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番外編
子供世代の話 スペードのQJr.&ダイヤのQJr.
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お久しぶりです。
子供達の話を更新しました。
ミイ(14):ライガ(スペードのK)と、メイ(スペードのQ)の娘。
魔法使いに憧れている女の子。O型。
ルイス(13):ロイス(ハートのK)と、ベアトリクス(ダイヤのQ)の息子。
ミイに片想い中の王太子。努力家。AB型。
レイス(8):ロイス(ハートのK)と、ベアトリクス(ダイヤのQ)の息子。
ルイスの弟。母に似て、剣術が得意。B型。
現在、書籍化に伴って消した部分を、別人物視点で更新し直していますので、
更新があったのに話数が進んでいない場合は、過去分を上げています。
度々更新していて、申し訳ないですm(_ _)m
********************************************
※~ミイ視点~
春真っ盛りの王宮に、銀色の髪が舞う。
私は、母親似の迫力に欠ける目を、精一杯鋭く吊り上げ、目の前のピンク髪の女性——カミーユを睨みつけた。
目の前に立つ、白いローブを着た彼女は、母の友人だ。三十歳くらいだというのに、私とあまり年齢が離れていないように見える。
魔法棟で若返りの魔法を悪用している説が出ているが、おそらくソレなのだろう。
様々な魔法を、惜しげもなく使ったり生み出したりしているカミーユは、もはや、ガーネット国内の生ける伝説と化しつつある。
「もうっ、カミーユったら! 仕事を言い訳にして、ぜんぜん私に構ってくれないんだから!」
私に詰め寄られたカミーユは、困ったように眉尻を下げた。そんな顔をしたって、絆されないんだからね!
以前から、彼女は時折、私に新作魔法を教えてくれている。
けれど、現国王の護衛であるカミーユのスケジュールには、中々空きがないのだ。仕事後は、彼女の夫であるアシルが妻を独占している状態だし……
城の家庭教師が教えてくれる魔法は、どれも安全で簡単なものばかりで面白みがない。お父様も、私を魔法使いにはしたくないみたいだ……
私は、魔法棟で働きたいのに——
「ごめんってば、ミイ様。私は、今からロイス様の護衛が……」
彼女の護衛対象である国王は、従兄であるお父様と春の祭典に向けての打ち合わせをしている。
昔、この王宮が腐敗していた頃は、こんな催し物はなかったのだけれど、数年かけて国の状態は改善されていき、国民の祭りも増えたそうだ。
「カミーユ、夜は? 夜なら空いている?」
「ああ、えーと、夜はその。アシルと約束が……っていうか、魔法ならライガ様の護衛に教えて貰ってくださいよ」
「エリクにも、忙しいって言われたの」
お父様の護衛の魔法使い——エリクは、カミーユの義弟で、彼女と同い年の温厚そうな美男子だ。けれど、怒らせるととても怖い。
彼も、仕事後は奥さんと出かけるそうなのだ。
「んー……じゃ、今日は諦めて後日ということで。それじゃあ、失礼します。ミイ様」
「カミーユのケチ! この間、城の噴水を魔法塗料まみれにしたことを、マリーユにチクってやるんだからぁ!」
私は、捨て台詞を吐いて、青い顔のカミーユの横を走り抜けた。
カミーユの弱点は、彼女の夫と娘なのだ。
「大体……お父様もお母様も、カミーユもエリクも、過保護すぎるのよ!」
身分故なのか、私は、周囲が危ないと判断したことは一切させてもらえない。
だから、密かに心の中で焦っていた。十四歳で、これはマズいと。
「このままでは、私は、一生成長出来ないまま大人になってしまうわ」
十四歳になった私には、既に、様々なところからの縁談の話が来ていた。
人生は一度きり。知りもしないどこかの誰かとの結婚が決まる前に、やれることは全てやっておきたい。
結婚すればきっと、今以上に自由がなくなるのだから……
「そうだわ。フラウにお願いして、学園長に来てもらえば……!」
私は、少し年上の友人と、その保護者の顔を思い浮かべた。
※
「あはは! それで、結局そちらにも断られたのかい。可哀想に、僕が慰めてあげるよ」
鬱陶しい……
私は、目の前でケラケラと笑う金髪男の頭を鷲掴みにする。
「痛い痛い……! 僕が禿げたら、責任とって結婚してもらうからね! あ、禿げなくても勿論、結婚してもらうつもりだけれど」
「……煩い」
「君って、たまにライガ様っぽくなるね。さすが親子だ」
この軽薄男は、ルイス。現国王の長男だ。
昔から、なにかと私に纏わり付いて結婚を迫ってくる。
初めは、そのことに戸惑ったが、十年近くもそれが続いている今は、もう慣れた。彼のこれらの言葉は、全て挨拶のようなものなのだ。
「ところでさ、ミイは魔法を極めてどうしたいの?」
「どうしたいって……カミーユみたいになりたいわ」
「本気で!? あれは、ちょっと、やめた方が良いと思うけど……昨日も、魔法棟実験室から大量のヒヨコが発生して、大クレームになっていたよ?」
「あら、良いじゃない。お父様がこっそり一匹だけ匿っていたわ。ああ見えて、可愛い生き物に弱いみたいね」
「ライガ様がヒヨコを可愛がるなんて、ちょっと想像がつかないな……それにしても、ミイは魔法棟に入って、カミーユみたいになって、結局何がしたいわけ?」
「それは……」
私は、言葉に詰まった。
今の自分は、漠然と魔法に憧れている。
けれど、したいことと言われると、明確に答えることができない。
——全てが中途半端なのだ……
本当は、カミーユみたいに楽しく魔法に向き合いたい。けれど、トランスバール公爵家の一人娘という今の私の地位が、それを邪魔する。
私には、彼女のような恵まれた才能もない。
冷静に考えると、私は、魔法が好きで好きでたまらない訳ではなく、魔法使いという職業に憧れているだけなのだ。
今の自分ではない何かになりたい。突き詰めれば、最後はそこに辿り着くのかもしれない……
子供みたいな我が儘だ。
ただ、決められたレールに沿って誰かと結婚するだけの人生が嫌だなんて——
思わず俯いた私に、目の前の男が、落ち着いた声音で話し掛けてきた。
「焦ることはないと思うよ。君はとても努力家だから、きっと何にでもなれる。頭も良いしね?」
「ルイス……」
「例えば、君が最近魔法棟に提案した『魔法医療』だけど、僕はとても良いと思う。この国では、医療分野と魔法分野は別個の物として扱われているからね。高度な魔法を使える医師や、優れた医療知識を持つ魔法使いがいれば、今まで治せなかった病気や怪我の治療が出来るようになるかもしれない」
ルイスの言葉に、ぐるぐると悩んでいた心が軽くなる。
——意外だった……
彼が、真剣に私の相談に乗ってくれるなんて。
「……ありがとう、ルイス。ちょっとだけ、元気が出たわ」
「良かった。君の立場では、カミーユのように好き勝手に動き回るのは難しいけど……でも、今の君でも出来ることはきっとあるよ。周りの人間にも、ミイの本気が伝わる時が来る」
私は、ルイスの言葉に大きく頷いた。
「頑張るわ。魔法を通して皆の役に立てるように」
今は全く相手にしてくれない周囲を、きっと巻き込んで見せる。
カミーユもエリクも、私を甘く見たことを後悔させてやるんだから!
決意を新たにした私を、ルイスが、穏やかなオレンジの瞳でじっと見つめていた。
※~ルイス視点~
ミイと話をした数日後——
仕事や勉強の合間を縫って中庭のベンチで休憩していると、五歳年下の弟、レイスが僕の元へとやって来た。
弟は、身軽な動きでこちらへ駆け寄ると、素早く隣に腰掛ける。彼は、母に似て運動神経が良いのだ。
僅か八歳にして、レイスは騎士としての才能を開花させ、騎士団の見習いとして毎日訓練場で研鑽を積んでいる。
「上手くやったもんだね、お兄様。ミイってば、すっかりやる気になっちゃって」
「一体、何のことかな? レイス?」
「とぼけちゃって。お兄様は、ミイに手柄を上げさせて、外国からの縁談を阻止する気でしょう?」
「ははは、意味が分からないなあ。僕は、頑張る彼女を応援したいだけだよ」
だが、弟は追撃の手を緩めない。
「……国王の直系である僕ら兄弟は、二人とも男だ。ガーネットの王家の血を一番濃く引いている女はミイだけ。このままだと、彼女は他国へ嫁に出されちゃうもんね……でも、ミイが有用だと分かれば、お父様達も考えを改めて国に彼女を残したがるかもしれない」
彼の言う通りだ。僕は、それを望んでいる。
止まないレイスの追求に、僕はとうとう降参した。
いつも僕らの様子を間近でみている彼のことだ。全てバレているだろうことは、分かっている。
「ふふ……そうなれば良いね」
弟の手前、「良いね」などと言ってはいるが、絶対にそうさせるために、僕は必死だった。
最終的に、どうにもならなくなったら、僕は汚い手でも何でも使うだろう——出来れば、僕は彼女が納得出来る形で事を進めたいけれど。
王家の子供の考えとしては、僕は完全に落第だ。
「でも、お兄様。お母様が、妹を沢山産んでくれたら解決するかもしれないよ?」
レイスは、晴れ渡った空を見ながら、そう呟いた。
僕と違って、弟はまっすぐな性格の持ち主だ。だからこそ、兄弟で気が合っている。
「そんなに簡単には行かないと思うけど……もし、妹がいたら、きっと可愛いだろうね」
「お兄様、僕も妹が欲しいよ。よし、今からお母様にお願いして来る! またね、お兄様!」
隣で元気よく立ち上がった弟は、今度は王宮を目指して走り出した。体力が、まだまだ有り余っている様子だ。
「さてと。僕は、西棟にでも行こうかな」
ミイ達一家は、主に西棟で生活している。今日も、彼女はそこにいる筈だ。
今頃、難しい医学書と魔法書に囲まれて、唸っているだろう。
「そろそろ、助けてあげなきゃね」
僕はゆっくりと中庭を横切り、ミイのいる西棟へと向かった。
彼女を手伝うために、それらの知識を必死で頭に叩き込んだことは秘密だ。
END
************************************************
子供達の話は、どちらに乗せるか迷ったのですが(・ω・;)
現在、番外編のほうでIF設定の話を更新していまして、混ざるとややこしいので、
こちらに上げさせていただきました。
子供達の話を更新しました。
ミイ(14):ライガ(スペードのK)と、メイ(スペードのQ)の娘。
魔法使いに憧れている女の子。O型。
ルイス(13):ロイス(ハートのK)と、ベアトリクス(ダイヤのQ)の息子。
ミイに片想い中の王太子。努力家。AB型。
レイス(8):ロイス(ハートのK)と、ベアトリクス(ダイヤのQ)の息子。
ルイスの弟。母に似て、剣術が得意。B型。
現在、書籍化に伴って消した部分を、別人物視点で更新し直していますので、
更新があったのに話数が進んでいない場合は、過去分を上げています。
度々更新していて、申し訳ないですm(_ _)m
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※~ミイ視点~
春真っ盛りの王宮に、銀色の髪が舞う。
私は、母親似の迫力に欠ける目を、精一杯鋭く吊り上げ、目の前のピンク髪の女性——カミーユを睨みつけた。
目の前に立つ、白いローブを着た彼女は、母の友人だ。三十歳くらいだというのに、私とあまり年齢が離れていないように見える。
魔法棟で若返りの魔法を悪用している説が出ているが、おそらくソレなのだろう。
様々な魔法を、惜しげもなく使ったり生み出したりしているカミーユは、もはや、ガーネット国内の生ける伝説と化しつつある。
「もうっ、カミーユったら! 仕事を言い訳にして、ぜんぜん私に構ってくれないんだから!」
私に詰め寄られたカミーユは、困ったように眉尻を下げた。そんな顔をしたって、絆されないんだからね!
以前から、彼女は時折、私に新作魔法を教えてくれている。
けれど、現国王の護衛であるカミーユのスケジュールには、中々空きがないのだ。仕事後は、彼女の夫であるアシルが妻を独占している状態だし……
城の家庭教師が教えてくれる魔法は、どれも安全で簡単なものばかりで面白みがない。お父様も、私を魔法使いにはしたくないみたいだ……
私は、魔法棟で働きたいのに——
「ごめんってば、ミイ様。私は、今からロイス様の護衛が……」
彼女の護衛対象である国王は、従兄であるお父様と春の祭典に向けての打ち合わせをしている。
昔、この王宮が腐敗していた頃は、こんな催し物はなかったのだけれど、数年かけて国の状態は改善されていき、国民の祭りも増えたそうだ。
「カミーユ、夜は? 夜なら空いている?」
「ああ、えーと、夜はその。アシルと約束が……っていうか、魔法ならライガ様の護衛に教えて貰ってくださいよ」
「エリクにも、忙しいって言われたの」
お父様の護衛の魔法使い——エリクは、カミーユの義弟で、彼女と同い年の温厚そうな美男子だ。けれど、怒らせるととても怖い。
彼も、仕事後は奥さんと出かけるそうなのだ。
「んー……じゃ、今日は諦めて後日ということで。それじゃあ、失礼します。ミイ様」
「カミーユのケチ! この間、城の噴水を魔法塗料まみれにしたことを、マリーユにチクってやるんだからぁ!」
私は、捨て台詞を吐いて、青い顔のカミーユの横を走り抜けた。
カミーユの弱点は、彼女の夫と娘なのだ。
「大体……お父様もお母様も、カミーユもエリクも、過保護すぎるのよ!」
身分故なのか、私は、周囲が危ないと判断したことは一切させてもらえない。
だから、密かに心の中で焦っていた。十四歳で、これはマズいと。
「このままでは、私は、一生成長出来ないまま大人になってしまうわ」
十四歳になった私には、既に、様々なところからの縁談の話が来ていた。
人生は一度きり。知りもしないどこかの誰かとの結婚が決まる前に、やれることは全てやっておきたい。
結婚すればきっと、今以上に自由がなくなるのだから……
「そうだわ。フラウにお願いして、学園長に来てもらえば……!」
私は、少し年上の友人と、その保護者の顔を思い浮かべた。
※
「あはは! それで、結局そちらにも断られたのかい。可哀想に、僕が慰めてあげるよ」
鬱陶しい……
私は、目の前でケラケラと笑う金髪男の頭を鷲掴みにする。
「痛い痛い……! 僕が禿げたら、責任とって結婚してもらうからね! あ、禿げなくても勿論、結婚してもらうつもりだけれど」
「……煩い」
「君って、たまにライガ様っぽくなるね。さすが親子だ」
この軽薄男は、ルイス。現国王の長男だ。
昔から、なにかと私に纏わり付いて結婚を迫ってくる。
初めは、そのことに戸惑ったが、十年近くもそれが続いている今は、もう慣れた。彼のこれらの言葉は、全て挨拶のようなものなのだ。
「ところでさ、ミイは魔法を極めてどうしたいの?」
「どうしたいって……カミーユみたいになりたいわ」
「本気で!? あれは、ちょっと、やめた方が良いと思うけど……昨日も、魔法棟実験室から大量のヒヨコが発生して、大クレームになっていたよ?」
「あら、良いじゃない。お父様がこっそり一匹だけ匿っていたわ。ああ見えて、可愛い生き物に弱いみたいね」
「ライガ様がヒヨコを可愛がるなんて、ちょっと想像がつかないな……それにしても、ミイは魔法棟に入って、カミーユみたいになって、結局何がしたいわけ?」
「それは……」
私は、言葉に詰まった。
今の自分は、漠然と魔法に憧れている。
けれど、したいことと言われると、明確に答えることができない。
——全てが中途半端なのだ……
本当は、カミーユみたいに楽しく魔法に向き合いたい。けれど、トランスバール公爵家の一人娘という今の私の地位が、それを邪魔する。
私には、彼女のような恵まれた才能もない。
冷静に考えると、私は、魔法が好きで好きでたまらない訳ではなく、魔法使いという職業に憧れているだけなのだ。
今の自分ではない何かになりたい。突き詰めれば、最後はそこに辿り着くのかもしれない……
子供みたいな我が儘だ。
ただ、決められたレールに沿って誰かと結婚するだけの人生が嫌だなんて——
思わず俯いた私に、目の前の男が、落ち着いた声音で話し掛けてきた。
「焦ることはないと思うよ。君はとても努力家だから、きっと何にでもなれる。頭も良いしね?」
「ルイス……」
「例えば、君が最近魔法棟に提案した『魔法医療』だけど、僕はとても良いと思う。この国では、医療分野と魔法分野は別個の物として扱われているからね。高度な魔法を使える医師や、優れた医療知識を持つ魔法使いがいれば、今まで治せなかった病気や怪我の治療が出来るようになるかもしれない」
ルイスの言葉に、ぐるぐると悩んでいた心が軽くなる。
——意外だった……
彼が、真剣に私の相談に乗ってくれるなんて。
「……ありがとう、ルイス。ちょっとだけ、元気が出たわ」
「良かった。君の立場では、カミーユのように好き勝手に動き回るのは難しいけど……でも、今の君でも出来ることはきっとあるよ。周りの人間にも、ミイの本気が伝わる時が来る」
私は、ルイスの言葉に大きく頷いた。
「頑張るわ。魔法を通して皆の役に立てるように」
今は全く相手にしてくれない周囲を、きっと巻き込んで見せる。
カミーユもエリクも、私を甘く見たことを後悔させてやるんだから!
決意を新たにした私を、ルイスが、穏やかなオレンジの瞳でじっと見つめていた。
※~ルイス視点~
ミイと話をした数日後——
仕事や勉強の合間を縫って中庭のベンチで休憩していると、五歳年下の弟、レイスが僕の元へとやって来た。
弟は、身軽な動きでこちらへ駆け寄ると、素早く隣に腰掛ける。彼は、母に似て運動神経が良いのだ。
僅か八歳にして、レイスは騎士としての才能を開花させ、騎士団の見習いとして毎日訓練場で研鑽を積んでいる。
「上手くやったもんだね、お兄様。ミイってば、すっかりやる気になっちゃって」
「一体、何のことかな? レイス?」
「とぼけちゃって。お兄様は、ミイに手柄を上げさせて、外国からの縁談を阻止する気でしょう?」
「ははは、意味が分からないなあ。僕は、頑張る彼女を応援したいだけだよ」
だが、弟は追撃の手を緩めない。
「……国王の直系である僕ら兄弟は、二人とも男だ。ガーネットの王家の血を一番濃く引いている女はミイだけ。このままだと、彼女は他国へ嫁に出されちゃうもんね……でも、ミイが有用だと分かれば、お父様達も考えを改めて国に彼女を残したがるかもしれない」
彼の言う通りだ。僕は、それを望んでいる。
止まないレイスの追求に、僕はとうとう降参した。
いつも僕らの様子を間近でみている彼のことだ。全てバレているだろうことは、分かっている。
「ふふ……そうなれば良いね」
弟の手前、「良いね」などと言ってはいるが、絶対にそうさせるために、僕は必死だった。
最終的に、どうにもならなくなったら、僕は汚い手でも何でも使うだろう——出来れば、僕は彼女が納得出来る形で事を進めたいけれど。
王家の子供の考えとしては、僕は完全に落第だ。
「でも、お兄様。お母様が、妹を沢山産んでくれたら解決するかもしれないよ?」
レイスは、晴れ渡った空を見ながら、そう呟いた。
僕と違って、弟はまっすぐな性格の持ち主だ。だからこそ、兄弟で気が合っている。
「そんなに簡単には行かないと思うけど……もし、妹がいたら、きっと可愛いだろうね」
「お兄様、僕も妹が欲しいよ。よし、今からお母様にお願いして来る! またね、お兄様!」
隣で元気よく立ち上がった弟は、今度は王宮を目指して走り出した。体力が、まだまだ有り余っている様子だ。
「さてと。僕は、西棟にでも行こうかな」
ミイ達一家は、主に西棟で生活している。今日も、彼女はそこにいる筈だ。
今頃、難しい医学書と魔法書に囲まれて、唸っているだろう。
「そろそろ、助けてあげなきゃね」
僕はゆっくりと中庭を横切り、ミイのいる西棟へと向かった。
彼女を手伝うために、それらの知識を必死で頭に叩き込んだことは秘密だ。
END
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子供達の話は、どちらに乗せるか迷ったのですが(・ω・;)
現在、番外編のほうでIF設定の話を更新していまして、混ざるとややこしいので、
こちらに上げさせていただきました。
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