現実逃避するもの達が続出、そんな彼らに追い打ちをかけるようにあの“お方“が再び口を開いた・・・
あのお方「『・・・これで“聖獣“達により全ての事実が詳らかとなった。これより、私達から獣人達だけではなく全ての者達に向け警告をする』」
「「「「「!!!!」」」」」
と、獣人達だけではなく、ここにいる全ての人間達に向けての発言にこの場にいる全ての人達に緊張が走った・・・・・
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