僕がそばにいる理由

腐男子ミルク

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第19話

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雨がしとしとと降り続ける森の中、俺は倒れている祐貴先輩の側で警戒を続けていた。さっきまでの静寂が嘘のように、今は全身が警報を鳴らしているかのような感覚だった。

「歩夢…くん」

先輩が微かに呟く。


「大丈夫です、先輩。俺がいますから」
祐貴先輩を背中に庇いながら、俺は周囲を見渡した。

そのとき、ぬかるんだ地面を踏みしめる足音が近づいてきた。そして、木々の間から現れたのは光だった。

「歩夢か。邪魔をするなと言っただろう。」

光の手には鋭いナイフが握られている。その目は狂気に満ちていて、まるで俺を獲物のように見ていた。

「先輩に近づくな。」 

俺は低く声を出しながら、拳を握りしめた。心臓は速く鼓動を打っているが、引くつもりはない。

「近づくな?お前が何を言おうと関係ないんだよ。」

光が口元を歪ませ、不気味な笑みを浮かべる。そして、いきなり前傾姿勢になり、俺に向かって突進してきた。
俺は瞬時に反応し、身を低くしてそのナイフの一撃をかわす。だが、光はすぐさま体をひねり、ナイフを横薙ぎに振り回してくる。

「クソ…!」

紙一重で後退するが、ナイフの切っ先が俺のシャツを裂き、肌を掠めた。雨で濡れたシャツが引き裂かれる音が響き、冷たい刃の感触が一瞬だけ腕に走る。

「そんなもんか?祐貴を守るんだろう?」
光が嘲笑する。俺は無視して冷静を保とうとするが、あまりに動きが速い。

「いい加減消えろ!」
光が再びナイフを構えた瞬間、俺は足元の泥を蹴り上げ、彼の視界を奪った。その隙に光の懐へ潜り込み、全力で彼の腹部に拳を叩き込む。

「ぐっ…!」
光が苦痛の声を上げ、後ずさる。だが、ナイフを手放さないまま、再び俺に向かって突っ込んできた。

俺は咄嗟に足を踏み込んで彼の手首を掴み、ナイフを握る力を奪おうと力を込める。しかし、光もまた全力で抵抗し、二人の体がもつれ合う。

「邪魔をするな!祐貴は俺のものだ!」
「違う!先輩はあんたのものじゃない!」

雨で滑る地面に足を取られながらも、俺は全力で光の腕を押さえつける。そして、体重をかけてナイフを地面に叩きつけ、彼の手から奪い取った。

「もう終わりだ!」
俺が叫ぶと同時に、光は素早く背後に回り込もうとする。しかし俺は振り返りざまに肘を突き出し、彼の胸を打ちつけた。その衝撃で光は泥の中に崩れ落ちる。

「祐貴を傷つけるな…!」
俺は息を荒げながら光を睨みつける。しかし彼は不気味な笑みを浮かべたまま、ゆっくりと立ち上がる。

「面白いな、歩夢。でも俺は諦めない。また来るさ…祐貴を取り戻すために。」

光はそう言い残し、森の奥へと姿を消していった。

俺はその場に座り込む。体中が痛み、疲労が押し寄せてくる。それでも、祐貴先輩の無事を確かめるためにすぐさま彼の元へ駆け寄った。

「先輩、大丈夫ですか?」

祐貴先輩は朦朧とした意識の中、微かに頷いた。

「安心してください。俺が必ず先輩を守りますから…」

そう誓いながら、俺は彼を抱き上げ、雨の降り続く森を抜けて歩き出した。

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